八ッ場ダム建設再開なら完成3年遅れ、費用34億円増

2011年1月16日

 一昨日(14日)、国交大臣が馬淵氏から大畠章宏氏へ交代したその日、八ッ場ダム事業を進めてきた国交省関東地方整備局は、建設を再開した場合を想定した見通しを公表しました。
 国交省の公表資料については、こちらに説明を掲載しています。
https://yamba-net.org/wp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1126
(国交省公表資料の分析)

 説明がわかりにくかったせいか、NHKは工事を再開しても事業費はほぼ変化なしと報道し、中には事業費がかえって減額になると報じた紙面もありましたが、実際には工期3年延期、事業費34億円増です。マスコミは殆ど伝えていませんが、資料の「注」を見ると、さらなる事業費増額の可能性が少なくないことが読み取れます。

 関連記事を転載します。

◆2011年1月14日 朝日新聞政治面より転載
http://www.asahi.com/politics/update/0114/TKY201101140432.html

 -八ツ場、建設再開なら費用34億円増 完成も3年遅れ―

 本体工事が凍結されている八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の建設を再開した場合、完成は予定より3年遅れの2018年末になるとの見通しを、国土交通省が14日、示した。事業費も少なくとも34億円の追加が必要になるという。

 事業費を負担している利根川流域の6都県との検証作業の会合で明らかにした。1985年に地元が建設を受け入れて以降、2000年度に完成する予定だったが、すでに2度、完成が遅れている。

 政権交代直後の09年9月にダム本体の工事が中止された。現政権はダムが必要かどうかを検証する作業を今秋に終え、建設中止か再開かを判断することを目標にしている。だが、仮に再開しても、大型公共事業の入札には、競争性を確保するために周知期間が半年から9カ月程度は必要で、ダムの完成は3年遅れることになるという。

 ダムの総事業費は、現時点で国内ダムで最高の4600億円。これまでの検証作業で、完成までのコストを国が見直したところ、工事のやり方を変えるなどして21億7千万円が節約できるが、3年延長で人件費がかさむなどして55億3千万円が追加になり、少なくとも差し引き34億円が新たに必要という。

 この日の会合では、6都県から「完成の遅れも、事業費の増加も到底、受け入れられない」と反発が相次いだ。

◆2011年1月15日 読売新聞群馬版より転載
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20110115-OYT8T00134.htm

 -建設再開でも55億円負担増 八ッ場再検証―

 八ッ場ダム(長野原町)建設の可否を判断する再検証作業を巡り、検証主体の国土交通省関東地方整備局は14日、現行計画の建設事業費4600億円を点検した結果、施工計画の変更などで4578億3000万円に縮減されるとの試算を明らかにした。一方、建設再開が決まっても、2015年度の完成予定は3年遅れ、人件費増加などで、別途、55億3000万円の追加負担が生じる試算も公表した。

 試算は、ダム事業に関係する自治体と国が再検証について協議する「検討の場」の幹事会で明らかにされた。同整備局は「実際の金額や工期は大きく変動する可能性がある」と説明している。

 出席した流域6都県の幹部からは「3年間の遅延は認められない」「再検証は国の方針で始めたこと。遅延による追加負担を、我々が支払う理由はない」などと懸念する意見が相次いだ。

 これに対し、同整備局は「再検証では、基本計画の変更や、追加負担をどう負担していくかを議論するわけではない」と釈明した。

 同整備局では今後、堤防強化など、ダム以外の治水対策を実施した場合の費用を試算。ダム建設の場合とコストを比較するなどして、今秋までに再検証の結論を出す。

 また、利根川水系の基本高水(最大流量)の再計算結果を外部有識者にも検証させる問題で、同整備局は幹事会で、日本の科学者の代表機関「日本学術会議」に検証を依頼したことを明らかにした。

◆2011年1月15日 朝日新聞群馬版より転載
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581101150002

 -中断・延期に55億円 再開でも3年遅れ―

 今秋、検証結果が示される予定の八ツ場ダム(長野原町)で、建設が決まったとしても、予定より3年延びて2018年末に完成する見通しだと14日、国土交通省が東京都内で開いた関係6都県との意見交換の場で明らかにした。都県の部長級幹部らは一斉に反発し、「完成の遅れは生活不安だ」などと訴えた。

 国交省によると、ダムが計画通り建設されると、コスト削減などにより総事業費は21・7億円減の4578・3億円と試算された。だがダム建設中断・延期に伴い、工事用道路・買収地の維持管理6億円、動物や水質の調査など5・6億円、人件費・事務費など40・3億円などの計55・3億円が新たにかかるという。これについて東京都などからは「都県側は中断や延期は求めていない。新たな費用は国が負担すべきだ」などの意見が相次いだ。

 また、ダム建設の根拠の一つにもかかわらず、算出した資料が国交省で見つからなかった「基本高水」については、雨量・流量データの精度を点検し、1980年当時に作った計算モデルも改定する。また、検証については第三者機関に依頼し、学術的な評価も行う。

 川滝弘之県土整備部長は「国に対しては最大限早い時期に6都県が納得できる検証結果を出し、コスト削減や工期短縮をしっかり検討することを要求する」とコメントを出した。

 また、八ツ場ダム建設見直しを訴えている「八ツ場あしたの会」は14日、国交省の中間報告を受け、大畠章宏国交相に科学的なダム検証の実施や生活再建への取り組みを求める要請書を送った。

 要請書では、「工期の3度目の延長や事業費の再増額は八ツ場ダム計画そのものが破綻(は・たん)してきていることを改めて示すもの」とし、八ツ場ダムの建設中止を求めた。