大沢群馬県知事の定例会見における発言要旨

2010年9月21日

 群馬県のホームページに、大沢正明知事の定例会見要旨(2010年9月15日)が公表されましたので、八ッ場ダムに関する箇所を転載します。前日の民主党代表選を受けて、記者らからの多くの質問に答えています。↓
http://www.pref.gunma.jp/cts/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=97899

○八ッ場ダムについて
(記者)  閣僚等の人事はこれからになると思いますけれども、八ッ場ダムに対して、どのような考えの方がよろしいとお考えでしょうか。

(知事)  群馬県からすれば、ダム建設を考えてくれれば一番ありがたいですが、マニフェストにただこだわるのではなくて、普天間の問題もそうですが、地元の声、それから、利水・治水のあり方、そういうものをきちんと検証してから発言していただきたいと思っています。前原大臣も、大臣に就任するまでは八ッ場ダムを一度も見たことがなかったわけですけれども、その後、何度か足を運んでいただきまして、現実を理解されてきています。その中で、非常に苦悩された発言もなさっていると思っています。「マニフェストにあるから」というだけではなく、実態をもっと掌握していただきたいという思いが強いです。

(記者)  今、八ッ場ダムに関して前原大臣が「現実を理解されている」、「苦悩した発言がある」というお話をされましたが、具体的にどういう場面でそのように感じることがありますか。

(知事)  地元の方々の思いを強く感じてくれたと思っています。

(記者)  例えば、こういう場面でのこういう発言というのは…。

(知事)  私は、前原大臣は地元の方々に心から申し訳ないという気持ちを謝罪というかたちで表したと、そのようにみてきました。一つの政党の考えだけで中止宣言をされて以降、国と地方の約束という問題について、いろいろと考えられているのではないかと思います。

(記者)  昨日も閣僚会見で、中止表明から一年がたつということであらためて質問されていて、地元の方々への謝罪をされています。ただ、今後始まるであろう検証については、ある一定程度の時間がかかってしまう。その上で、中止の方向、そういう政策転換について、理解してもらうよう努力していくのだと。相変わらず、中止の方向は変わらないという一点だけは、地元であったり関係6都県との距離感はどうしても埋まっていかないと思うのですが、そこの部分は、群馬県としては今後どのように…。

(知事)  話し合う機会をもっと持って、お互いが忌憚(きたん)なく話し合いを行っていくことも大事だと思います。前原大臣には、現実を直視していただいて、1都5県とも、地元の方々とも話し合っていただきたいと思います。
 利水については、私も先月、前原大臣と直接お会いして、いろいろと話をしてきました。「もう少し(必要性を)判断してください」、と。群馬県、埼玉県、東京都といった地方が地方の考えで、将来の水の計画を考えて、都県づくりをしているわけでして、そのお金は、全額、都県が負担しているわけです。それを、国が一方的に、地方と何ら話し合いもなく、利水を「不要だ」とか言うこと自体が、行き過ぎではないかということも、前原大臣に言わせていただきました。
 治水においても、国と地方がしっかりと連携し、国が7割、地方が3割を負担して、(治水および利水負担金)4,600億円のうち2,800億円を地方が負担します。このことは、割とマスコミの方が言ってくれないのです。私が東京の友達と電話して、たまにこのことを言うと、「なぜ言わないのだ」と言われます。この間も、ある方と会って話をしたのですが、「なぜそれをもっと発信しないのだ。ちっともマスコミは書かないではないか。マスコミは何を考えているのだ」と素直に言っていました。マスコミの皆さんはどうなのですか。

