生活再建支援法についての熊本の記事

2011年10月5日

 民主党政権は発足当初、前原大臣が八ッ場ダムをはじめとする全国のダムの見直しを政策に掲げましたが、2年経過した現在、全国のダム事業がそのまま継続されている状況にあります。
 ダム水没予定地を抱える地域にとって重要なのは、政策転換によってダム予定地はどうなるかということです。前原大臣が当時、ダム事業の見直しと共に明言したのが、ダム中止後の地元住民の生活再建への税金投入を可能とする法整備でした。原発と同様、地域全体を国策に従わせるダム事業は、地域の経済、共同体をダム事業と一体化するほどの大きな影響力をもつため、セーフティ―ネットがなければ弱者が犠牲となります。けれども、我が国にはダム計画は一旦始まれば中止することが想定されていないため、ダム事業の中止を前提とした法律がなく、民主党政権下でも法整備へ向けての国交省の動きは見られません。
 こうした状況は、「ダム見直し」という政策に対する政権の本気度を疑わせるものです。八ッ場ダムの予定地でもそうですが、川辺川ダム計画を抱える熊本県でも厳しい批判の声があります。

◆2011年10月3日
http://kumanichi.com/syatei/201110/20111003001.shtml

 -制度化しないその訳は…ー

 国の川辺川ダム計画による水没予定地を抱える五木村では、ダム中止表明を受け、新たな振興策が練られている。本流の球磨川下流では、県営荒瀬ダム撤去へ向けた準備が進む。国はいずれも支援に柔軟姿勢を示しているが、共通しているのは新たな法や制度でなく既存の枠組みで対応している点だ。
 五木村振興に対しては今年、県が生活再建事業費50億円を約束したのに伴い、国も水源対策特別措置法による補助率かさ上げや過疎債活用などで財政支援する方向だ。一方で、国土交通相当時の前原誠司氏が表明していたダム中止の場合の補償法案づくりは見送られたまま。同法案は民主党のマニフェストにも明記されていた。
 荒瀬ダムをめぐっては、国が撤去費用縮減に役立つ工法の検討に協力するとともに、護岸などの関連工事に社会資本整備総合交付金の活用を認めている。だがここでも、荒瀬ダムのような「役割を終えたダム」撤去へ向けた支援の制度化は棚上げしている。これも民主党幹部が繰り返し導入に言及していた。
 蒲島郁夫知事は「言ったことはやる、できないことは言わない。それが民主党には大事だ」といらだちを口にしながらも、国待ちにならず、県でできることから踏み切る構えだ。
 球磨川という一つの水系で上流の「脱ダム」と下流の「廃ダム」が同時進行する-。こうした展開は、過去の公共事業でも例がない。
「協力するが、制度化はしない」という国の構えには、球磨川方式を全国に波及させたくないという官僚の思惑が働いていないだろうか。政治主導とは裏腹のそんな疑念がくすぶってしまう