八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

問題山積の八ッ場付替え国道19日開通へ

 問題の山積している八ッ場ダムの付け替え国道が今月19日に開通するとのニュースです。この付け替え国道は八ッ場ダムの「生活再建事業」の中で最も予算が多く、地域住民に期待されてきた道路です。
 群馬建設新聞によれば付け替え国道の開通により草津温泉などダム予定地上流への観光の利便性アップが期待されており、当日はセレモニーが予定されているようです。実際、地域が八ッ場ダムを受け入れた大きな要因が、災害に弱い吾妻川沿いの現国道の付け替えでした。
 けれども、付け替え国道は四車線高規格で予算が決定していますが、実際には二車線しか造られていません。また上毛新聞が伝えているように、現国道との接続部分にJRの小さな踏切があり、本来はJRの付け替えが完了してから開通する予定でした。JRの付け替えが予定の本年度に間に合わない理由は用地買収の難航とされていますが、用地買収の見通しは立っていません。
 川原畑地区の開通部分には9月、11月と二度にわたって落石事故が発生し、法面崩落によりアンカーボルト工を施した場所も各所に見られ、抑え盛土工により迂回路となっている箇所もあります。今後、全線開通したとしても、地質、地形に無理がある付け替え国道は維持管理に大きな負担が予想され、また災害の危険性と隣り合わせになる可能性が高いと見られます。
 

◆2010年12月11日 上毛新聞より転載

 -八ッ場バイパス 9.4キロが正式開通 19日に 残り区間に遅れ

 八ッ場ダム建設事業の生活再建関連事業として国、県が東吾妻、長野原両町で進めてきた国道145号の付け替え工事(八ッ場バイパス、10.8㌔)のうち、9.4㌔が19日に開通する。残り区間はJR吾妻線の付け替え工事の難航で遅れる見込みで、県は国と対応策を協議する。
 県によると、未開通だった長野原町横壁の1.1㌔区間が完成。町道としてすでに暫定供用済みの2区間計8.3㌔を含め、東吾妻町松谷の雁ケ沢ランプから長野原町長野原までが国道として正式に開通する。
 残る1.4㌔は現在の吾妻線上に道路を建設するため、吾妻線の付け替えが完了次第着工し、開通させる予定だ。だが、線路の付け替えが用地取得の難航で当初予定の本年度末に間に合わない見通しという。
 現状では、バイパスと国道の接続が急傾斜で急カーブになり、吾妻線の踏切を通るため、渋滞が懸念される。県は暫定的に踏切を設け、吾妻線付け替え前に開通する対応策などを検討している。

◆2010年12月11日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581012110002

 ー八ツ場バイパス、19日開通予定ー

 国土交通省八ツ場ダム工事事務所は10日、八ツ場ダム(長野原町)の水没地区の移転代替地を結ぶ付け替え国道145号(八ツ場バイパス)9・4キロが今月19日正午に開通すると発表した。

 また、同バイパスで供用開始していた同町川原畑地区で9、11月にあった落石に伴い、約410メートルが片側通行に規制されていたが、9日に解除したと説明した。

◆2010年12月8日 群馬建設新聞より転載
http://www.nikoukei.co.jp/gunma/201012/20101208/kj101208_01.htm

 ー八ッ場BP19日開通(八ッ場ダム関連整備事業) 林岩下線は年度内供用

 国道145号八ッ場バイパスが19日開通へ-。八ッ場ダム建設に伴い進められていた、JR吾妻線や国道145号など基幹道路の付替工事が終盤を迎えている。本年度中に完成を目指して進められているのは付替鉄道JR吾妻線・付替国道145号・付替県道林岩下線。国道145号八ッ場バイパスの開通は、草津方面へのアクセスを飛躍的に向上させ、来年に本県で展開される大型観光キャンペーン群馬デスティネーションキャンペーンに弾みがつく。
 
 本年度の事業完了を目指して進めている八ッ場ダム関連整備事業の主なものは、JR吾妻線、付替国道145号、付替県道林岩下線。また付替県道林長野原線は、平成24年度の完成を目指している。この中で国道145号は年内に完成となる見通しで、今月19日に開通式が挙行される予定。
 JR吾妻線の今後着手する工事は、付替の始点部分、横壁トンネル出口部分、新川原湯温泉駅舎と全線の電気設備となっている。現在は、長野原地内と川原湯地内で工事が進められており、長野原地内では八ッ場トンネル出口から川原湯トンネル入口区間や長野原草津口駅の手前に架けられる第3吾妻川橋梁からの高架橋の延伸工事およびレール整備が行われている。今後は、第3吾妻川橋梁から延びる高架橋の促進と軌道工事(レール整備)の早期完成を目指し、さらに高架橋から長野原草津口駅間の盛土工を実施する。また、全線の整備完了後に線路の電気設備工事が行われる。川原湯地内では、新川原湯温泉駅舎の整備や軌道整備のためのボックスカルバート工を実施。同線は、岩島駅から長野原草津口駅までの全長L10・4㎞を付替えている。
 国道145号は、暫定供用区間を含み長野原町久々戸地先から東吾妻町の雁ヶ沢ランプまでが全線開通する。国道145号八ッ場バイパスは、地域高規格道路としても位置づけられており、全体延長は東吾妻町松谷から長野原町長野原までのL10・84㎞(基本幅員W25m)。この間を、雁ヶ沢トンネル、茂四郎トンネル、久森トンネル、3号橋などを通過し、長野原めがね橋までを結ぶ。この区間の開通により、渋川から草津方面のアクセスが飛躍的に改善されることになる。
 付替県道林岩下線は、湖面2号橋前後の道路工が完成することで同線の整備がほぼ完了する。同線も長野原町林地区立馬地先から東吾妻町松谷地先区間で年度内に供用を開始する予定。
 付替県道林長野原線では、長野原町立第一小学校付近から国道145号までの区間と白砂川橋の架設を実施する。国道との接続区間について整備を促進、白砂川橋は、今後工事着手となる。
 白砂川橋梁は、L210m・75mの2径間連続PCエクストラドーズド橋。下部工は、橋台A1が柱式の深楚杭基礎φ5m・L14mを2本。橋台A2は、逆T式の場所打ち杭基礎工でφ2m・L12mを8本設置する。橋脚は、ラーメン式で直接基礎で対応する。A2橋台は発注済みで岩井土建が施工。橋梁の実施設計は建設企画コンサルタント、詳細設計は長大が担当した。
 八ッ場ダム事業は、政権交代により誕生した民主党政権で、前原国土交通大臣(当時)によるダム中止発言で、本体工事の入札は中止された。その後、報道等で大きく取り上げられたため、全国から注目を集めた。ダム本体に注点が集まりがちだが、これまでダム事業により、地域に必要な基盤整備さえも後回しにされてきたのも事実。地域に必要な事業が遅れることがあってはならない。