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東京都の水道水から放射性ヨウ素

2011年3月23日

 わが国では長いこと、水も安全もタダ、と言われてきました。
 東北関東大震災は、この社会を根底から覆してしまったようです。
 3月21日に福島県内で水道水から放射性物質が検出され、厚生労働省が一部地域で飲用を控えるよう要請したとのニュースが流れましたが、翌22日には、東京都民に水道水を供給している金町浄水場(東京都葛飾区)からも高い値の放射性ヨウ素が検出されたことが23日の記者発表で明らかになりました。
 金町浄水場は利根川水系の江戸川から取水しています。

 ★厚生労働省 報道発表資料 健康局
  http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/bukyoku/kenkou.html

 文部科学省のホームページには、全国の調査結果(3月18日以降毎日)が公開されています。
  ↓
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303956.htm

 本日23日のニュースによれば、東京の金町水道水から1リットル当たり190~210ベクレルの放射性ヨウ素131が検出されました。1歳未満の乳児の摂取制限の指標となる1リットル当たり100ベクレルの2倍以上の値となっていることから、乳児に限って水道水の摂取を控えるよう呼びかけが行われています。

 このよびかけ範囲が東京23区と武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市に及んでいるのは、金町浄水場のすぐ上流の江戸川から取水している三郷浄水場の水も同程度に汚染されていると予想されるので、その給水範囲も含めているからと考えられます。

 東京都の今回の調査結果を見ると、小作浄水場(東京都羽村市、多摩川から取水)が32ベクレル、朝霞浄水場(埼玉県朝霞市、利根川の水を荒川に入れて取水)が未検出となっています。

 ◆2011年3月23日 朝日新聞より転載
 http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103230282.html

 -都が乳児のいる家庭に水配布へ 水道水から放射性ヨウ素―
 
 東京都は23日、金町浄水場(葛飾区)の水道水から1キロあたり210ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。乳児の飲み水についての国の基準値の2倍を超えるため、同浄水場から給水している東京23区と多摩地域の5市を対象に、乳児に水道水を与えるのを控えるよう呼びかけている。

 金町浄水場は利根川水系の江戸川から取水している。同じ利根川水系から取水している千葉県も同日、全域に同様の呼びかけをすることを決めた。

 都の対象は23区の全域と武蔵野、三鷹、町田、多摩、稲城の5市で計約489万世帯。都は「基準は長期にわたって飲み続けた場合の健康への影響を考慮して設定されており、代わりの飲み水が確保できない時に一時的に飲むのならば差し支えない」と冷静な対応を求めている。緊急的な対応として、1歳未満の乳児1人につき、水550ミリリットル入りのペットボトルを3本、計24万本配布する。24日にも各区・市役所などで配り始める。

 厚生労働省によると、母親が飲んでも母乳や胎児への影響はなく、入浴など生活用水としての利用にも問題はないという。

 東日本大震災を受け、都は21日の降雨の影響を調べるため、22日午前9時に同浄水場からサンプルを採取。23日午前11時ごろ、基準値を超える値を検出したと報告を受けた。同日午前9時のサンプルでも190ベクレルを検出した。都は「21日の雨で大気中の放射性物質が溶け込んだため、濃度が上がったのではないか」とみている。サンプル採取から発表まで24時間以上かかったことについては「最大限早く対応した。発表が遅れたとは考えていない」としている。

 放射性ヨウ素が体内に入ると甲状腺がんなどの原因になることがある。原子力安全委員会は飲料水について、1キロあたり300ベクレルという基準値を定めているが、子どもは放射性ヨウ素が甲状腺にたまりやすいため、厚労省は牛乳や乳製品については1キロあたり100ベクレルという暫定的な基準値を設定。同省は21日、この値を水道水にも当てはめ、乳児に対しては与えないよう全国に通知していた。

 都は18日以降、水道の蛇口から出る水の分析を新宿区の施設で続けていたが、検出された放射性ヨウ素は人体に影響のない微量だったという。

 都は原発事故後、放射性物質の除去効果が期待できるとして浄水に使う粉末活性炭の量を通常の3倍にしていたが、今回の検出結果を受けて通常の4倍に増やした。

 農林水産省は製造や流通、市場の各団体に対し、「食品加工などの際に都の水道水を使うことは問題がない」として、冷静な対応を求める文書を23日に出した。

◆2011年3月23日 毎日新聞より転載
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110324k0000m040069000c.html

 -放射性物質:水道水からヨウ素…都「乳児の飲用控えて」―

 東京都水道局は23日、金町浄水場(葛飾区)で22日に採取した水道水から、乳児(0歳児)の飲用に関する国の基準の約2倍に当たる1キログラム当たり210ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。23日採取分も190ベクレルだった。都は水道水で粉ミルクを溶かしたり、乳児に飲ませたりしないよう呼びかけているが、「長期間飲み続けなければ、健康への影響は直ちにはない。代替水が確保できなければ飲んでもよい」としている。

 ◇国の基準の2倍
 金町浄水場は利根川水系の江戸川から取水し、東京23区と武蔵野、町田、多摩、稲城、三鷹市に供給。都水道局によると、家庭に届く水道水は途中の給水所で複数の浄水場からの水が混じる場合があることなどから、家庭での濃度は浄水場より低くなる。