(記者)  それは是非発信したいし、例えば…。

(知事)  それは事実なのです。利水だって東京、埼玉、千葉、群馬の4都県が、将来の都県づくりを考えてやっているのに、国が一方的に「利水はいらない」ということは、大きな問題だと思います。それから、治水においても、国と県でしっかりと議論して、そして必要だということで、1都5県も3割の負担をして治水工事を今日までやってきたわけです。それを、何の話し合いもなく一方的に「中止」と言うことは、今の民主主義の中であっていいのだろうかと。
 普天間は、安全保障の問題ということで、どんどん言われています。しかし、われわれにとっては、(八ッ場ダム問題も)県民の安全を守るための大事な問題です。ただ、それが時間とともに風化ではないですが(取り上げられなくなってきています)。私も何人かの人と東京などで話をすると、「マスコミはなぜ、国民に分かるように言わないのだ」と言います。ただ、『無駄、無駄』、『無駄を廃し、コンクリートから人へ』(という発信ばかりで)、そういう発信をすると、聞こえはいいです。しかし、群馬県や埼玉県などにとって、県民の安心・安全を守るためには利水・治水の面で八ッ場ダムが必要です。このことは、埼玉県の上田知事も強く言って、街頭でも言ったりしているのだけれど、なかなかそれが浸透しないというのを非常に残念に思っています。

(記者)  実際にそういう話を前原さんと、先月、お話しされて、どういう反応が返ってきたのでしょうか。

(知事)  前原大臣は、よく聞いてくれていました。

(記者)  反論というようなものはなかったのですか、大臣から。逆に、理解を示すような言葉とか…。

(知事)  あと、新聞でよくヒ素のことを取り上げていますが、そのことも少し言われていました。それも、詳しく説明しました。私の憶測ですが、京都のほうだと、(水を)琵琶湖から直接取るのでしょうか、大臣は京都の方ですから吾妻の地形にそれほど詳しくなくて、ヒ素が直接、水道水のほうに行くのではないかという誤解をされていたのではないかと思うのですね。「(実際は)渋川で利根川に合流して、それが薄まってきて、利根大堰で取水しているのです」と。そして、「今までもそれで取っていた。今は(品木)ダムを造って、石灰で中和しているわけですから、さらに薄くなっていっています。そして、堆積(たいせき)したところの水が流出しても、もともと吾妻川に入る水ですから、大きな問題はありません」ということもよく説明しました。

(記者)  そういう意味では、大臣にはあまり正しい情報が民主党内から入っていないのではないかという…。

(知事)  私もそう思います。

(記者)  例えば、県選出の民主党の国会議員の方が、本来であったら、群馬県の思いをきちんと理解して、それを大臣に伝えたいと思うのですが、その辺が全然機能していないと感じます。

(知事)  残念ながら、県選出の国会議員さんは、全員ではないですが、「ダムは無駄だ」という観点から反対を主張されている方が多いわけですから、どうしてもその声がいってるのでしょう。ただ、県選出の国会議員さんが、何回八ッ場(の地元)に入って、実態を調査したかというのも…。何人か、一生懸命やっていらっしゃる方もいますけれども、そういうところに疑問もあります。

(記者)  そういう意味では、予想される内閣改造で、前原大臣が残留していただいたほうが…。群馬県としては、知事ご自身と前原さんとの関係というのもある程度深めてきた中で、是非残ってほしいと。

(知事)  そうですね。新しい菅政権がどういうかたちでできるか、ですね。

(記者)  前原大臣は、幹事長という名前の出方もされていて、ひょっとしたら、八ッ場のことをよく分かっていない新しい人が…。

(知事)  その時、私が言ったのですよ。「前原さん、幹事長やりませんか」、と(笑い)。

(記者)  そうですか(笑い)。

(知事)  それで、「党を正しく導いてくれませんか」、と。話の中で、ですけれども。

(記者)  そういう意味では、知事からみると、県選出の国会議員よりも、前原大臣のほうが距離感が近いのですか。

(知事)  いや、県選出の国会議員だって、そんなに遠くないですよ。ただ、八ッ場に関しては、(前原大臣は)拒絶していません。知ろうという努力を前向きにしているというのを、私は強く感じています。

