関係都県、負担金支出の留保を国に申し入れ

2010年7月28日 
 関係都県が八ッ場ダム事業の負担金支払いを留保するとの申し入れを国交省に行ったとのニュースが今朝の新聞一面に掲載されました。
 これまで関係都県は、国交省の意向のままに、八ッ場ダム事業の負担金を支出してきました。八ッ場ダム計画が実質的に破綻し、数年ごとに工期延長と事業費増額が繰り返されても、関係都県(東京・埼玉・千葉・茨城・群馬・栃木)は工事現場で何が起こっているのか、国交省の説明を聞くだけで、実質的にはノーチェックでした。関係都県が負担金留保で国交省に圧力をかけた、というのは形ばかりで、本当に圧力をかけているのは、民主党政権や地元に対してというのが実態でしょう。
 地元の状況を伝える記事を読むと、政権交代後、ダム事業を前提に生活設計を立ててきた地元の人々がなぜ、ダム中止に反発したのかがよくわかります。民主党政権が八ッ場ダムを政争の具にしている関係都県の圧力に屈すれば、八ッ場は”第二の普天間”になります。

◆2010年7月28日 朝日新聞より転載
http://www.asahi.com/politics/update/0727/TKY201007270580.html

ー八ツ場負担金、1都5県が支払い留保 国交省に圧力ー

政府が建設中止を検討している八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の下流6都県(東京、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬)は27日、国土交通省に、ダム建設に関する今年度の負担金計88億円の支払いを留保すると伝えた。同ダムの要否について、同省が進める検証結果を早期に出すと確約するまで支払わないとしている。建設推進を求める6都県が、負担金をてこに検証の道筋を速やかに示すよう圧力をかけた形だ。
 昨年の政権交代後、前原誠司国交相はダム本体の工事着工を凍結する一方で、周辺住民の移転や付け替え道路の建設など生活再建事業は継続する方針を打ち出した。

 国交省は毎年3、4回にわけて、6都県に対して「直轄事業負担金」を、栃木を除く5都県に「利水者負担金」を請求している。今年度の予算154億円は、橋や道路の整備(84億円)、建設予定地の用地補償(45億円)などほぼ生活再建事業にあてられ、このうち6都県の負担金が88億円を占めている。

 八ツ場ダムのような治水・利水・発電を目的とする多目的ダムは、特別会計でダム別に予算を管理している。今回の6都県の対応に、国交省幹部は「ダムごとに財布を作り、国費と地方負担分でやりくりしている。負担金が入らなければ、今年度の事業は国費で賄える範囲に限られる」と話す。国が6都県分の88億円を補填(ほてん)しない限り、地元住民が要望している土地の買い上げなど今年度予定している事業の一部は行き詰まることになる。

 6都県はいずれも、今年度の予算に負担金を計上した。27日に同省に提出した申入書でも「負担金の支払いに応じる用意はある」としている。しかし、東京都幹部は「支払いの前提であるダムの本体工事を国が凍結し、建設するかどうかの結論が出ていない現状では簡単に払うわけにはいかない」。千葉県の担当者も「建設事業の継続が見込めるタイミングを見極めてから支払いたい」と話す。

 国交省によると、自治体がダム建設費の一部を負担することは河川法などで定められ、直轄事業負担金の支払いを自治体が拒んだ例は過去にないという。ただ、今回は国がダムの本体工事を凍結したことがきっかけであるため、自治体が負担を拒めるかどうかは司法の判断が必要だという。

