八ッ場ダムの代替地 安全計算にミス 土砂災害の危険

2010年11月2日
 
 国土交通省は本日、八ッ場ダム事業の一環である川原湯温泉の移転代替地(打越地区)の造成について、安定計算にミスがあったと記者発表しました。

 国土交通省の記者発表資料は、国土交通省八ッ場ダム工事事務所のホームページに掲載されています。↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/yanba/kisya/h22/h221102.pdf

★上記より一部転載

 平成22 年8 月30 日付けで群馬県に報告した「八ッ場ダム建設事業に伴う代替地の安全性について」における安定計算の結果の一部に誤りがあることが確認できたため、本日付で群馬県に対し別紙1のとおり通知しました。
 この安定計算結果の報告は、宅地造成等規制法に基づく造成宅地防災区域の指定に関する判断を行うために、その指定権者である群馬県からの要請を受けて提出したもので、この報告に基づき、平成22 年9 月22 日付けで群馬県から八ッ場ダムの代替地に対して造成宅地防災区域の指定は行わない旨発表があったものです。
 今回の安定計算の結果の誤りは、データの入力ミス等に起因するものですが、造成宅地防災区域に関して行った群馬県の判断に影響を与えるものと考えられるため、本日、修正計算結果を群馬県に再提出するとともに、必要と考える対策案を提示しました。
 造成宅地防災区域の指定に関しては、改めて県の判断を仰ぐこととしています。

