八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

不安を抱える生活再建関連事業

2010年9月9日
 今夏は記録的な猛暑で、群馬県でも日照りが続きましたが、ようやく一昨日、待望の雨が降りました。ところがこの雨により、八ッ場ダムの付け替え国道に落石があり、一部供用が開始されていた付け替え国道が閉鎖されました。
 この付け替え国道は、上信自動車道の八ッ場バイパス区間で、今春、吾妻渓谷から水没予定地の川原畑地区の代替地までの区間が供用開始され、さらに8月に上流の横壁地区までの区間も開通しました。落石は、春に開通した吾妻渓谷のすぐ上流の地点で起こりましたが、その先の区間も危険があるためか、8月に供用開始された区間も合わせて閉鎖になりました。
 昨年の政権交代後、八ッ場ダム計画はダム本体工事着工の見通しがつかないまま、生活再建関連事業と呼ばれるダムの付帯工事が続いています。いたるところで工事が行われている地元では、せめて今まで国が約束してきた関連事業だけは早く完了してほしいという声が多いといわれます。道路、代替地などのダムの関連事業には安全性などの面で多くの問題がありますが、国土交通省は問題があることを認めていません。

◆2010年9月2日 東京新聞群馬版より転載
ー耐震性に問題なし 八ッ場ダム移転代替地 国交省が県に回答ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100902/CK2010090202000085.html

 国土交通省八ッ場(やんば)ダム工事事務所(長野原町)は一日、同ダムの建設予定地住民の移転代替地の耐震性などを測定する「安定計算」の結果を県に報告したことを明らかにした。安定計算は代替地の四カ所で実施され、いずれについても「地震や土砂災害などが起きても安全性に重大な問題はない」と判定された。

 代替地については、ダム事業に疑問を示す市民団体が、独自の調査を基に「耐震性などの検証が不十分。中規模の地震でも安全性を保障できない」と主張。同事務所は「問題は確認されていない」と反論してきた。

 安定計算のデータ提供を受けた県建築住宅課は「厳密に評価し、最終判断したい」としている。 (中根政人)

◆2010年9月9日 上毛新聞より転載
ー長野原町の八ッ場ダム付け替え道路 落石で通行止めー

 8日午前1時ごろ、長野原町川原畑の町道で、国土交通省八ッ場ダム工事医務所の職員が落石を発見した。町と同事務所は危険防止のため、東吾妻町松谷の雁ヶ沢ランプから長野原町林地区までの約4㌔の区間を通行止めにした。
 見つかったのは直径数十㌢の石約10個。路上に散乱していたが、同日中に撤去された。山肌から岩の一部がはがれて落下したとみられる。
 落石のあった道路は八ッ場ダムの生活再建事業として整備されている国道145号付け替え道(八ッ場バイパス)の一部区間で、今春から町道として暫定供用されている。
 町と同事務所が落石の原因を調べており、「安全性が確認され次第、通行を再開したい」としている。

◆2010年9月9日 東京新聞群馬版より転載
ー八ッ場ダム建設予定地 付け替え国道に落石ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100909/CK2010090902000081.html

 国土交通省八ッ場(やんば)ダム工事事務所(長野原町)は八日、町道として部分供用されているダム建設予定地の国道145号付け替え道路の一部区間で落石が発生したと発表した。事務所職員が同日午前一時ごろ、長野原町川原畑の茂四郎トンネル西側で落石を確認。通行車両への被害やけが人はなかった。
 同事務所は、通行車両などへの安全を考慮して、付け替え道路の半分程度にあたる約四キロの区間で当面の間、通行規制を敷く。落石現場付近では当時、雨は降っておらず、同事務所が原因を調べている。

 同道路が通る住民の移転代替地については、ダム事業に疑問を示す市民団体から「地滑りの危険が強い区域であり、耐震性にも問題がある」との指摘が出ている。同事務所は、落石現場の斜面について「未造成の区域であり、代替地整備とは無関係」としている。 (中根政人)