ー「生活再建に影響、困る」 八ッ場負担金留保 地元住民に不安ー

 群馬県の八ッ場ダムの下流6都県が、ダム建設の負担金支払いを留保するとの方針を示したことに、ダム建設予定地の住民は驚きと不安を隠さない。負担金は、予定地の住民が求める橋や道路整備、移転に向けた用地補償に充てられているだけに、地元は今後の動きに注目する。=1面参照
 ダムの地元の同県長野原町。高山欣也町長は27日午後、県から申し入れの内容について説明を受けた。6都県が支払いの留保を決めた後で、口を挟む余地はなかったという。「検証結果を早く出してくれ、という立場は6都県が支払いの留保を決めた後で、口を挟む余地はなかったという。「検証結果を早く出してくれ、という立場は6都県と同じ。まあしかたない」
 今年度のダム建設事業費は154億円。国道や鉄道の付け替え、住民らの移転代替地造成、水没地の補償金などに充てられる。今回の申し入れでは生活再建に責任を持つよう国に求めているが、その保証はない。
 水没関係5地区連合対策委員会の篠原憲一事務局長は「6都県が金を出さなければ、八ッ場なんか何もできなくなっちゃう」と危機感を隠さない。地元では「ダムなんてどうでもいい。生活再建が第一だ」といった声が目立ち始めている。「6都県にとっては国に圧力をかけるためでも、地元に影響が出るのは困る」
 群馬県の大沢正明知事は前原誠司国土交通相との良好な関係をアピールしてきた。ダム建設の是非では対立しつつも、いつでも連絡を取り合える関係にあると公言してきた。一方で、国交省の有識者会議がダムの要不要を検討する方法案を示した後の21日の記者会見では、「検証の工程がはっきり示されていない」と批判していた。県特定ダム対策課は、「ずっと負担金を支払わないわけではない。検証の道筋を示してくれればいい」と話す。

☆群馬県ホームページより転載

八ッ場ダム建設事業に係る平成22年度負担金に関する1都5県知事の申し入れ

 7月27日、東京都知事、埼玉県知事、千葉県知事、茨城県知事、栃木県知事、群馬県知事により、国土交通大臣に対し、「八ッ場ダム建設事業に係る平成22年度負担金に関する1都5県知事の申し入れ」を以下のとおり行いましたので、お知らせいたします。

「八ッ場ダム建設事業に係る平成22年度負担金に関する1都5県知事の申し入れ」

八ッ場ダム建設事業に係る平成22年度直轄事業負担金及び利水者負担金について、1都5県知事は、下記のとおり、国土交通大臣に申し入れる。

           記

 国は、特定多目的ダム法に基づく八ッ場ダムの建設に関する基本計画が法的に有効であるとし、1都5県に対し、平成22年度の直轄事業負担金及び利水者負担金について、支払いを求めている。これは、請求に係る負担金が、当該基本計画の目的を予定どおり達成するために必要な負担であることを認めるものである。1都5県は、これを前提として、今年度の負担金について、支払いに応じる用意はある。
  一方、国は、昨年12月に「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」を設置するとともに、その検討結果に基づき、八ッ場ダムについても予断を持たずに検証するとしている。しかしながら、八ッ場ダムについての具体的な検証は、未だに全く進んでおらず、当該会議における個別ダムの検証の考え方は、今夏に取りまとめられる段階である。このような状況は、負担金支出の目的である治水及び利水の安全度を向上させる取組を放置しているに等しく、また、ダム建設の地元住民の生活再建にも、大きな不安を与えている。
 今、国が為すべきことは、一刻も早く八ッ場ダムの検証結果を出すことであり、いつ八ッ場ダムの個別検証に着手し、いつその結果を出すのか、工程を明確にすべきである。したがって、国が八ッ場ダムの検証結果を早期に出すことが明らかになるまでの間、1都5県は、当面、負担金の支払いを留保することとする。
 なお、負担金を支払う条件が整うまでの間、国は自らの責任において、生活再建事業を遂行するよう要求する。

 平成22年 7月27日

国土交通大臣 前原 誠司 殿

東京都知事   石原慎太郎

埼玉県知事   上田 清司

千葉県知事   森田 健作

茨城県知事   橋本  昌

栃木県知事   福田 富一

群馬県知事   大澤 正明