2010年11月11日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581011110001
ー「中止」後も続く工事 記録映像にー
「八ツ場ダムはなぜ止まらないのか」と題した記録映像作品を、前社民党衆院議員で「国会の質問王」と呼ばれた保坂展人さん(54)が企画し、10日完成させた。中止表明から1年が過ぎたいまも周辺工事が続き、「中止」の看板は「予断なき検証」に書き換えられた。映像は、大型公共事業の問題点をあぶり出す。(菅野雄介)
10月下旬、ダムで全戸が水没する長野原町川原畑の移転代替地。保坂さんが、真新しい一戸建ての前で住民の中嶋藤次郎さん(69)にインタビューした。2人のやり取りを集音マイクとビデオカメラがとらえる。
保坂さん「私は八ツ場ダムは必要なのか、という立場で国会で議論してきた。しかし(中止表明後の)現状をみると、地域の人たちが展望を見いだせない状況が続いている。よくないと思う」
中嶋さん「ここに残ったのは、ダム湖に何かを期待した人たち。(ダムを)造らねえんだったら、代わる何かを造ってもらわないと」
保坂さん「別の形でもいいんですね」
中嶋さん「それでいい」
ダム建設が地域振興の起爆剤になると信じてきた人たちは、ダム中止で地域がどうなるのかを不安がっている。保坂さんは住民の本音を引き出していく。
保坂さんが7月の参院選比例区に立候補した時、都市部で八ツ場ダムの話をすると、何人かが保坂さんに同じように尋ねた。「大臣の一言で止まったんじゃないの」。問題は解決済みという誤解が広がっていた。
国政復帰はかなわなかったが、多くの人と問題意識を共有したいという気持ちは強まった。「中止の方針は変わらない」としつつ、水没を前提とした代替地への移転を進める「不条理」を、映像で伝えられないかと思ったという。
保坂さんは言う。「八ツ場ダムの問題が長引いても、政治家も役人も困らない。ダムを造るか造らないかの結論が出ないまま、工事が漫然と続き、損をするのは地元住民と税金を使われる納税者だ」
映像作品では、水没予定の川原湯温泉街の現状、本体以外の工事が進む様子などを紹介。火山性の軟弱な地質や、ダム予定地上流のヒ素汚染といった問題にも切り込んだ。
保坂さんは16歳で内申書裁判の原告となった後、教育ジャーナリストとして活動。1996年から衆院に3回当選。国会では546回の質問を重ねた。超党派の「公共事業チェック議員の会」の事務局長も務めた。
作品はDVDで約40分収録。22日に発売予定で、団体は1本1万円、個人は2千円。賛同者に制作協力費も募っている。問い合わせは保坂展人事務所(03・5347・9703)へ。
—転載終わり
このDVDは、11月21日に東京で開催するシンポジウム会場で発売を開始します。シンポジウムでは、DVDの一部上映、保坂のぶとさんによる現地報告も予定しています。
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