(記者)  検証をはじめる中で、関係都県や利水の関係のところと国が話し合う検討の場というものの設置が予定されていると思うのですけれども、実際にどういう人たちが集まるべきだと思いますか。知事と、国だったら政務三役なり大臣と、どういうふうなかたちで検討の場を設けて、実際に検証結果に検討した内容をどう反映させていくのか。あるいは、検証したものを検討して、ダムを造る、造らないという議論をするのか。どういうものを求めていますか。

(知事)  先月24日に、(1都5県知事の視察や意見交換を)やろうとしましたが、民主党の代表選挙がらみでいろいろと問題があって、延びたわけです。新しい政権が落ち着いたら、一日も早く、大臣と1都5県の知事が会って、真剣に議論すべきだと思います。

(記者)  先ほどの質問と重なるのですが、前原大臣に続投してもらうほうがよいとお考えなのか、それとも、別のこういう人にやってほしいという…。

(知事)  私がそれを希望しても、どうなるものでもありませんから。

(記者)  知事としてのお考えは。

(知事)  前原大臣とは現地でも会っているし、何度か個別会談もしていますので、前原大臣なら今までの流れを継続できると思います。それ以上の職に就くのなら結構だと思っていますけれども(笑い)。

(一同)  (笑い)

(知事)  就かれるのではないかと期待はしていますけれども。

(記者)  ほかの方がなられる場合は、どういう方を。

(知事)  それは分かりません。いずれにせよ、真剣に地方と話し合ってくれる方ならいいと思います。一方的に拒絶という姿勢はやめていただきたい。ただ、普天間の問題をみても、八ッ場の二の舞になるのではないかと(心配しています)。地元は大反対ではないですか。八ッ場よりもこじれているかも分かりません。一度言ったもの、積み上げたものを壊して、今度は沖縄県全体が反対に動いています。地元が納得するまで、私は相当の時間がかかるのではないかと思います。ただ、普天間の安全性を考えると、一日も早く対応しなければいけません。しかし、もっと地元と協議をして。民主党は「地方と話し合う」と言っていながら、話し合いをしないでどんどん決めていくことが多いわけですから。私は前原大臣と話をした時に、長妻厚生労働大臣とも少し話をしたのですが、子宮頸ガン問題もそうではないですか。長妻さんが、(ワクチン助成)を「予算に出す」と一方的に言いました。大いに賛成です、(国の負担割合が)10分の10であれば。しかし、ある新聞をみていたら、国、県、市町村の負担と(ありました)。では、国は何割負担するのですか。それも一切の議論なしに、打ち出しました。民主党政権においては、もう少しそういうところを慎重に、知事会なり、市長会なり、地方の声を真摯(しんし)に受け止めて、発信していただきたいと思います。

(記者)  八ッ場の話でもう一点なのですが、建設中止表明から間もなく一年になりますが、検証作業がなかなか進まない状況の中で、国に対してあるいは地元住民に対して知事の思いはいかがでしょうか。

(知事)  なかなか進まないというより、むしろ私は進んでいると思っています。生活再建(関連事業の)予算を21年度、22年度もしっかり付けていただいていますし。ただ、1都5県としては、昨年の中止以来、中間報告のとりまとめが8月に出て、工程をしっかり示してほしい。「示していただければ地元の負担金はお支払いします」と言っています。工程がいつまでもはっきりしないと、地元の方々が非常に困るし、下流都県もお金を払っている以上は、工程表をしっかり発表していただかなければ、議会でも説明がつかないと思います。

(記者)  地元住民の方々に対してはいかがでしょうか。

(知事)  地元の方々は非常に不安な一年であったと思います。外部の人はその時は騒ぐけれども、徐々に離れていってしまって分からないではないですか。しかし、当事者はずっとダムを見ているわけで、その苦悩は計り知れないものがあるわけです。どういうかたちで方向性を出していくのかしっかりと打ち出さないと生活設計もできません。それがゆえに最低でも生活再建事業は遅滞なくすべて完了してほしいと。そうでないと川原湯温泉でも、休業まで追い込まれている方もいます。一日も早く川原湯温泉の開業ができるような生活再建の事業すべてをやっていただきたい。前原大臣も以前会談した時に「遅滞なく生活再建事業は一切やる」と言ってくれていますので、その言葉は大臣としての発言でありますので、今まさに生活再建事業を一日でも早く行って、地元の皆さんが生活再建できるようにするのが県の果たすべき役割だと思っています。それと併せて、ダム本体においては検証結果の中でどうあるべきかをしっかりと訴えていかなければいけません。

