国交省関東地整、八ッ場ダム「検討の場」開催

 民主党政権は八ッ場ダム建設の是非を「予断なく検証」することとなっていますが、その検証を行っているのは、八ッ場ダム事業を進めてきた国土交通省関東地方整備局です。
 この検証作業はほとんどが国交省の内部、つまりブラックボックスで行われており、一般国民にはダム行政のシンボルともいえる八ッ場ダムがどうなったのかさっぱりわかりません。唯一、表に出ているのが、「八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」という舞台です。

 「検討の場」なるものは、国交省関東地方整備局と利根川流域6都県の知事、9つの区市町の首長で構成されています。八ッ場ダムを国と共に進めてきたこれら「関係地方公共団体」は、いずれも自民党の支援を受けた首長主導の下、八ッ場ダム中止を阻止することによって民主党政権の追い落としを図っているようです。

 国土交通省関東地方整備局のホームページには、非常にわかりにくい表示ながら、「検討の場」についての説明資料が掲載されています。

 「検討の場」規約
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000017263.pdf

 「検討の場」幹事会の議事録と配布資料(昨年10月1日から今年8月29日までの8回分)
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000160.html

 「検討の場」幹事会とは、国交省関東地方整備局と関係都県の幹部(部長級)が構成メンバーです。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000016397.pdf

 8月29日に開かれた第8回「検討の場」幹事会では、八ッ場ダム建設が河川行政上もっとも有利であるという、何の根拠もないお手盛りの検証結果が導き出されました。
 9月13日にはいよいよ、「検討の場」(幹事会ではない)が初会合を開きます。各首長らが八ッ場ダム推進を強く訴えるセレモニーとなりそうです。今回の「検討の場」は第9回「検討の場」幹事会と同時開催となります。関東地方整備局をはじめとするダム推進勢力は、既定路線を一刻も早く進めたいと躍起になっているようです。

 ★国交省関東地方整備局による記者発表資料
 http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kyoku_00000380.html

 八ッ場ダム検証の過程では、ダムに疑問を持つ利根川流域や国民の声は一切取り上げられてきませんでした。おそらく、パブリックコメントという形式を踏むことで、「住民の意見を聞きおいた」ということにするのでしょう。淀川を抱える関西とくらべたとき、八ッ場ダム推進を基調とした関東地方の河川行政の遅れは際立っています。
 反対意見を封じたり、「やらせ」で世論を操作して推進する手法は、ダムも原発も同じですが、福島原発事故以降、世論の厳しい批判にさらされている原発とくらべると、ダム行政の閉鎖性は原子力行政を上回っているようです。

 上記発表資料から転載します。

 「八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」(第1回)及び「八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場」(第9回幹事会)の合同開催について

 1.開催日時
 平成23年9月13日(火) 10時00分から
2.開催場所
 グランドアーク半蔵門
  住所:東京都千代田区隼町1番1号
  開催場所の最寄り駅:
   東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」1番出口から徒歩約2分です。
   東京メトロ有楽町線「麹町駅」1番出口から徒歩約7分です。
   JR「四ツ谷駅」から徒歩約15分です。
  ※駐車場はご用意していませんので、公共交通機関をご利用下さい。
3.議事(予定)
 ・目的別の総合評価(案)
 ・総合的な評価(案) 等
4.公開等
 ・会議は、報道機関を通じて公開します。
 ・カメラ撮りは、冒頭部分のみ可能です。
 ・報道機関以外の方で傍聴を希望される方は、別室でテレビ傍聴が可能です。
 ・その他、取材や傍聴等に関する詳細は、本文資料(PDF)別添資料1及び2をご覧下さい。
 ・会議での配布資料は、同日中に関東地方整備局ホームページに掲載する予定です。
  関東地方整備局ホームページ(http://www.ktr.mlit.go.jp/)→河川→社会資本整備

◆2011年9月9日 読売新聞群馬版 
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20110909-OYT8T00080.htm

 -八ッ場「検討の場」13日初会合 国と1都5県協議「ダム建設優位」提示か―

 八ッ場ダム(長野原町)建設の是非を判断する再検証で、群馬、東京など1都5県の知事や流域自治体の首長が、国と協議する「検討の場」が13日に都内で初めて開催されることが8日、わかった。

 検証主体の国土交通省関東地方整備局はこれまで、都県幹部との協議で、利根川の治水や利水の目標を達成するには、ダムを建設する方が、中止よりも費用が安いとの試算を公表。同整備局は、様々な試算を総合的に評価する作業を進めており、検討の場ではダム建設の優位性を示す内容が提示される可能性が高い。

 再検証の仕組みでは、同整備局が、国民からの意見募集や、流域住民からの意見聴取などを経て検証内容を本省に報告。最終的な検証結果は、国交相の諮問機関「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が審議した上で、前田国交相が決める。そのため、建設継続との結論が出るかは依然として流動的だ。

 同整備局は、これまでの検証作業で、利根川では今後20~30年間に、基準点となる伊勢崎市八斗島で毎秒1万7000立方メートル流れる洪水に耐えうる治水事業を行う必要があると決定。その上で、ダムの建設を継続する案と、中止して遊水池や堤防の整備に重点を置く4案について、コストや実現性などを比較検討してきた。

 その結果、ダム建設の方が、他の4案より1000億~1300億円程度、費用が安く済むと算出。利水でも、ダム建設の方が新たに導水路などを建設するより1100億~1兆2400億円安かった。

