熊本県、川辺川ダム予定地の五木村を支援

 民主党は2009年の総選挙において、八ッ場ダムと共に川辺川ダム計画の中止を掲げました。その後、八ッ場ダム計画は関係都県知事や地元自治体のダム推進の声に押されて中止を棚上げとしましたが、川辺川ダムの方は「中止」とされたままです。
 けれども、実際にはその後、中止の手続きはとられていません。水没予定地の五木村では、熊本県と共にダム中止後の法整備を国に求めてきましたが、国交省はダム中止を容易にする法整備に応じようとしていません。両ダム計画をめぐる国交省の姿勢は、官僚主導の政治を象徴するものです。
 そこで、このほど熊本県では、ダム計画のための予算をダム計画に関係なく五木村支援に支出することとなりました。熊本県議会では、このほど補償法の早期成立を求める意見書も採択されました。ダム計画に依存しない五木村の再生へ向けての取り組みが注目されます。
 

 国、熊本県、五木村による「五木村の今後の生活再建を協議する場」の資料は以下で見ることができます↓
http://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/saiken/saiken.html

 国がどのような制度で支援して上積みするかは今後の協議に委ねられます。

◆熊本日日新聞 2011年6月27日
http://kumanichi.com/news/local/main/20110627002.shtml

 -県が新たに50億円支援 五木村生活再建-

 国が建設中止を表明した川辺川ダム計画の水没予定地を抱える五木村と、国、県による「村の今後の生活再建を協議する場」の第5回会合が26日、村役場で開かれた。村の振興に向けて、県は総額50億円の新たな財政支援と国道445号の整備を表明、国も代替農地の整備を拡大することなどで合意した。

 大型公共事業中止後の地元補償法案が成立する見通しが立たない中で、国の交付金を活用するなど現行の予算制度で実施できる振興策について着手する。

 ダム計画に伴う生活再建事業をめぐっては、完了していない事業について国、県の見解がこれまで対立。昨年11月の前回会合後、具体的な役割分担などの協議を続けてきた。

 県は、地元の要望が強い国道445号の未整備区間約1・4キロの単独施工を決定。村振興のため創設した基金(総額10億円)とは別に、さらに50億円を拠出し、来年度から国道の整備を含む村振興事業の財源に充てる。

 国は、頭地大橋建設や代替農地造成などの生活再建事業を引き続き実施。さらに新たな農地の造成にも着手する。また、県や村が実施する事業について、財政面・技術面で可能な限り支援する。

 会合には、国交省九州地方整備局の藤澤寛河川部長、坂本基・県企画振興部長、和田拓也村長らが出席。今後も「生活再建を協議する場」を毎年開き、事業内容について検討することも決めた。

 終了後、和田村長は「こう着状態が解け大きな前進だ。50億円という県の決断はありがたい。どう有効に活用するかが課題だが、県と話し合いながら進めたい」と述べた。(臼杵大介、津留三郎)

(写真)協議を終えて握手する(左から)坂本県企画振興部長、和田村長、田山村議会議長、藤澤九州地方整備局河川部長=五木村

◆2011年6月27日 西日本新聞より転載
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/250517

 ー熊本県、50億円拠出 川辺川ダム中止 五木村再建協議で合意ー

 民主党政権が中止を表明した川辺川ダム計画の水没予定地がある熊本県五木村の生活再建策をめぐり、県は26日、2012年度から新たに50億円を負担し、国道整備などを県事業として取り組むことを明らかにした。国も財政支援を拡充する。この日、五木村であった国、県、村の協議で合意した。09年9月のダム計画中止の表明以降、混迷が続いた村の再建問題はようやく一歩前進する。

 県は、地元の要望が特に強かった国道445号の整備を12年度に着手、国は現行制度の交付金などの形で支援する。また国は、水没予定地をまたぐ橋の建設など4事業を継続し、道路整備などに伴う土砂を活用して農地拡充にも取り組む。

