2011年11月3日
昨日、八ッ場ダム事業を進めている国土交通省関東地方整備局は、「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書(素案)」に対する学識経験を有する者の意見聴取の場の開催を明日11月4日に開催すると記者発表しました。
↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000045964.pdf
以下、一部転載します。
1. 開催日時
平成23年11月4日(金) 10時00分から
2. 開催場所
さいたま新都心合同庁舎2号館5階 共用大会議室501
埼玉県さいたま市中央区新都心2-1
最寄り駅のJR京浜東北線・高崎線・宇都宮線「さいたま新都心駅」から徒歩約5分、JR埼京線「北与野駅」から徒歩約7分です。
※駐車場がありませんので、公共交通機関をご利用下さい。
当庁舎はセキュリティ強化を目的にICゲートが設置されております。庁舎への入退館手続き時には社員証、免許証、保険証、パスポートなどの身分証が必要です。
3. 会議の傍聴について
? 報道機関以外の方で傍聴を希望される方は、別室でテレビ傍聴が可能です。
4. 傍聴希望者の受付
? 受付日時 平成23年11月4日(金) 9時30分~10時00分まで
? 受付場所 さいたま新都心合同庁舎2号館5階 共用小研修室5C
? 事前の登録は不要です。
? 当日、受付にて必要事項を記入の後、係員の指示により会場へ入場をお願いします。
? 受付証明確認のため、受付にて「受付証」をお渡ししますので着用をお願いします。
? 受付は先着順とし、会場の都合上、座席数は50名程度になります。満席になり次第、受付を終了させていただきますので、その際はご了承下さい。
5. 傍聴にあたっての注意事項
傍聴にあたっては、以下の注意事項をご確認いただき、その遵守へのご協力をお願いします。
? 当日、建物は他の団体も使用していますので、他団体の迷惑にならないようご協力をお願いします。
? 事務局の指定した場所以外に立ち入ることはできません。
? 会議の妨害になるような行為(ビラ、プラカード等の持ち込み、鉢巻、ゼッケン等の着用による示威的行為など)は、慎んで下さい。
? 携帯電話は、マナーモードにするか、電源をお切り下さい。
? 会場では、着席のうえ、静粛に傍聴して下さい。
? 会場での飲食及び喫煙はご遠慮下さい。
? 手荷物・貴重品等の管理は各自にてお願いします。
? 会議の円滑な進行のため、係員の誘導、指示に従って下さい。
—転載終わり—
さる10月26日、11月1日、八ッ場ダム検証のやり直しを求める科学者らが二日にわたり記者会見を実施し、「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書(素案)」は八ッ場ダム事業を進めてきた国交省関東地方整備局による「推進ありき」の予断に基づいた結論であると批判しました。その直後に唐突に発表された「学識経験を有する者の意見聴取」ですが、9月3日に公表された国交省関東地方整備局の以下の資料によれば、「学識経験を有する者」とは、2006年12月に同局によって利根川水系河川整備計画策定のために設置された「利根川・江戸川有識者会議」の委員を指します。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000044335.pdf
昨日公表された記者発表資料(3ページ目)には「学識経験を有する者」の「出席予定者名簿」が掲載されており、2006年の「利根川・江戸川有識者会議」委員の中でここに記載されていないメンバーもおり、今回の「意見聴取」に応じなかった方々がいると考えられます。
記者発表資料3ページより転載
「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書(素案)」に対する学識経験を有する者の意見聴取の場
出席予定者名簿
淺枝 隆 埼玉大学大学院理工学研究科教授
石野 栄一 株式会社埼玉新聞社 編集局長
岡本 雅美 元日本大学生物資源科学部教授
川上 俊也 株式会社茨城新聞社 編集局次長
小瀧 潔 千葉県水産総合研究センター内水面水産研究所長
小林 忍 株式会社上毛新聞社 論説室論説委員・参与
佐々木 寧 埼玉大学大学院理工学研究科教授
清水 義彦 群馬大学大学院工学研究科社会環境デザイン工学専攻教授
野呂 法夫 株式会社中日新聞社 東京新聞特別報道部
萩原 博 株式会社千葉日報社 理事 東京支社長
藤吉 洋一郎 大妻女子大学文学部コミュニケーション文化学科教授
宮村 忠 関東学院大学名誉教授
虫明 功臣 東京大学名誉教授
—転載終わり—
5年前の「利根川・江戸川有識者会議」は、利根川水系河川整備計画策定を目指し、利根川の今後30年の整備計画に「八ッ場ダム事業」が位置付けられるかどうかが焦点となりました。この有識者会議の座長は、ダム推進を主張する宮村忠関東学院大学名誉教授であり、有識者会議は八ッ場ダム事業を利根川の河川整備計画に位置付けることを目指したかに見えましたが、委員の中には異論を唱える有識者もおり、またマスコミ、市民から予断をもった会議だと厳しい批判を浴びたことから、会議そのものが中断し、利根川の河川整備計画は宙に浮くという異常事態が続いてきました。
明日の意見聴取においても、八ッ場ダム推進を主張する学者として夙に有名な宮村忠、虫明功臣両氏が含まれる一方で八ッ場ダムに疑問を呈している学者は排除されていること、関係都県に気を使いがちな地方新聞の記者らが加えられていることなど、そのメンバー構成には大きな疑問が寄せられています。福島原発事故により「御用学者」が国民に背を向け、行政におもねる姿勢が政策を歪める実態が大きくクローズアップされましたが、ダム行政においても原子力行政と同じことが行われてきました。
八ッ場ダム事業は行政による「非公開性」が大きな特徴ですが、今回の意見聴取においても、公開は「報道機関を通じて」のみとなっており、国民はおろか利根川流域の関係住民すらも別室のテレビ傍聴のみです。
そもそも、八ッ場ダム検証の重要なステップである意見聴取の実施が、休日を挟んでわずか二日前に記者発表されるということ自体、異常です。八ッ場ダム事業の実権は依然として関東地方整備局が握っており、国民の権利を守るために働くべき政権が舐められきっていると考えざるをえません。
5年前の利根川河川整備計画策定に関わる市民運動の活動報告をこちらに掲載しています。
https://yamba-net.org/wp/modules/karyu/index.php?content_id=2