(記者)  地元の方に対しての部分なのですが、負担金の支払い留保は、群馬県として払えるものならば早く払いたいとの思いがあると思いますが、そのような状況が続いてしまうと地元にしてみると「大丈夫なのであろうか」と不安を抱き始めることもあろうと思います。そういう部分に関して、地元の方には1都5県の立場をどう説明していかれるのでしょうか。

(知事)  1都5県としては、工程表をしっかりと示していただければいつでも払うということで、生活再建事業を止めようなどとの思いは誰もないわけです。そのところは地元の方も理解していただいていると思っています。

(記者)  前原大臣はその検証作業について長期化するのではないかとの見通しを示されたと思いますが、地元が疲弊しているとか先ほどからおっしゃっている中で、知事としては再検証作業はいつくらいまでに終えてほしいというのがあるのでしょうか。

(知事)  できるだけ早くですが、8月に1都5県で話し合いを持とうと思っていたわけです。しかし、代表選との関係により(延期になったので)、早いうちに大臣と1都5県の知事が議論をして、しっかりと話し合っていこうと思っています。

○前橋赤十字病院について
(記者)  先日、前橋赤十字病院の答申が出たと思うのですが、資金計画等内部で検討しないといけない要素はたくさんありますけれども、いつごろまでに判断したいと思っていますでしょうか。

(知事)  地元の皆さんの意見もありますし、前橋赤十字病院のあり方というものもあります。あまり長引かせることがいいとは思っていません。しっかりと今検証して、できるだけ早い時期に方向性を出したいと思っています。

(記者)  八ッ場で国に工程を求めているように、いつ頃までとか明らかにしていただけると地元の人も多少は気持ちがすっきりすると思うのですが。

(知事)  八ッ場と一緒にしないでください(笑い)。すぐにでも方向性は出したいと思っています。昨年5月に前橋赤十字病院の検討審議会で鶴谷座長が最終報告をしてくださいました。その時には「現在地での建て替えは無理、できれば移転、一方で、現在地での建て替えを地元の皆さんが要望しているので地元の理解を得るように」(とのことでした)。そして今度は、建築の専門家や医療関係者、地元自治会の人もオブザーバー参加していただき昨年の11月から6回にわたって議論を積み重ねてきて今年9月1日に最終報告があったわけです。しっかりとある程度の所は見えてきていますし、資金の問題もありますし、それらを総合して地元の皆さんにも日赤にも理解をいただけるような最終結果を出したいと思っています。

(記者)  その判断は県支部長である知事が最終判断権者と思いますが、知事が独断で決めるのか、それとも、どのように決めるのか…。

(知事)  昨年5月に審議会で最終報告をまとめていただきました。それを元にさらに地元の人の意見も組み込んでいろいろな角度、建築家、街づくりの専門家、医療関係、不動産関係などすべての人たちに参加していただいて、どうあるべきか議論を積み重ねていくものです。

(記者)  ただ、最後の最後に方向性で、移転であったり、現在地での拡張の中での建て替えの2つしか選択肢が今残っていません。そのどちらを選ばれるかは、最後、知事にゆだねられる決断だと思うのですが、そこを決断される際に前橋赤十字病院の病院長であったり、看護師さんの関係であったり、県の内部で検討したり、いろんなかたちがあると思うのですがどのように最後の決断をされていくのでしょうか。

(知事)  県の内部で十分議論をしてしっかりと方向を出します。