2011年8月28日
3月11日の東日本大震災による福島原発事故以降、「原子力ムラ」の実態が次々と明らかにされてきました。けれども、内向きな利権構造でムラ組織ができあがっているのは、「原子力産業」だけではありません。ダムなどの河川行政を仕切ってきた「河川ムラ」も同じです。
最近出版された『原子力ムラを超えて』(NHK出版、飯田哲也・佐藤栄佐久・河野太郞共著、2011.7.30発行)のあとがきで、河野太郎衆議院議員がこの問題を取り上げています。
以下、八ッ場ダムに関連する箇所を転載します。
同書243~244ページ「あとがきにかえて」より、一部転載
「国土交通省の河川局は、水系にダムが必要かどうかを判断するための基本的な判断材料となる基本高水を数十年にわたり、捏造してきた。利根川水系にあらたにダムが造られたことを忘れて、数字を操作した結果、あらたに建設されたダムがなければぴったりとあう数字をつくってしまった。もちろん現実にはダムがあるからそうはならない。それで数字の捏造がばれた。
馬淵大臣が予算委員会でこれまで捏造に使っていた数値を発表し、真実を表に出そうとした。しかし、馬淵大臣が問責されたあと、河川局は河川族の政治家や河川村の学者、関連するシンクタンク、そしてあろうことか学術会議までを駆使してあらたなウソを創り上げた。
・・・以下、一部省略・・・
河川、道路、そして原子力。公の金が流れるところに利権が発生する。そして政治家や官僚までがその分配にかかわってくる。利権の最大化が目的になり、安全性や経済合理性はどこかに忘れ去られる。一部の人間にとっては好都合だが、国民にとって利益はない。」