 五木村再建をめぐっては今年1月、国土交通省が、国の政策転換で大型公共事業を中止した地域を支援する補償法案の国会提出を断念。同法成立が前提だった同村再建も行方が不透明になり、多くの事業で、国、県のどちらが実施主体となるか決まらないでいた。県はこの日の協議に先立つ国交省との交渉で、優先度が高い事業は国の交付金などを活用し、県事業として早期実施することで一致していた。

 この日の協議で和田拓也村長は「村は疲弊している。早く事業に着手してほしい」と要請した。

◆2011年6月27日 読売新聞熊本版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kumamoto/news/20110627-OYT8T00103.htm

 -国道建設着手へ-

 国の川辺川ダム事業の関連工事として計画され、ダム建設の中止に伴って中断している五木村の生活再建策に関し早期再開で合意した国、県、村は26日、村役場で協議会を開いた。県が2012年度から50億円を上限に国道建設など再建策に取り組み、国は県の施策に対し高い割合の補助金を出すことなどを確認した。

 再建策は計11事業が予定されていた。国はダム建設の中止表明後、水没予定地上を結ぶ大橋の建設、消防署の移転補償、代替農地の整備など4事業については継続している。しかし、国道445号、村道の整備など残る7事業は役割分担の調整が難航し、中断されていた。

 この日の協議会で、県はダム建設を前提に予定していた事業と同規模の50億円を上限に取り組むことを表明。具体策として、7事業の一つである同国道の付け替え工事に12年度から着手することを明らかにした。

 一方、国は、7事業については自ら担当する意思は示さなかったが、県が行う付け替え工事などに対して補助金を出して支援する方針を示した。また、従来想定していた事業とは別に水没予定地だった土地の利活用策を村と検討することも明らかにした。

 役割分担が決まっていない事業については、今後も協議を継続する。

 協議会には国交省九州地方整備局の藤沢寛・河川部長、坂本基・県企画振興部長、和田拓也村長らが出席。再開へ向けて具体的に動き出したことについて、和田村長は「多少ではあるが肩の荷がおり、皆さんに感謝している。国、県の協力を受け、村の再建に向けて努力したい」と話した。

 村の生活基盤整備を巡っては、2009年、前原国交相(当時)がダム建設の中止表明後に補償法を成立させて取り組む方針を示したが、実現していない。

 蒲島知事は「補償法による生活再建を求める姿勢に変わりはないが、村の生活再建を早期に進める必要があると判断した。3者がそれぞれの役割を果たし、村の振興に取り組んでいく」とのコメントを出した。

◆朝日新聞熊本版 2011年6月29日
http://mytown.asahi.com/kumamoto/news.php?k_id=44000001106290001

 -五木村再建 補償法「早期成立を」ー

 県議会の総務委員会は28日、川辺川ダム計画で疲弊した五木村の生活再建のために国が約束した補償法の早期成立を求める意見書を採択した。26日に現行制度での村の再建策が合意されたのを受け、国の責任を明確にする狙いとみられる。

 意見書は菅直人首相と国土交通相、衆参両院議長あてで7月1日の県議会本会議に提案され、可決される見通し。

 26日に五木村であった3者協議では、村と県、国は補償法案の成立を待たず、国の補助金など現行制度を活用した事業に着手することで合意。県はまた、来年度から村の振興事業に総額50億円の財政支援を行うと表明した。

 こうした対応について28日の委員会では、「現実的な対応としては評価するが、(本来は)補償法でやるべきなのを忘れてはいけない」との意見が出た。坂本基・企画振興部長は今後も法案成立を求める姿勢を強調しながら、「政治の不始末を拾う状況には正直、忸怩(じく・じ)たる思いがあるが、名を捨てて実をとった」と心情を吐露した。

 一方、県が実施すると公表した村内の国道445号未供用区間の整備に国の財政支援がある点に触れ、「補償法で整備する場合と県の負担は変わらない。いわば知恵の産物だ」と説明。50億円の数字の根拠については、ダム計画で残された村の生活再建関連7事業が「実施された場合に県が負担するであろう額」とした。