民主党政権3人目の国交大臣、大畠章宏氏就任

 馬淵大臣が参議院の問責決議で引きずり下ろされ、代わって大畠章宏氏が民主党政権下3人目の国交大臣として就任しました。
 馬淵大臣の問責決議の理由として自民党が掲げたのは、一つは尖閣問題でしたが、もう一つは八ッ場ダム問題でした。八ッ場ダムの中止を棚上げして地元を混乱させたという理由ですが、地元を半世紀以上混乱させてきた自民党がこのような問責決議を提出したこと自体、政争の具として地元を愚弄するものです。
 馬淵大臣は、八ッ場ダムの必要性の根拠とされる基本高水(利根川の治水基準点における想定最大流量)が科学的裏づけを欠いたものであることを明らかにし、基本高水の再計算を指示したことから、国交省か選挙区にとっては不都合な大臣だったといわれます。
 自民党の中でも八ッ場ダム事業に疑問を投げかけている河野太郎衆院議員は、ブログで大臣交代を厳しく批判しています。

http://www.taro.org/2011/01/post-892.php
「馬淵大臣辞任を惜しむ」(2011年1月15日)

 また、東京新聞特報部(1月16日付)は、河野太郎議員の言葉を紹介し、「日本の治水行政を変える、歴史的なことをやってくれた。他の閣僚が全員代わっても、馬淵氏だけは留任してほしかったと、国交相交代を惜しんだ」と報じています。
 一方、同じ自民党でも建設省河川局OBの脇雅史参院議員と共に国交大臣批判の急先鋒であったはずの八ッ場ダム推進議連会長の佐田玄一郎衆院議員は、15日の地元紙(上毛新聞)によれば、「大臣が変わりすぎ。そのたびに発言が変わり、政権に一貫性がない」と発言して、国会で追及する考えを示したとされています。ダム予定地では佐田議員の関連会社の看板をよく見かけますから、その意図は大変わかりやすいといえます。
 仙石官房長官の問責決議の影で、政官財の利権集団によって国交大臣が交代させられたわけですが、こうした状況に民主党はどの程度、問題意識をもっているのでしょうか?

◆2011年1月15日 東京新聞群馬版より転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20110115/CK2011011502000063.html

ー早くも3人目 困惑 国交相交代で八ッ場関係者―

退任の記者会見をする馬淵氏=国交省で

 「また、大臣の交代か。地元が混乱するだけだ」-。十四日の菅内閣の改造で、八ッ場(やんば)ダムを担当する国土交通相の馬淵澄夫氏が退任し、大畠章宏氏が新国交相に就任。政権交代で一昨年九月に当時の前原誠司国交相がダム建設中止を宣言後、わずか一年四カ月の間に三人の大臣という事態に地元・長野原町の住民は戸惑いを隠せない様子だ。 (山岸隆)

 大沢正明知事は「一日も早く、一都五県の知事や地元のみなさんの声を聞いていただくとともに、深刻な現地の状況を把握していただきたい」と、新大臣に現地理解を求める談話を発表した。

 高山欣也町長も「地元を知っている馬淵さんの続投の方が良かったが、国の事情だから仕方がない。新大臣は知らない人だから、不安もあるので、引き継ぎをしっかりしてほしい」と指摘した。

 八ッ場ダム水没関係五地区連合対策委員会の篠原憲一事務局長も「大臣が短期間で代わりすぎる。しかし、誰が大臣になろうと、ダム建設の中止を撤回しなければ同じだ。地元住民の生活再建に力を入れてほしい」と語気を強めた。川原湯温泉街の近くで乳業を営む豊田武夫さん(59)は「政治のことについては、何とも言えない」としながらも「ダム建設予定地はもろい地質など安全上の問題もあり、新しい大臣には現地を視察してほしい。地元住民との意見交換会が実現すれば、本音で語り合いたい」と語った。

◆馬淵氏退任会見「対話できず残念」
 馬淵澄夫・国交相退任会見の八ッ場ダム関連発言要旨は次の通り。

 「八ッ場ダム問題については、副大臣時代の一年間、前原誠司大臣を支えて取り組んできたが、大臣拝命後は、あらためて(ダム建設の是非を判断する)再検証の道筋を付けた。その中で(再検証は)一切の予断を持たずに行うことから、(前提としてきた)中止の方向性については言及しないと(地元住民に)申し上げ、政策転換によって、より現実的な検証の舞台に上げたことは一定の成果だと思う」