 八ッ場ダムを巡っては、民主党が2009年の衆院選マニフェストで中止を明記したが、地元や1都5県の反発を受け、再検証が行われている。歴代国交相は、今秋までに検証結果を出すとしている。

◆2011年9月10日 上毛新聞
http://www.jomo-news.co.jp/news/a/2011/09/10/news01.htm

●八ツ場ダム建設案、優位の公算 13日に総合評価

 八ツ場ダム建設の是非を決める検証作業で、国土交通省関東地方整備局は9日、本県など関係6都県の知事や首長らと協議する「検討の場」の初会合を13日に開き、ダム建設とダム以外の代替案のどちらが優位か総合評価すると発表した。

 建設継続か中止かを明示する「対応方針案」の決定に先立つもので、検証最大のヤマ場となる。これまでの検証でダム案のコストが最も小さく、実現に向けた見通しも立ちやすいとの結果が出ており、ダム案の優位性を示す公算が大きい。

 検証作業はこれまでに、八ツ場ダムを建設する案と、建設しない場合の代替案を治水対策、利水対策で各4案、流域機能の維持対策で3案つくり、それぞれ「コスト」「実現性」「環境への影響」などを個別に評価した。

 総合評価は「コスト」を最重視し、「実現性」を確認した上で最終的に「環境への影響」などを含めて判断する。

 治水の代替案は(1)川の底をより多く掘る(2)渡良瀬遊水地の機能強化(3)県南部などに遊水地を3カ所新設(4)埼玉北部の一部水田地帯に洪水を一時氾濫させる-の4案。検証の結果、事業費はダム建設を含む案が8300億円なのに対し、代替案は9300~9600億円となった。

 実現性は、ダム案の用地買収や家屋移転が約9割完了しているのに対し、代替案の中には遊水地を新設するために約4平方キロメートルの用地買収が必要だったり、水田地帯に水を貯留させるための土地所有者らとの合意形成が必要なものがある。

 利水は、治水以上にダム案の優位性を示す結果が示されている。

 代替案は、静岡・富士川から約200キロの導水管を建設して利根川に水を運んだり、渡良瀬第2遊水地の開発や利根大堰(おおぜき)のかさ上げ、既存ダムの発電や治水用の水の切り替えなどを組み合わせたもの。

 個別の検証結果は、ダム案の利水分の残事業費が600億円なのに対し、代替案は1700億~1兆3千億円。実現性もダム案の事業期間が7年なのに対し、代替案は11~40年。本県や電力事業者が発電用や治水用の水の売却に否定的な姿勢を示すなどの課題も指摘されている。

 ただ、「環境への影響」「地域社会への影響」でダム案は、川の濁りや動植物の生息地の消失、地滑り対策の必要性など、河道掘削や渡良瀬遊水地の機能強化に比べ、指摘されている課題は多い。

 政治判断影響か

 国交省関東地方整備局は13日の「検討の場」で知事らに総合評価を示した後、パブリックコメントなどを経て建設継続か中止かの対応方針を決め、国交省に報告する。

 報告を受けた国交相は、検証基準を定めた有識者会議の意見を踏まえて検証が適切に行われたか判断し、最終決定する。

 整備局はダム優位の総合評価をする公算が大きいが、仮に「継続」の方針案を報告した場合でも、国交相は検証基準に沿っていないと判断すれば検証のやり直しを指示できる。

 ダム見直し派の市民団体や民主党内の議員などから「検証とは名ばかりの茶番劇」とやり直しを求める声もある。

 野田政権の重要政策決定に影響力を持つとみられる党政調会長には、2009年の政権交代後に国交相に就任し、マニフェスト(政権公約)に基づいてダム中止を表明した前原誠司氏が就いており、国交相の最終判断に影響を与える可能性も指摘されている。

◆2011年9月10日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581109100001

 -13日に知事・首長ら協議―

 八ツ場ダムの建設の是非を検証中の国土交通省関東地方整備局は、群馬など1都5県の知事や流域自治体の首長と話し合う「検討の場」を13日、東京都内で開く。大沢正明知事や長野原町の高山欣也町長ら首長側は、ダムの早期着工を求める見込みだ。

 八ツ場ダムをめぐっては、2009年9月、当時国交相だった前原誠司氏が建設中止を表明。だが、地元の反発を受け、次の国交相の馬淵澄夫氏が10年11月に中止方針を棚上げし、今年秋までに再検証の結果を出す方針を打ち出した。

 整備局は先月までに、6都県の幹部との間で「幹事会」を8回開催。8月下旬の前回幹事会では、利根川の治水・利水両面の代替案と比べ、費用面では八ツ場ダム建設が最安とする試算が示された。

 13日の検討の場は、再検証作業で、6都県の知事と流域の9市区町長が初めて集まることになる。

 再検証の仕組みでは、整備局が国民から意見を募り、首長や関係住民らの意見を踏まえた検討結果と合わせて本省に報告。国交省の有識者会議「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の審議を踏まえ、国交相が結論を出す。

 前田武志国交相は就任直後の記者会見で「基本的には前大臣の考え方を受け止め、予断のない検証と、その結果に基づいて判断したい」と述べた。結果を出す時期については「間に合えば、なるべく早くそういう形にしていきたい」と答えている。(小林誠一)