八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

馬淵大臣の会見要旨(10月22日)

★国土交通省ホームページに10月22日に行われた馬淵大臣の会見要旨が掲載されました。↓「http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin101022.html

 関良基氏(森林政策学)の問題指摘、河野太郎衆院議員(自民党)による予算委員会の質問(10月12日)、東京新聞の粘り強い報道等により、八ッ場ダムの建設根拠となってきた利根川の治水計画の欺瞞が明らかになりつつあります。八ッ場ダム計画そのものが虚構に満ちていることは早晩明らかになるでしょうが、河川局の抵抗がある以上、ダム計画の見直しには更にエネルギーと時間が食われることになりそうです。
 大臣会見の関連箇所を転載します。

(以下、国交省HPより転載)
それでは閣議後の定例会見を始めます。
私からはまず、冒頭二点報告がございます。
一点は、利根川の治水計画についてであります。
八ッ場ダムに関しまして、利根川の治水計画について19日に会見で申し上げたところでございますが、その後私の方で調査を指示しまして、本日改めてそのことにつきましてお話を申し上げます。
先日申し上げたとおり昭和55年に改定された利根川水系の工事実施基本計画では、基本高水のピーク流量は、確率流量と称するものが八斗島地点21,200m3/s、そして観測史上最大流量と称されるものが同じく八斗島地点22,000m3/sでございますが、これらのいずれか大きい方を採用し、八斗島地点では観測史上最大流量である毎秒22,000m3/sと決定しているということでありました。
その上で、この観測史上最大流量、この言葉だけ聞くとあたかも実測値であるかのように誤解を招くということもありますので、ここで私は19日の会見で、これは流量計算モデルによる計算結果であるということを会見で申し上げたところです。
現在、河川整備基本方針につきましては、平成17年度に社会資本整備審議会において、昭和55年に定めた基本高水ピーク流量が妥当か否か審議を行った上で策定したものですが、そもそもこの昭和55年の基本高水ピーク流量の計算についてその計算の基礎となった飽和雨量等の定数、あるいは降雨量、これについては地方整備局に保存している資料等から確認はできているものの、具体的にどのようにして流出計算が行われたかという資料が現時点では確認できないことが明らかになりました。
このため、観測史上最大流量を計算した時の詳細な資料について、まずは徹底的に調べるようと指示を出しております。
つまり平成17年度の社会資本整備審議会の小委員会の中で検討したと、そしてこの21,200m3/sについては、確率流量として計算については報告書に詳細が載っておりますが、22,000m3/sについてはわずか3行で示されているだけと。
これについてその根拠はということで昭和55年当時の資料を調べるようにと、これもその資料の存置期間が過ぎているということもありますので大変だということでありますが、しかし報告書としては当然ながらその流出計算をどのようにやったのかと、これを明らかにすべきだということで調べたところ現時点においては確認できないということでありますので、再度徹底的に調べるようにと、こういうふうにも言ったところであります。
前から申し上げておりましたが、今後八ッ場ダムの検証、これを行いますが、予断を持たず情報公開を図りながら出来る限り最新のデータやあるいは科学的・技術的知見を用いて、徹底的にデータや流出計算モデルの点検を行って、流出計算モデルの見直しも含めて改めるべき点があれば改めるという姿勢で臨んでまいります。
もう一点、15日の会見で「基本高水が結果的に変わる場面も出てくるが、この八ッ場ダムの問題ではない」という趣旨のことを申し上げたことについて、本日配布している資料に基づいて説明を申し上げます。横紙でお渡ししていると思いますが、資料の左側にありますものが河川法に基づく河川整備基本方針というもの、これがまずございます。治水計画としては、この河川整備基本方針がござまして、そして河川整備計画というものが明定されております。
河川整備基本方針は長期的な河川整備の最終目標でありまして、ここで基本高水を決定いたします。基本高水につきましては、ここにも記してあるように、社会資本整備審議会の意見聴取ということが定められております。
およそ、この基本方針に沿って20~30年間程度を目安とした整備の目標と河川工事の種類、場所などをこの計画の中で定めてまいることになります。
ご理解いただきたいと思いますが、河川法の体系です。基本方針によって基本高水が設定され、そして社会資本整備審議会の意見聴取を行う。
この方針に基づいて整備計画が作られて、この整備計画ではおよそ20~30年程度を目安とした工事種類、目標、場所などを定めていると、こういうことであります。
一方で、この資料のこの右下のところにありますのが今回の検証体制における検証の中身であります。ダム事業の検証ということで、この河川整備計画の検証を行っていくということになります。
ちなみに、この河川整備計画が策定されていない水系、実は利根川水系もそうですが、こういったものにつきましては検証の中で、まず河川整備計画の目標に相当する目標を設定して、それを基に検証を進めていくことになります。
そこで今回私が申し上げたとおり、当時の基本高水の検証モデルというものが明らかに出来ない状況であると。
これは徹底的に調べると申し上げておりますが、この中で、当然ながらモデルの検証も行っていくということですから、場合によっては、この基本高水も変更、検討というところで社会資本整備審議会への意見聴取も行うということが当然ながら起きることもあるということです。
この基本高水の見直しに、今回の検証が直接結びつくということではなくて、改めて私自身が大臣を拝命してこの問題について詳細な調査を行ったところ、こうした流出モデル等の点検が出来ないという状況であるということでありますので、まずはその資料なり、経過を明らかにせよということで指示を出したところでございますので、今後も基本高水の変更の可能性などについても、検討を行うということでご理解をいただきたいと思います。
まずは、この利根川の治水計画について申し上げました。