利根川治水の基礎資料の公開を求める裁判

 八ッ場ダムの検証に関わりの深い利根川治水の基礎資料の公開を求める裁判が行われています。八ッ場ダムを推進してきた国交省は資料の公開を拒んでおり、その理由には説得力がありません。よほど検証に耐える自信がないのでしょう。
 これまでの政策の誤りを認められない河川局の抵抗により、八ッ場ダムの検証も、ダム予定地の真の生活再建も進んでいません。

◆2011年1月26日 東京新聞より転載

 -八ッ場ダムの訴訟で国側 掲載本売っていたのに・・・  「公開資料でない」―

 販売資料なのに秘密文書とはー。八ッ場ダム(群馬県長野原町)の建設根拠となってきた利根川の基本高水計算の基礎資料公開を求めた裁判で、国側は二十五日、一般に販売された書籍の掲載資料を「公開したことはない」と主張。国の”非公開体質”があらわになった。(篠ケ瀬祐司)
 
 「学者などが研究目的で、個別に旧流域分割図を入手した可能性は否定できないが、二〇〇八年二月以前に一般に公開されていた事実はない」。東京地裁の公判で国側代理人は言い切った。すかさず原告側が「同種の資料は一般に売られていた本にも載っている」と反論。傍聴席に失笑が広がった。
 「旧流域分割図」とは、利根川上流域を二十三に分けた「流域分割図」と「流出モデル図」。両図は、原告側が訴状で指摘した旧建設省の資料(一九六九年作成)だけでなく、一九八六年に発行・販売された書籍「二訂 建設省河川砂防技術基準(案)調査編」にも掲載されている。
 そもそも原告側は、基本高水検証に不可欠な五十四に分けた図の公開を求めているが、国側は「構想段階のダムなどの情報が含まれ、国民に混乱を生じる恐れがある」として公開していない。
 そこで原告側は、構想中ダムが示された二十三分割図が公開されていたと指摘し、五十四分割図を非公開にする理由はないと訴えている。六九年の資料と八六年の書籍には、それぞれ複数の構想中ダムの情報が書かれている。
 原告の高橋利明弁護士は、取材に対し「構想中ダムの位置が実質的な秘密でないことは明らか。政府の行政透明化検討チームも『国民の混乱を非開示の理由にしない』との趣旨の『とりまとめ』を出しており、速やかに五十四分割図などを公開すべきだ」と強調した。