◆2011年10月5日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581110050002
-事務次官を長に 「チェック態勢」ー
八ツ場ダムの再検証で、前田武志国土交通相は4日、ダムを所管する水管理・国土保全局から独立した立場で、事務次官を長としたチェック態勢をつくったことを国交省での会見で明らかにした。
前田国交相は八ツ場ダムについて記者から問われると、「『3・11』という(東日本大震災の)自然の猛威をどう受け止めていくかという視点が重要」と述べた。水管理・国土保全局は、ダムを推進してきた河川局などを統合して7月に発足している。新態勢によってより客観的な視点を加えるのが狙いとみられる。
国交省技術調査課によると、メンバーは事務次官、技監、審議官らだが、詳細は決まっていない。
八ツ場ダムの再検証は、国交省関東地方整備局が「ダムが最善」との総合評価を出したが、今後、国民や有識者らの意見を聞いて対応方針を国交省に報告する。新態勢は、国交相に提言する立場の有識者会議への提出資料などをチェックするという。
◆2011年10月5日 上毛新聞一面
-八ッ場ダム 検証作業に新工程 国交省に検討組織 結論遅れる恐れー
検証作業が大詰めの八ッ場ダム問題について前田武志国土交通相は4日の記者会見で、東日本大震災の発生を踏まえてダム建設の是非を議論することの重要性に言及し「有識者に評価してもらう装置を省内に設けた」と述べ、事務次官らが有識者会議に諮る提出資料などを検討する仕組みを新設したことを明かした。
前田氏はこれまで、大震災を踏まえた検証は既存の有識者会議に諮る形で行うとしていたが、実質的に検証に新たな工程が加わることになり、今秋までに結論を出すとした検証作業は遅れる可能性が高まってきた。
国交省によると、事務次官に加えて技監や国土交通審議官らが、有識者会議にどのような資料を提出するかなどの検討や作業のチェックを行う。前田氏は「もちろん当事者の河川局は遮へいする」と説明。
ダム建設を担当する水管理・国土保全局(旧河川局)とは独立する形で、資料の検討や作業の点検などに関与していくことを強調した。
前田氏は大臣就任以降、大震災を踏まえた検証の必要性を訴え、結論が遅れる可能性を示唆していた。
過去の会見で記者から「大震災を踏まえるということは、大震災を想定してダムなどをしっかり整備するということか」と質問されたのに対し、「そのような見方も出るかもしれないし、逆の見方が出るかもしれない。専門家ではないので分からない」と答えている。
前田氏は8日に就任後初めて長野原町の八ッ場ダム建設予定地を視察する予定。
大沢正明知事ら地元首長はダム建設を最も有利とする関東地方整備局の総合評価に基づいて早期に検証を終え、ダム本体に着工するよう強く求めており、前田氏が大震災を踏まえた検証についてどのように説明するかが注目される。