 また、現在までに判明している事実関係等は別紙2のとおりです。
 なお、修正計算結果による限りは、現在お住まいの家屋に影響を与えることはないと考えております。
 国土交通省としましては、今後とも、地元住民の方々に対して法令上適正な代替地を提供していく考えに変わりはありません。

~~~転載終わり

 代替地の安全性には多くの問題があります。本年4月に代替地の安全性について八ッ場あしたの会が公表した情報をこちらに掲載しています。↓
https://yamba-net.org/wp/modules/genchi/index.php?content_id=18
(代替地の安全性と関連工事の問題)

 国土交通省が本年8月30日に群馬県に伝えた報告には、今回の記者発表の内容以外にも、多くの代替地で地下水の存在を無視して安定計算を行っているなど多くの問題点があります。

 「国土交通省としましては、今後とも、地元住民の方々に対して法令上適正な代替地を提供していく考えに変わりはありません。」とありますが、今回の問題は法令に反していることから起こったものであり、これのみが問題であったとは考えにくい状況です。また仮に法令に違反とまでは言えないとしても、そのことをもって安全が確保されていとはいえません。行政職員の職務は法令上適正であるよう努めることですが、政治は住民が安心して暮らせることを保証しなければなりません。代替地は本当に安全が確保されているのか、これまで犠牲になってきた地元の人々に著しく不利な条件を押し付けてはいないかー生活者の立場に立った政治の真摯な取り組みが求められます。
 これらの問題については、順次ホームページで指摘したゆきたいと思います。
 
 関連記事を転載します。
 
◆朝日新聞社会面 2010年11月2日
http://www.asahi.com/national/update/1102/TKY201011020452.html

ー八ツ場移転代替地、大地震で崩落の恐れ 耐震計算ミスー

 八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の水没予定地の住民たちの移転先となる代替地の一部が、阪神大震災や新潟県中越地震級の揺れで崩落する恐れがあることがわかった。造成した国土交通省が「耐震性の計算を誤った」と2日、発表した。危険個所に住宅は建っていないが、地盤補強の追加工事でさらに数千万円が必要という。

 国交省が崩落の危険があると判断したのは「打越代替地」の一部。温泉街のある川原湯地区の住民の移転先だ。谷を埋めて造成した斜面の盛り土部分の耐震性を計算した結果、震度6~7の大地震に耐える安全度の基準を下回った。

 中越地震を受けて改正された宅地造成等規制法では、高台に造成した宅地の地盤が地震で崩落しないよう、盛り土の量や斜面の角度、地質などを計算し、耐震強度を確保することを求めている。群馬県が昨年2月、代替地を造成した国交省に対し、正しく計算したのか回答を求めていた。

 国交省は今年8月、業務を受注したコンサルタント会社の計算結果をもとに「大地震でも問題はない」と回答。しかし、この業者が業務の報告書を取りまとめるために再び計算したところ、地質の数値を誤って計算していたことが判明したという。

 打越代替地には9月末時点で14世帯が移転済みで、温泉街の共同浴場や旅館なども移転を予定している。問題となった斜面は一部が家庭菜園になっているが、住宅はない。しかし、県道が造成されることになっている。国交省は今後、耐震性を確保するため斜面を補強する。
 同省八ツ場ダム工事事務所の佐々木淑充所長は「ご迷惑をおかけし、申し訳ない」と話している。(菅野雄介)

◆2010年11月2日 読売新聞社会面より転載
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101102-OYT1T01118.htm?from=navr

ー八ッ場ダム、住民移転の代替地に斜面崩壊の危険ー

 国土交通省八ッ場(やんば)ダム工事事務所(群馬県長野原町)は2日、ダム建設事業で水没予定地の住民が移転する代替地の盛り土部分について、大規模地震時に斜面が崩壊する危険があると発表した。

 危険が発覚したのは、川原湯温泉街が移転する「打越代替地」。9月末現在、14戸が移転しているが、盛り土部分に住宅は建っておらず、対策工事も半年以内で終わるという。

 造成は1999年に開始。県は2009年2月、盛り土部分が、造成開始後の06年に施行された改正宅地造成等規制法で安全対策が必要な「造成宅地防災区域」に該当するかどうか判定するため、同事務所に調査を依頼。同事務所は今年8月、基準値を満たしていると県に報告したが、業務を請け負った建設コンサルタントが10月中旬、「計算ミスがあった」と連絡。再計算で基準値を下回っていることが判明した。

◆2010年11月2日 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/today/news/20101103k0000m040049000c.html

ー八ッ場ダム:移転代替地に土砂崩れの危険ー

 民主党政権が建設中止を打ち出している八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)問題を巡り、国土交通省八ッ場ダム工事事務所は2日、水没予定地の住民が移転する代替地の一部で、大規模な地震が起きた場合、土砂崩れが起きる危険性があると発表した。この場所に家屋はないが、家庭菜園があるほか、県道の一部が通っているという。

 移転代替地は、斜面に盛り土して整備しているため、土砂崩れの危険性を指摘する声が以前からあったが、同事務所は今年8月「安全性に問題はない」との調査結果を発表していた。

 ところが発表後、データの入力ミスが発覚。計算し直した結果、調査した4地区のうち1地区では「安全率」の最低値が基準の1.0を下回り「斜面崩壊の危険がある」とされる0.989になる部分があった。補強工事で安全を確保できるとしている。【鳥井真平】

◆2010年11月2日 TBSニュース 動画あり
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4566356.html

◆2010年11月3日  読売新聞群馬版より転載
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20101103-OYT8T00131.htm

ー国の不手際 住民不満……八ッ場盛り土 計算ミス見抜けずー

 八ッ場ダム(長野原町)水没予定地の川原湯温泉街が移転する「打越代替地」の盛り土を巡り、国土交通省八ッ場ダム工事事務所は2日、大規模地震時の斜面崩壊の危険性を公表した。同事務所は、対策工事で危険は解消されると強調するが、安全性を確認する際の計算ミスが発覚しなければ、対策もとられなかっただけに、住民からは国の不手際に不満の声が上がった。

 同事務所によると、山の斜面を削る「切り土」による造成に対し、斜面に土をかぶせる「盛り土」は不安定という。打越代替地に占める盛り土部分の割合はわずかで、住宅は未着工だが、すでに移転した住民の家庭菜園の敷地の一部や未分譲地、県道、公園の予定地が含まれている。

 県庁で記者会見した同事務所の佐々木淑充所長は「大規模な揺れが繰り返されれば、どのような影響が出るか分からない」と危険性を認め、「地元の方に不安を与え、申し訳ない」と謝罪した。

 今年8月、一度は、県に代替地の安全性に問題がないと報告しながら、計算ミスを見抜けず、危険性の発覚が遅れたことについては「技術者として恥ずかしい」と頭を下げた。

 同事務所では同日から、職員が住民への説明を始めているが、代替地を生活再建の中心に据える住民は不満を隠しきれない。

 打越代替地に移転予定の50歳代男性は「国は今まで強度は大丈夫と言っていたので不信感が募る。民主党やダム建設反対派に(中止の)いい口実を与えてしまう。工期が延びるのも心配だ」と表情を曇らせる。

 川原湯温泉街で食堂「旬」を営む水出耕一さん(56)は「国は、『万が一のことがないように安全を確保している』と説明していたので残念だ。補強工事で安全性を高めてほしい」と注文をつけた。

(写真)模式図を示しながら、計算ミスについて説明する佐々木淑充所長(左)(2日、県庁で)