八ッ場ダム、流量データ公開へ

■2010年9月15日 東京新聞朝刊三面より転載
ー流量データ公開へ 八ッ場ダム 前原国交相が明言ー

 前原誠司国土交通相は十四日の記者会見で、国が利根川の洪水時の最大流量(基本高水)算出のデータ公開を拒んでいる問題で「基本高水のような中核をなす数値が、どんな条件でまとめられたかは、当然開示していく話だ」と述べ、公開に踏み切る考えを示した。
 基本高水は八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の建設根拠。国は一九四七年のカスリーン台風並みの雨で、利根川の治水基準点である八斗島(やったじま)(同県伊勢崎市)に毎秒二万二千立方メートルの水が流れると主張してきた。「流量は毎秒一万六千五百~一万八千七百立方メートル程度だ」との専門家の指摘もあるが、国は「混乱を生じさせる」などとして計算に使ったデータの公開を拒み、詳しい検証ができなかった。また前原氏は会見で、「山の保水能力について、カスリーン台風時と現在の違いは当然考慮されるべきだ」と述べ、基本高水の計算では、森林の成長による保水能力向上を勘案する必要性を強調した。

■2010年9月14日 前原大臣会見要旨より一部転載
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin100914.html

前原誠司 大臣

【質疑応答】
◇八ッ場ダムについて

(問)
 八ッ場ダムの関連ですが、10日に司法記者クラブで、ダム差止めの住民訴訟をやっている原告団の弁護人の高橋さんという弁護士さんが、大臣あてに質問書を出して、更に10日付で東京地裁に情報公開に関する訴えを起こした会見をしたのですが、内容は利根川の基本高水の関連で、一点は利根川ダム事務所のホームページの内容に誤りがあるのではないかというのと、基本高水の算定根拠になったデータを公開すべきではないかというこの二点についてそれぞれ言っているのですが、大臣はこの質問書であるとか訴えを御存知であるのか、あるいはその指摘についてどのようにお考えなのかそれぞれお聞かせください。

(答)
 直接その方が出されたものはまだ見ておりませんが、東京新聞を読んでそういった事実があるということは存じ上げております。
 また情報公開については徹底的に行っていきたいと考えておりますし、東京新聞さんの記事を読ませていただくと、森林の保水能力についてしっかりとカウントされていないのではないかということが大きな主題であったと思いますし、実は有識者会議の中でもその議論はかなり行われまして、今後の八ッ場ダムの予断なき検証というものを行う評価軸、中間報告が取りまとめられたところでございますけれども、今後、代替治水策、利水策を模索していく上で、私は一つの勘案する要件であると思っておりますので、山の保水能力のカスリーン台風時と現在の違いというものが当然考慮がされるべきだと思っております。

(問)
 とすると、大臣のリーダーシップで情報は速やかに公開されると期待してよろしいのでしょうか。

(答)
 できる限り、特定の情報について開示要求をされていると思いますが、できるだけ私は情報公開はしていかなくてはいけないと思っておりますし、特に基本高水というような中核をなす数値がどのような条件でまとめられたかということについては当然ながら開示をしていくべき話だと私は思っております。

(問)
 大臣が建設中止を表明されてから間もなく1年になる八ッ場ダムについてですが、今年1月の意見交換会以降、地元側も建設中止の方針を受け入れていないために対話が中断して、ダム無しでの生活再建の見通しが立ってなく、地元からは不安の声が上がっています。
 この状況について建設中止を表明した大臣としてどのように受け止めていますでしょうか。

(答)
 57年間、ダムの建設が完成されてこなかったわけでございまして、中止の方向性を示して1年経ち、地元の皆様方には政策変更によって大変御迷惑をお掛けをしているということについては心から改めてお詫びを申し上げたいと思います。
 ただ、予断なき検証を行っている最中でございまして、その検証結果を受けて議論していかなくてはいけませんので、ある一定の時間が掛かるということは御容赦をいただきたいというふうに思っておりますし、八ッ場ダム以外でも検証結果を受けて中止をするダムも出てくると思いますので、そういった方々に対しては御迷惑をおかけすることになりますけれども、その方向転換の意味、つまりは日本の置かれている財政の状況やこれからの公共事業の在り方というものを考えた場合には、方向転換をすることが妥当であるということをしっかりと説明していきたいと考えております。

*上記に関連する情報は、こちらに掲載されています。
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=997
ー洪水データの開示求め提訴 八ッ場ダム訴訟で住民側ー

★関良基さんによる鑑定意見書
http://www.yamba.sakura.ne.jp/shiryo/tochigi/tochigi_g_iken_seki_1.pdf
意見書「森林の機能を無視した国土交通省による基本高水計算の誤謬」

http://www.yamba.sakura.ne.jp/shiryo/tochigi/tochigi_g_iken_seki_2.pdf
意見書2「利根川の基本高水流量毎秒22,000の計算モデルの虚構」