 「(同ダム建設の根拠となっている利根川で起こりうる最大規模の洪水流量である)基本高水流量の再検討も新たなスタートを切った。透明性、客観性、公平性を持って、反対派、推進派も納得いただける結論を出すという方向を打ち出した。新たな大臣の指示、方針の下で進めていただきたい」

 「地元住民との対話(意見交換会)ができなかったことは残念。何度か(地元に)お願いしたが、かなわなかった。新大臣にしっかりと住民との対話をしてほしい」

◆2011年1月15日 上毛新聞より転載

ー「先見えなくなった」 工期さらに3年延長 2度目の国交相交代 長野原 八ッ場の町 怒り、不安 ー

 「また先が見えなくなった」-。国土交通省が14日、八ッ場ダム建設が決まっても事業完了が今の計画より3年遅れる見通しを示したことで、問題の長期化に苦しむ長野原町の水没予定地住民に怒りと不安が広がった。加えて同日は内閣改造で国交相が交代。中止表明からわずか1年4カ月の間に担当大臣が2回も替わる事態に、住民だけでなくダム推進・慎重両派から疑問の声が上がった。

 反対派も疑問の声

 「疲弊した地元民にとって3年は長い。国はその間の損害補償を考えるべきだ」。川原湯温泉の老舗旅館「高田屋」の豊田明美社長は語気を強めた。問題の先行きが見えず、昨年11月から休業しているだけに、さらなる長期化の可能性に怒りを募らせる。林地区で農業を営む60代男性も「住民が安心して生活できるのはいつになるのか」とため息をついた。
 高山欣也町長は「民主党が中止方針を掲げたことで生じた遅れ。遅れを取り戻すため、国は検証でダムの必要性を一日でも早く認めるべきだ」と強調。大畠章宏氏の国交相就任については「想定外だった」と困惑しつつも,大畠氏がダム建設に参画している茨城県の選出であることから「地元の意向を汲み、ダムの必要性を理解してもらえることを期待したい」と話した。
 馬淵澄夫国交相は14日の退任会見で「中止の方向性という言葉は使わない」とした昨年11月の現地視察での発言について「新大臣に説明し、理解をいただいて判断してもらう」と述べたほか、地元住民と対話ができなかったことを「残念でならない。新大臣にはしっかりと対話してもらいたい」と期待した。
 だが、相次ぐ大臣交代に住民らは怒りを募らせる。八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会の萩原昭朗委員長は「誰が大臣になってもダムを前向きに考えてくれなければ同じ」と切り捨て、大畠氏との意見交換についても「現時点でその考えはない」と語った。
 建設見直しを求めている市民団体「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長も「行政の継続性という観点から見ても、政府がこの問題に真剣に取り組んでいるのか疑問を持たざるを得ない」と批判。自民党の八ッ場ダム推進議連で会長を務める佐田玄一郎衆院議員は「大臣が変わりすぎ。そのたびに発言が変わり、政権に一貫性がない」として国会で追及する考えを示した。

◆2011年1月15日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581101150001   

 -国交相3人目 八ツ場に無力感―  

 これで、3人目――。八ツ場ダム(長野原町)建設問題の命運を握る国土交通相が14日、またも交代した。建設中止の方針を棚上げにした馬淵澄夫氏から、中止をマニフェストに盛り込んだ鳩山由紀夫前首相のグループの大畠章宏氏に。地元からは不満や不安の声が上がった。

 ダムが完成すれば全戸が水没する川原湯地区。この日午後6時ごろ、住民らが広場に集まってきた。正月飾りを焼いて無病息災を祈るどんど焼きだ。

 ダム建設に伴う移転で人口が急減したため、今年は温泉街に加え、別の集落も参加した。はしゃぐ子どもたちと対照的に住民の顔は渋い。

 消防団の副団長を務める豊田幹雄さん(44)は「(新旧大臣の)引き継ぎにまた時間がかかっちゃうね」とぽつり。町議の冨澤吉太郎さん(70)は「淡々と(ダムの必要性の)検証を進めてくれればいい」と話した。

 昨年1月の前原誠司国交相(当時)と地元住民の意見交換会。川原湯温泉観光協会長の樋田省三さん(46)は「湯かけ祭りに参加してください。褌(ふんどし)を用意して待ってます」と前原氏に声を掛けた。

 氷点下の早朝に温泉の湯を掛け合う地元の奇祭。樋田さんによると、当時、副大臣としてこのやりとりを聞いていた馬淵前国交相は昨年末、「湯かけ祭りに参加したい」と協会に打診してきたという。だが今月20日の祭りを前に大臣は交代し、「話はなくなった」と受け止めている。

