八ッ場ダム推進議連

 民主党代表選を控えた8月24日、八ッ場ダム推進を目的とする議員連盟による全体集会が都内で開かれました。参加者は自民党議員を中心に約800名とも報じられ、ダム推進勢力の結束ぶりを見せつけました。
 自民党は八ッ場ダム問題を政権奪還のための格好のテーマととらえ、八ッ場ダム事業の迷走ぶりを民主党の失策であると主張しています。ダム構想から59年、こじれにこじれ、迷走を繰り返してきた国策の責任は、まずは自民党政権にあったはずなのですが、政治の責任はそれほど軽いものなのでしょうか。
 一方、八ッ場ダム見直しと地元の生活再建を掲げる関係都県議員の会は、9月1日に都内で総会を開きます。民主党政権が後退を繰り返す中、各都県の見直し派議員らは、議連の再構築を目指しています。

◆2011年8月25日 上毛新聞

 -「ダム中止撤回」決議 八ッ場議連 活動の強化も確認ー

 自民党国会議員による「八ッ場ダム推進と利根川水系の治水・利水を考える議員連盟」(会長・佐田玄一郎衆院議員)と「八ッ場ダム推進議連1都5県の会」は24日、東京都内で全体集会を開き、ダム中止の撤回と早期完成を求める決議を採択した。国土交通省は今秋に建設の是非の検証結果を出すとしており、活動の強化も確認した。

 佐田会長は「中止撤回を勝ち取り、一日も早くダムを完成させたい」とあいさつ。谷垣禎一自民党総裁も駆けつけ、「八ッ場ダムの必要性はますます確固たるものになってきた」と建設促進の立場を強調した。大沢正明知事は「地元は不安と混乱の中で生活している。生活再建事業の完成と本体工事着工を政府に求めたい」と述べ、長野原町の高山欣也町長は「大畠章宏国交相ら今の三役を登用し、期待の持てる(検証)結果を出してもらうことを切望する」と民主党代表選後の組閣に注文をつけた。
 大会決議は、ダム建設を求める関係者の声に国から何の返答もないと批判。今秋までに本体工事の中止を撤回しない場合は、訴訟を含め国の責任を追及するとともに、共同事業者の流域1都5県が必要な手続きを経て、国に代わりダムを完成させるとし、強い姿勢を鮮明に打ち出した。

◆2011年8月25日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110825-OYT1T00238.htm

 -この2年は何だったのか」谷垣氏が前原氏批判ー

 自民党の谷垣総裁は24日、東京都内で開かれた八ッ場ダム(群馬県長野原町)の建設を求める関係自治体でつくる「八ッ場ダム建設推進全体協議会」で、民主党代表選に出馬を表明した前原誠司前外相が国土交通相時代、建設中止を決めたことを批判した。

 谷垣氏は「地元の声を聞くことなく中止を宣言してから2年たった。どうするのか答えは出ていない。この2年は何だったのか」と述べた。

◆2011年8月25日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581108250001

 -民主代表戦 地元が注視ー

 子ども手当や高速道路の無料化といった、目玉政策の看板を民主党が次々と下ろすなか、八ツ場ダム(長野原町)の行方はどうなるのか。地元や下流域の首長、民主党議員らが、党代表選の動きを注視している。

 八ツ場ダムの建設の是非を、民主党の地元議員はいま、どう思っているのか。

 党県連会長代行の中島政希衆院議員(比例北関東)は、新首相となる党代表にふさわしい人物の一人として前原誠司氏を挙げる。

 前原氏は2009年9月に国土交通相に就任直後、八ツ場ダムの本体工事の中止を表明した。中島氏は、無駄な公共事業の削減の象徴として党が打ちだした政策を大事にしたいという。

 八ツ場ダムの必要性について、国は今秋を目標に検証作業を進めている。

 三宅雪子衆院議員(同)は「検証結果や国交相の決定に従う」としながらも、「経費を考えれば造るべきではない」。桑原功衆院議員(同)も「中止すべきだ。ダムが観光資源になるとは考えがたい」と言う。

 今春の統一地方選で党公認で初当選した小川晶県議(前橋市区)も「中止」を支持する。「ダム建設に使うお金があるなら、子ども手当など人づくりの政策に使うべきだ。子ども手当をやめて八ツ場ダムを造るなんてことになったら納得できない」と話す。

 公認の阿部知世県議(太田市区)も「事業効果が小さい。地元の生活再建は国の責任で行ったうえで中止すべきだ」と話す。

 一方で、「国の検証に従う」とするのは柿沼正明衆院議員(群馬3区)。そのうえで「検証の仕方はチェックしなければいけない」と話す。党公認の黒沢孝行県議(太田市区)も同じ意見で、「地元の生活再建はきちんとやることが大前提だ」と付け加える。

 黒沢氏は、09年衆院選で党本部が地元県議らにほとんど相談せず、マニフェストに「中止」を盛り込んだことに不満がある。

 ただ、八ツ場ダム問題が代表選の主要な争点になる気配はない。

 ダム見直し派でつくる「八ツ場ダムを考える1都5県議会議員の会」は9月1日に東京で総会を開き、新政務三役にダム中止を働きかける方針だ。統一地方選で民主党系議員の落選が相次ぎ、危機感があるという。統一地方選で党推薦で当選した角倉邦良県議(高崎市区)は「国交省の政務三役に誰がなるかが重要だ」と語った。(石川瀬里、木村浩之)

 八ツ場ダム推進派は24日、東京都内で「建設推進全体協議会」を開き、関係する1都5県の議員のほか、長野原町の高山欣也町長や住民代表ら約800人が参加した。ダムの早期完成に向けた大会決議を採択し、国交相に要望することを決めた。

 全体協議会は、民主党政権が中止を発表した後の2009年12月以来だ。国の秋の検証結果を前に、推進派はいまが「山場」とみている。

 大沢正明知事は「100年に1度の水害に備えないといけない。1都4県の知事と連携し、一日も早いダムの本体工事着工を求めていく」とあいさつ。高山町長は「突然の中止表明から2年間、地元は耐え忍んできた。首相や国交相が誰になろうが、地元には八ツ場ダムが必要だ」と述べた。

 自民党は、関係都県の国会議員のほか、谷垣禎一総裁も来賓として出席し、「八ツ場推進」で民主党との違いを強調した。

 推進国会議員連盟の会長をつとめる佐田玄一郎衆院議員(比例北関東)は「09年に前原さんは一度も地元に来ないで中止を宣言した」と、民主党代表選に立候補の意向を示す前原氏を批判した。

 地元住民の多くは、生活再建のため、ダムの早期着工を望んでいるとされる。

 ダムができれば水没するJR川原湯温泉駅一帯は今月7日、豪雨に見舞われ、国道やJRが数日間不通になる甚大な被害が出た。住民男性は「旅館の移転が相次ぎ、これ以上の観光客の減少は死活問題だ」と話す。

 地元では、政権交代以降、代わるたびに現地を訪れた国交相にダムの早期完成を訴えてきた。だが、東日本大震災以降は国会議員が現地を訪れることが極端に減り、関心が薄まるのを心配する声が多い。

 全体協議会で住民代表の萩原昭朗さんは「民主党政権に約束をほごにされ、生活再建の基盤である代替地の整備が遅れている。私たちは、もうこれ以上待てません」と訴えた。(小林誠一)

(写真)ダムの早期着工に向けて気勢を上げる参加者たち=東京都内