検証不能な八ッ場ダム「治水」の必要性(東京新聞より)

2011年1月24日
 今朝の東京新聞で、八ッ場ダムの必要性の根拠である利根川の治水データへの疑問が改めて指摘されています。国交省と有識者会議は、科学的、客観的な検証作業を行うのでしょうか?

◆2011年1月24日 東京新聞一面より転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011012402000038.html

 -八ッ場 再計算なお疑問 国「流量3%減」 専門家「9%減」―

 八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)建設の根拠となってきた利根川の最大流量(基本高水(たかみず))が「過大ではないか」と指摘されている問題で、国土交通省が「基本高水減少割合は約3%」との再計算結果(中間報告)を公表したのに対し、専門家の計算では約9%減少するとの結果が出た。 

 国交省が詳しい分析に必要な資料を非公開にしているため、なぜ減少幅に違いが出るかは不明だが、同省の再計算結果に対して公表直後に疑問が提起されたことで、同省によるデータの全面公開の必要性がさらに高まった。

 国交省は利根川の基本高水算出に用いる「飽和雨量」(土壌保水力を示す係数)を、これまでの四八ミリから一二五ミリに増やして計算。その結果「基本高水は毎秒二万二千七十九立方メートルから、同二万一千三百五十九立方メートルへ、約3%減少する」との中間報告を、今月十四日に公表した。

 「減少幅が小さすぎる」と考えた拓殖大学の関良基准教授(森林政策)が、同様に飽和雨量を増やして計算したところ、基本高水は同二万一千九十七立方メートルから同一万九千二百五十立方メートルへ約9%減った。

 関氏は「国交省が検証に必要な『流域分割図』などを非公開にしているため、これ以上の分析ができない」としている。

 「減少幅3%は不自然だ」との指摘に対し、国交省は「コメントできない」(関東地方整備局)としている。

 同省は上流域を五十四分割した図を使用して計算しているが、「構想段階のダムの位置が特定され、混乱を招くおそれがある」と非公開にしており、関氏は旧建設省が一九六〇年代に作成した二十三分割図などを使った。

 利根川の基本高水は毎秒二万二千立方メートルで、市民団体などから「過去の流量と比べて過大ではないか」との指摘がなされていた。昨秋「土壌の保水力を示す『飽和雨量』を一般的な森林並みにすれば、基本高水は国の主張よりも15~25%減る」との専門家の計算結果が出たこともあり、馬淵澄夫前国交相が在任中に再計算を指示した。

<利根川の基本高水> 国土交通省は1980年の「利根川水系工事実施基本計画」で、47年のカスリーン台風並みの雨(3日間で319ミリ)が降った場合、利根川の治水基準点である八斗(やった)島(群馬県伊勢崎市)に最大毎秒2万2000立方メートルの水が流れると試算。これを前提に2006年策定の「利根川水系河川整備基本方針」で、八ッ場ダムを含む上流ダム群などで毎秒5500立方メートルを調整するとしてきたが、馬淵澄夫前国交相が「『方針』策定時に十分な検証が行われていない」として、妥当性検証を指示した。

◆2011年1月24日 東京新聞「こちら特報部」より一部転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011012402000079.html

 -国の「八ッ場再計算」を検証 信頼性欠く「3%減」 国の計算、現代科学と差―

 八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)建設根拠となってきた利根川の基本高水(たかみず)。「ダム建設ありきで、高めに設定されているのではないか」との指摘が絶えなかった。国土交通省が最近、これにあらがうかのような再計算結果(中間報告)を公表したが、早速、専門家から疑問の声が上がった。国交省の再計算を点検してみた。 (篠ケ瀬祐司)

【こちらは記事の前文です】
記事全文をご覧になりたい方は、東京新聞朝刊または、携帯電話の有料会員サービス「東京新聞・東中スポ」をご利用ください。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011012402000079.html