八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

民主党群馬県連、八ッ場ダム「建設中止・生活再建を」 国交相に申し入れ

◆2011年10月8日 読売新聞群馬版 
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20111008-OYT8T00149.htm

 -国交相に「マニフェスト堅持を」ー

 八ッ場ダム(長野原町)の再検証を巡り、民主党の県関係国会議員5人は7日、前田国土交通相と面会し、ダム中止を掲げた2009年衆院選のマニフェスト(政権公約)を堅持するよう要請した。前田国交相は8日、現地を視察し、ダム推進を掲げる大沢知事や地元町長らと懇談するため、事前にけん制した格好だ。

 要請には、県連会長代行の中島政希、石関貴史、宮崎岳志、三宅雪子、桑原功の各衆院議員が参加。中島会長代行は国交相に対し、「県連はダム中止と生活再建の完成をセットで求めている。大臣が4人目に交代する間、当初の方針が揺らいできているような感じで心配しているが、マニフェストの方向を貫いていただきたい」と訴えた。

 面会後、取材に応じた中島会長代行は、ダム建設が「最も有利」と評価した国交省関東地方整備局の検証について「内容にも発表の仕方にも納得がいかないと大臣に伝えた。大臣も発表されることを知らず、(国交省が)建設推進を既成事実化しようと暴走している」と批判した。

 国交相からは、東日本大震災を踏まえた新たな検証や、八ッ場ダム建設に浅間山の火山災害が与える影響を総合的に考慮することの必要性を伝えられたという。

◆2011年10月8日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20111008/CK2011100802000073.html

 -八ッ場ダム「建設中止・生活再建を」 民主県連 国交相に申し入れー

 建設の是非の検証が続いている八ッ場(やんば)ダム(長野原町)について、民主党県連は七日、国土交通省で前田武志国土交通相に八ッ場ダムの建設中止と予定地の住民の生活再建推進を申し入れた。

 県連所属の国会議員五人が前田国交相と非公開で約二十分にわたり懇談した。国交相の就任後、県連が申し入れるのは初めて。

 懇談後、県連会長代行の中島政希衆院議員は記者団に「八ッ場ダムの中止と住民の生活再建をやるとしたマニフェストは、尊重しなければならないと申し上げた」と述べた。国交省関東地方整備局がダム建設を最良とする評価を示したことについて「内容も発表の仕方もおかしい」と伝えたという。

 これに対し、前田国交相は「三・一一をどう考えるかがこれまでのスキーム(枠組み)では抜けていた。群馬には火山災害もあり、総合的に考えないといけない」と話したという。

 また、中島議員は八日にダム予定地の視察を控えた大臣に「地元の意見は多様。公式の場で(建設)推進と言っても実はどっちでもいいんだという声もたくさんある」と伝えたという。 (伊藤弘喜)

◆2011年10月8日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581110080001

 -民主衆院議員 強く反発 ダム再検証ー

 八ツ場ダム(長野原町)の再検証について、おひざ元の県選出の民主党衆院議員が批判を強めている。7日、党県連は前田武志国土交通相に直接抗議した。前田国交相は8日に現地視察と知事や長野原町長らとの会談に臨むが、「今秋」としてきた決断時期がかすんでいる。

 7日、東京・霞が関の国交省。中島政希、宮崎岳志、石関貴史、三宅雪子、桑原功の県選出の民主党衆院議員5氏が、「建設中止」のマニフェストを守り、地元住民の生活再建に取り組むよう、前田武志国交相に申し入れた。

 県連会長代行の中島氏は会談後、「支持者が失望するような決断はしないで頂きたいと要望した」と語った。氏によると、国交相は「震災を受け、火山など様々な災害時の想定をスキームに加えなくてはいけない」と繰り返したという。

 中島、石関の両氏は直談判に先立ち、再検証で整備局が出した総合評価の「問題点」を10カ所列挙した文書を、前原誠司政調会長に出している。前原氏は2009年9月に「中止宣言」した当時の国交相。整備局の総合評価について「事前説明がなかった」と不快感を示しており、抱く思いは共通だ。

 文書では「整備局の試算では、コストアップにつながる部分を無視している」と主張。例として、ダム建設の場合に水力発電休止で東京電力に支払われる「減電補償金」をあげ、「一説には600億円とも言われている」としている。

 また、首都圏の水需要が減り続け、東京都の配水量は日に500万立方メートル程度なのに、整備局の需要予測では1992年の日に600万立方メートルという高需要期のデータを使っており、利水面でも問題が多いとしている。(石川瀬里)

 再検証の今後が不透明になっているのは、事前に決めた検証の仕組みに、民主党の関与を加えようとする動きがあるからだ。

 藤村修官房長官は、7日の記者会見で「今後、検証結果に沿ってまずは国交省で対応方針を検討する」と話した一方で、「最終的に政府・民主三役会議に上がってくる可能性はあるが、政党では国土交通部門会議で検討する」と述べた。

 1年前に決めたダム再検証の仕組みでは、事業主体が検証に当たるとしている。八ツ場ダムの場合は国交省だ。国交省関東地方整備局と6都県は9回の会合で代替案と比較。9月13日に「八ツ場が最善」との総合評価を公表している。

 今回の官房長官発言は、仕組みにはない政府・民主三役会議や国交部門会議の関与を認めるものだ。

 国交部門会議では現在、ワーキングチームの設置を検討している。メンバー議員の一人は「総合評価の翌日、前原(誠司)政調会長から大いに議論するよう指示された」と明かす。

 歴代国交相が「今秋」とした最終判断の時期は遅れそうな雲行きだ。(小林誠一)

(写真)前田国交相(中央)に検証作業の問題点を指摘し、地元議員への事前説明を求める県選出の民主党議員たち=国交省