八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

大臣交代の間隙を縫って、検証作業が始まる

2010年9月23日
 前原大臣から馬淵新大臣へ。
 大臣交代の記者会見で印象的なのは、昨年、前原大臣が就任直後から八ッ場ダム中止など次々と大きな波紋を呼ぶ発言が多かったのにひきくらべ、副大臣としての経験のせいか馬淵大臣の発言が慎重であることです。
 昨日、共同通信が伝えた以下のニュースは、官僚が自らの判断で八ッ場ダムの検証作業を進めようという意思を示したものでしょうか。これまでずっと官僚主導で進んできた八ッ場計画ですから、まだまだ実権は官僚にあるということなのかもしれません。
 ジャーナリストのまさのあつこさんは、うやむやのうちに官僚主導で検証作業が始まろうとしていることに警鐘を鳴らしています。
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http://dam-diary2.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-3500.html
 ダム日記2-「何をやっているのか?」

★2010/09/22 20:16 共同通信
ー八ツ場ダム検証開始は10月1日 国交省方針ー
http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010092201000973.html

 国土交通省は22日、八ツ場ダム(群馬県)の建設の是非を検証する「検討の場」の初会合を10月1日に開く方針を決めた。ただ中止を表明した国と、建設の継続を求める流域6都県知事らとの意見の隔たりは大きく、検証は難航が予想される。

 建設中止は昨年9月、前原誠司前国交相が就任直後に表明。馬淵澄夫国交相も「中止の方向を持ちながらも予断なく検証する方向は変わらない」と述べ、前原路線を踏襲している。

 八ツ場ダム検証作業の主体は関東地方整備局。初会合には流域6都県の部局長級職員らが参加して都内で開く方向で調整している。

 検証は、国交省の有識者会議がまとめた判断基準に基づいてダム以外の治水対策がないかどうかを検討して代替案を作成し、ダムを建設した場合とコストなどを比較。流域自治体の意見も踏まえて関東地方整備局が対応方針を決め、最終的には国交相が判断する。

★2010年9月17日 大臣会見要旨から八ッ場ダムに関連する箇所のみ転載

○前原大臣会見要旨より
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin100917.html

(問)八ッ場ダムについてですが、ちょうど1年前に初登庁された際に建設中止を表明されて、現場が混乱しないよう地元や自治体と話し合うとおっしゃったと思います。
しかし、八ッ場ダムはこれからも再検証するという段階にとどまって地元住民との話合いも道が途絶えている状況になっていることについて、今どう思われますか。
(答)政策転換の中で、地元の皆様方には多大な御迷惑をお掛けしていることについては、改めてお詫びを申し上げたいと思います。
しかし、地元の方はダムを前提としておられるということになれば、我々は中止の方向性を示し、また予断なき検証をしている中で、なかなかお話合いに応じていただけないというのは、残念ではありますけれども、仕方がないことだと思います。
大きな公共事業の見直し、方向転換をしていくということは、一朝一夕でできることではないと思いますし、地元の方々にしっかりとお詫びの気持ちは持ちながらも、配慮をしながらも、国の大きな方向転換をするというのはそれだけの覚悟がいるものだというふうに今でも思っております。

○馬淵大臣就任会見要旨
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin100917_1.html

(問)八ッ場ダムについてですが、前原前国交相は今日の会見で公共事業の見直しは一朝一夕にはできない、再検証には相当の時間が掛かると表明されています。
一方で、地元からは早く生活再建をしてほしいという声が挙がっていますが、大臣は八ッ場ダムの建設中止の方針と地元の生活再建についてはどのような姿勢で臨まれますか。
(答)今日の前原前大臣の御発言というのは承知していませんが、少なくとも八ッ場ダムを始めとしたこうした公共事業の見直しに関しては、例えば実際に中止をしていくということについてもその法的な根拠というものがない状況、あるいは法的な根拠を作っていかなければならない状況等様々あるかと思います。
 こういう中で、一朝一夕にいかないということが現実でありまして、私どもとしては、だからこそダムに関しましてはダムによらない治水の検討会を行って予断なく再検証を行い、その上でどのような形でこれの見直しができ得るかということの整理を行っているところであります。今後、公共事業をストップする、あるいは公共事業で造られた工作物等の今後の在り方についての考え方というものも法制化するか、あるいはどのような考え方で地方自治体の皆様方と整理をするかということも踏まえて一定の協議が必要だと思いますので、とにかく中止、そしてすぐにこれを撤去というような形にはなかなか実現しにくいということについては、前大臣もそのような御意志で発言されたのかなというふうには、これは私がそんたくしている部分でありますけれども、そのような思いでいらっしゃるのかということだと思います。
 私自身も実際に副大臣として取り組んでまいりまして、こういった整理を行わなければならないと、ただただどこか一つの事例を掲げてすべてがその類型にはまるような形ではないのだなということを痛感しておりますので、大臣としても今後の取組というものは継続性を持って行ってまいりたいと思います。

★国土交通省ホームページより転載
http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/y2010e2b6de97663b7df501a3c8ca5518323b4f471dba0.html

第12回 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議の開催について
2010/09/24 (金) 17:50
河川計画課
この度、第12回今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を以下のとおり開催することとなりましたのでお知らせいたします。

1.開催日時等
日 時:平成22年9月27日(月)18:00~19:00
場 所:中央合同庁舎3号館(国土交通省)11階特別会議室
主な議事内容(予定):中間とりまとめ 等

2.委員
別 紙

3.取材等
・カメラ撮りは、「中間とりまとめ」手交時以降、可能です。
・会議の資料、議事要旨及び議事録は、後日ホームページで公開する予定です。

(連絡先)
河川局河川計画課
河川計画調整室長 泊 宏(内線:35361)
課長補佐 舟橋 弥生(内線:35372)
(代表)03-5253-8111(直通)03-5253-8445

(別紙)
「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」委員

宇野尚雄岐阜大学名誉教授

三本木健治明海大学名誉教授

鈴木雅一東京大学大学院農学生命科学研究科教授

田中淳東京大学大学院情報学環
総合防災情報研究センター長・教授

辻本哲郎名古屋大学大学院工学研究科教授

◎中川博次京都大学名誉教授

道上正規鳥取大学名誉教授

森田朗東京大学大学院法学政治学研究科教授

山田正中央大学理工学部教授

◎:座長
(敬称略、五十音順)