 放射性ヨウ素については、食品衛生法に基づく基準で、乳児は水道水1キログラム当たり100ベクレル、それ以外は同300ベクレルを超える場合は飲まないよう定めている。都は国から乳児の水道水飲用に関する通知があったことや、21日未明に水源地域に降雨があったことから、22日午前9時に同水道局の11浄水場のうち、水系が異なる3浄水場を選んで検査した。

 その結果、朝霞浄水場(埼玉県朝霞市、荒川水系)からは検出せず、小作浄水場(東京都羽村市、多摩川水系)は32ベクレルだった。23日の検査では金町以外は検出されなかった。都は「福島第1原発の事故の影響であることは間違いない。雨の影響が考えられるが、詳しいことは分からない」としている。

 都は緊急に水550ミリリットル入りペットボトル24万本を用意し、関係区市を通じて乳児1人につき3本を提供する。都民向け臨時窓口(03・5320・4657、午前9時~午後6時)で相談に応じる。

 これを受け、厚生労働省は、原子力災害対策特別措置法に基づく水道水の「緊急時モニタリング検査」の対象を、従来の福島県内などから関東地方などにも広げることを検討する。同省水道課は、事故現場で放射性物質の放出が抑えられれば、基準値を超える地点は減るとみている。

 また、千葉県水道局は、県内にある利根川水系の3取水場で21日に採取した水を調べた結果、全てで放射性ヨウ素を検出し、1カ所は放射性セシウムも検出したと発表した。金町浄水場の下流約2キロの矢切取水場(松戸市)の原水からは放射性ヨウ素を41ベクレル検出。いずれも基準以下だが、県内の水道の水源はほぼ全域が金町浄水場と同じ利根川水系であることから「念のため」として、「乳児に飲ませるのは控えて」と注意を呼びかけた。

 一方、茨城県常陸太田市は23日、水府地区北部浄水場(同市天下野町(けがのちょう))で22日に採取した水道水から、1キログラム当たり245ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表した。市内の他の浄水場3カ所からは、基準を超える放射性物質は検出されていない。また茨城県は東海村の水道水からも188.7ベクレルが検出されたと発表した。【渡辺暖、野倉恵、森有正、黒川晋史、大久保陽一】

◆2011年3月24日 東京新聞より転載
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011032402000045.html

 -「乳児摂取控えて」 都の水道水 放射性物質―

 東京都は二十三日、金町浄水場(葛飾区)で採取された水道水から、食品衛生法に基づく乳児の摂取に関する暫定指標値の二・一倍の放射性ヨウ素が検出された、と発表した。同浄水場から給水される二十三区全域と武蔵野、三鷹、町田、多摩、稲城の五市を対象に、一歳未満の乳児が水道水を飲むのを控えるよう呼び掛けている。

 都水道局によると、金町浄水場で二十二日午前九時に採取した水道水から、一リットル当たり二一〇ベクレルのヨウ素131が検出された。乳児の基準一〇〇ベクレルを超えていたが、乳児を除く基準の三〇〇ベクレルは下回っていた。

 同時に調べた小作浄水場(羽村市)では三二ベクレル、朝霞浄水場(埼玉県朝霞市)では検出されなかった。別の放射性物質のセシウム137は三カ所とも検出されなかったという。

 二十三日午前九時に採取した測定値でも、金町浄水場で一九〇ベクレルのヨウ素を検出。朝霞、小作両浄水場では検出されなかった。

 この指標値は、年単位で摂取し続けた場合の健康への影響を考慮して設定されており、都は「この水道水で粉ミルクを溶かして与えても、長期にわたって飲み続けなければ問題ない」としている。

 大震災の影響で、ペットボトルの飲料水が手に入りにくい状況も踏まえ、都は対象区市に住む乳児約八万人に対し、区市を通じて、五百五十ミリリットル入りミネラルウオーター三本ずつを提供することを決めた。都の備蓄分を活用して必要な二十四万本を確保し、指標値を下回るまで提供できるよう調整するという。

 乳児を除く成人、幼児の飲用や生活用水としての利用には問題はなく、石原慎太郎知事は記者会見で「冷静に判断してほしい」と呼び掛けた。

 都水道局によると、指標値を超える放射性物質が検出されたのは初めて。福島第一原発事故の影響とみられるが、「どういう形で混入したのかは分からない」としている。

 十五、十六両日も、三浄水場で水道水の放射性物質を測定したが、事故前と変化はなかった。ただ、原発から空気中に放出された放射性物質が雨で河川に落ちる可能性があるため、降雨のあった二十二日に検査したという。都によると、金町浄水場は江戸川から取水し、主に二百五十万人に給水している。
    ◇
 茨城県常陸太田市は二十三日、水府地区北部浄水場で水道水一リットル当たり二四五ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと発表した。乳児の指標値である同一〇〇ベクレルを超えており、市は乳児が水道水を飲むのを控えるよう防災無線や市のホームページで呼び掛けた。市は市販のペットボトル二千七百本を市役所など市内五カ所に置いて提供している。

 一方、茨城県は同日、東海村の一般家庭で採取した水道水から同一八八・七ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと発表した。