 ダム中止方針を棚上げし、ダムの必要性を予断なく検証すると明言した馬淵前国交相には期待した。しかし新任の大畠国交相は鳩山前首相と同じグループだ。川原湯温泉で土産物店を営む樋田ふさ子さん(81)は「また、裏切られるかもしれない」。

 一昨年の政権交代でダム建設が止まってから1年4カ月。当時の前原国交相は生活再建の実行を約束したが、「生活再建なんて実感できない。川原湯温泉はメチャクチャになった」。実際、温泉街では老舗旅館の休業が相次ぎ、新天地である代替地への移転も進まない。

 14日、隣の川原畑地区では、伝統行事の鳥追い祭りが行われていた。区長の中島泰さん(61)は「役所の人は次々交代するけど、ずっとここにいる我々は1年の重みが違う」と不満を漏らした。

 八ツ場ダム水没関係5地区連合対策委員会事務局長の篠原憲一さん(69)は、民主党にマニフェストを修正する動きがあることに期待する。

 「新大臣も一度、現地を訪れて勉強してくれれば良い。どれだけ工事が進んでいるかを見てくれれば、このまま造るべきだと思うはずだから」

 大沢正明知事は「大畠大臣には、1日も早く1都5県知事や地元のみなさんの声を聞き、深刻な現地の状況を把握していただきたい」とコメントを出した。

 一方、民主党県連会長代行の中島政希衆院議員は取材に対し、「国交相が代わっても八ツ場ダム中止という方向は変わらない。中止はマニフェストのコア部分だ」と話している。

  ◆2011年1月15日 読売新聞政治面より転載
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110115-OYT1T00465.htm  

-国交相また交代…八ッ場ダム地元「先見えない」―  

 14日発足した菅改造内閣で、建設か中止かで揺れる八ッ場ダムを所管する国土交通相に大畠・前経済産業相が就任した。

 2009年9月の政権交代直後に建設中止を表明した前原国交相(当時)以来、3人目の大臣となる。地元の群馬県長野原町では「だれが就任しても同じ」「先が見えない」という声が出るなど、停滞とあきらめの雰囲気に包まれている。

 昨年11月に「中止の方向性という言葉に言及しない」と宣言した馬淵・前国交相は4か月足らずで事実上の更迭となった。川原畑地区ダム対策委員長の野口貞夫さん(67)は「馬淵さんは(八ッ場ダムの)事情は知っていたと思う。ある程度継続してやってもらった方が良かった気もする」と話した。

 大畠氏について、川原湯地区ダム対策委員長の樋田洋二さん(63)は「全く未知の大臣のため、住民はますます先が見えなくなり、不安になっている。あきれかえってコメントしようがない」と冷ややかに語る。

 川原湯温泉街では、ふんどし姿の男たちがお湯を掛け合う伝統行事「湯かけ祭り」が20日未明にある。祭りの余韻が残る昨年1月24日、前原国交相(当時)との意見交換会が地元で開かれた際、「来年、ふんどしを用意して待っている」と呼びかけた川原湯温泉協会長の樋田省三さん(46)は「大臣と住民の殺伐とした関係を和ませようと思った。実際に大臣が来ても来なくても、政治家は信じられない」と不信感を口にした。

 高山欣也町長は、大畠氏について「八ッ場について詳しく事情は知らないと思うが、その方が先入観なくダム問題に取り組めるのでは。ダムを必要とする下流の茨城県の人でもあるし」と、かすかな期待を寄せた。群馬県の大沢正明知事は「一日でも早く現地を視察していただいて、1都5県知事との会談をしていただければありがたい。地元の気持ちも考えてほしい」と話した。

◆2011年1月15日 毎日新聞埼玉版より転載
http://mainichi.jp/area/saitama/news/20110115ddlk11010254000c.html

 -菅再改造内閣:国交相に大畠氏 八ッ場ダム問題、知事が期待感 /埼玉―

 上田清司知事は14日、八ッ場ダム(群馬県)建設事業中止の見直しを打ち出した馬淵澄夫国土交通相が、内閣改造で大畠章宏氏に交代したことについて「特段八ッ場ダムについて知見を持っているとは聞いていない。(建設中止を明記した同党衆院選マニフェストなど)過去のいきさつにとらわれずに判断できる」と述べ、一定の期待感を示した。

 県庁内で記者団に語った。また枝野幸男氏が官房長官に就任したことには、「政策全般に強いし、細かい話なら仙谷(由人前官房長官)さん以上に強い。藤井裕久官房副長官の補佐も受け、小気味のいい発信をされることで立て直しの一翼が担えるのでは」と話した。【西田真季子】