群馬県、川原湯地区対象にアンケート実施

2010年9月11日 朝日新聞群馬版より転載

【八ツ場よ!】
 川原湯地区 県アンケに回答 振興に自然・文化活用案 温泉結ぶバス・湖面橋バンジージャンプ・・・
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581009130002

 八ツ場ダムが建設されれば水没する長野原町川原湯地区で、観光・地域振興施設で何を望むかを、県が住民にアンケートで尋ねた。自然や歴史、文化を生かしたアイデアが目立ち、ダム中止に揺れる住民の心情も表れている。ただ、このままダムができず、下流都県の出資がなくなれば実現は困難になるため、代わりに国による支援が必要になる。(菅野雄介)

 生活再建事業の目玉で、健康をテーマにしたダイエットバレー構想の中核施設「エクササイズセンター」が採算面から見直されることになり、県が7月にアンケートを行った。結果をもとに住民らに具体案を検討してもらうためだ。

 県特定ダム対策課によると、川原湯地区の49世帯を対象に全戸配布し、23世帯から回答を得た。内訳は、旅館業が7世帯、旅館業以外の自営業が8世帯、会社員や公務員4世帯などだった。

 ある住民は、ダム予定地周辺に点在する大小10カ所の温泉を結ぶバス運行や障害者のリハビリ施設などを提案。移転先となる代替地の分譲価格が高いといい、土地の評価額を高める取り組みを望んだ。

 ほかの住民からも、ダムと向き合ってきた歴史や、地域の自然、文化などを伝える施設▽「湯かけ祭り」を観光客が体験できる環境整備▽自分で収穫し、作って食べる郷土料理の道場▽他の水没関係4地区への観光の宿泊・交通拠点――などと、類似の案も含めて100近い提案があった。自然や歴史を生かした遊歩道整備など、現計画を踏まえた提案が目立った。

 湖面を渡る橋を利用したバンジージャンプ、ダム湖に飛び込む滑り台といった奇抜な案もあった。

 一方、ダム建設中止を前提としたような案もある。共同浴場「王湯」や現在の自然をなるべく壊さずに活用する▽国有地となった田畑の再分譲▽10分の1の「ミニ八ツ場ダム」を造って河川公園にし、本体工事のために造られた仮排水トンネルも観光施設化▽代替地の斜面を利用したパラグライダー教室……。

 もっとも、住民の案を実現するための財源の利根川・荒川水源地域対策基金は、群馬県を含め下流6都県の出資で成り立っている。

 ダム建設が中止になれば、都県側に支出する根拠はなくなる。すでに246億円とされていた基金事業費は178億円への減額が政権交代前の09年1月に県から地元へ示されている。今のところ国が肩代わりする話もない。

 アンケートでも、ダム中止で資金を得られない可能性に触れた回答もあった。自営業の男性は「提案の前提となるお金がどうなるのか、はっきりしない現状で、素人の住民がアイデアを出しても無理がある」と話した。