八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

新国交大臣に馬淵澄夫氏

2010年9月17日
 昨年の今ごろは、国土交通大臣に就任した前原誠司氏による「八ッ場ダム中止」発言が大きな注目を浴びていましたが、この一年間、八ッ場ダム計画は宙ぶらりんの状態のまま、政権交代前にもまして関連工事が急ピッチで進みました。
 今日は、内閣改造により新国交大臣に馬淵澄夫副大臣の就任が決まったとの速報が流れています。八ッ場ダム推進を主張してきた群馬県の大沢知事は八ッ場ダム中止方針を掲げる前原大臣と良好な関係を築いてきたと記者会見などでしばしば発言していますが、新大臣の下、ダム予定地の住民が直面している生活再建や関連事業の問題はこれからどうなるのでしょうか?

◆2010年9月16日 読売新聞群馬版より転載
ー知事、国交相と直接会談 先月上旬八ッ場不要論に反論ー
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20100916-OYT8T00113.htm

 大沢知事は15日の定例記者会見で、8月上旬に八ッ場ダム問題について前原国土交通相と会談していたことを明らかにした。話は下流域の水利権問題から民主党役員人事まで及んだことを披露し、「もの申せる」間柄であることを強調した。

 関係者によると、会談場所は東京都内の飲食店。8月12日に御巣鷹の尾根で行われた日航機墜落事故の慰霊登山に参加するのを前に、前原国交相から招かれたという。途中から長妻厚生労働相も同席した。

 大沢知事は記者会見で、前原国交相に“直訴”した内容を説明。群馬、東京など5都県が、水利権確保のためにダム建設費を負担している問題を挙げて、「地方が地方の考えで将来の水計画を考えてお金を負担しているのに、何ら話し合いもなく、国が一方的に『利水は不要』と言うのは行き過ぎだと申し上げた」と述べた。

 前原国交相の反応について「よく聞いてくれていた。(対話を)拒絶していない。前向きに知ろうとしてくれている」と評価した。

 また、民主党代表選で菅直人代表(首相)が再選されたことを受けて、党役員人事で前原国交相の幹事長就任が取りざたされていることについて、「(会談の際に)私からも『前原さん、幹事長をやって、正しく党を導いてくれないか』と言った」と明かした。

◆2010年9月16日 東京新聞群馬版より転載
ー内閣改造 知事、前原氏の留任希望ー
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20100916/CK2010091602000062.html

 大沢正明知事は十五日の定例会見で、菅直人首相が再選を果たした民主党代表選の話題に言及。今週末にも予定される内閣改造について「八ッ場(やんば)ダム問題で個別の会談を重ねてきた。今までの(政策的な)流れを継続できる」として、前原誠司国土交通相の留任が望ましいとの考えを示した。

 前原国交相が八ッ場ダム建設中止を宣言してから、十七日で一年を迎えるが、大沢知事は「地元住民にとっては非常に不安な日々だった。当事者はずっとダム問題と向き合ってきたわけで、その苦悩は計り知れない」と、この一年を総括した。

 さらに、八月に前原国交相と直接会談したことを明らかにした上で、前原国交相の姿勢については「建設予定地に足を運び、住民生活の現実を理解するようになってきた」と評価。ダム中止方針の撤回を強く求めた。

 前原氏以外が国交相に就任した場合についても「真剣に地方と話し合ってくれる方がよい。(議論を)一方的に拒絶するという姿勢はやめていただきたい」と要望した。 (中根政人)