八ッ場ダムの検証作業が今秋から始まる予定です。民主党政権では、この検証作業の結果を受けて八ッ場ダムを中止するかどうかを決定するとしていますが、群馬県はこのほど、検証結果には関係都県の同意を義務付けるよう求める意見書を提出しました。
群馬県の意見通りになれば、ダムの検証作業如何に関わらず、関係都県知事が推進する八ッ場ダムは中止できないことになり、国の公共事業である八ッ場ダム事業の行方は、自民党が後押しする関係都県知事の意向次第ということになります。
◆2010年8月6日 読売新聞群馬版より転載
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20100805-OYT8T01209.htm
ーダム検証基準案に意見書「自治体同意の義務付けを」ー
前原国土交通相の私的諮問機関「今後の治水のあり方に関する有識者会議」が7月に公表した、八ッ場ダム(長野原町)を含む全国のダム事業の検証基準の「中間取りまとめ案」に対し、県は5日、検証結果を出す際は、自治体の同意を義務付けるよう求める意見書を国交省に提出した。ほかにも、ダム中止の場合に、法律上は国に義務がない利水者負担金の返還も要求。八ッ場ダム建設を推進する1都5県は、検証日程が明確になるまで今年度負担金の支払い留保も表明しており、今秋の検証作業開始を前に、都県側が国をけん制している形だ。
中間とりまとめ案では、各地方整備局などが関係自治体を集めた「検討の場」を設置し、ダムの必要性を検証。コストを最も重視し、実現性や環境・地域への影響も総合的に考慮した治水対策を「検討結果」として国交省に報告し、国交相が最終判断する仕組みだ。
しかし、具体的な検証日程や「検討の場」の位置付けがあいまいで、県は意見書で、開催時期や、そこで出た意見をどのように検討結果に反映させるのか、明確にするよう要求。治水対策の前提として、増水時に想定される河川の最大流量を引き下げないよう求めている。
また、「建設継続」という結果が出た場合をにらみ、「国交相が、検討結果と異なる判断を行う場合は自治体の同意を得るべき」と指摘。「中止の方向性は変わらない」とする前原国交相にクギを刺している。
意見書は、中間とりまとめ案公表に伴う国交省から意見照会に基づくもので、5日が回答期限だった。
◆2010年8月6日 上毛新聞一面より転載
ーダム事業 県、検証基準案で国に意見 関係自治体の同意をー
国土交通省の有識者会議が示した八ッ場ダムを含む全国のダム事業の検証基準・手順案について、県は5日、検証手続きの各過程で関係自治体の同意を得ながら進めるよう求める意見を国交省に提出した。同省が都道府県に意見照会していた。
有識者会議の案は検証時に関係自治体や関係住民などから「意見を聴く」としているが、県は関係自治体が国と事業費を分担している点を理由に「単なる意見聴取ではなく、同意を得るべきだ」と主張した。
国交相が検証結果に基づき最終的に事業継続か中止かの対応方針を決める点も「国交相の判断のみで決めることなどできない。(事業費を負担している関係自治体など)利水参画者の政策判断を尊重すべきだ」とした。
有識者会議は都道府県からの意見や、15日まで公募中の一般市民の意見を踏まえ、9月をめどに検証基準をまとめる見通し。