利根川・江戸川有識者会議とは

2011年11月5日

 昨日、国土交通省関東地方整備局において、利根川・江戸川有識者会議が開かれました。
 利根川・江戸川有識者会議は2006年12月に同局によって設置されました。当時の委員の中で、今回の有識者会議への参加を断った委員もいたということですが、座長をはじめメンバーは当時の委員と重なります。当時の有識者会議の設置目的は、利根川の今後30年の河川整備計画を策定することでした。
 全国の河川では、河川整備計画が策定されているところが数多くあります。下記の国土交通省のホームページを見ると、二つ目の日本地図で現在の全国の一級河川の河川整備計画の策定状況が一目でわかるように図示されています。↓
http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/index.html
 国交省HP 水管理・保全局(旧河川局)
 ●一級(大臣管理区間)河川整備計画策定状況(平成23年10月25日現在)
 地図の水系名またはリストの水系名をクリックすると、計画内容がご覧になれます

 利根川の場合は八ッ場ダム計画がネックとなって、いまだに河川整備計画が策定されていません。利根川の河川整備計画は八ッ場ダム計画の上位計画です。八ッ場ダムは治水上、法的位置づけのないまま進められていることになります。
 5年前、有識者会議は関東地方整備局の意向に従う座長の采配により、河川整備計画に八ッ場ダムを位置づけることを目指したかに見えましたが、流域住民の反対の声が多い中、強引に進めることができず、河川整備計画は棚上げの状態が続いてきました。
 関東地方整備局は八ッ場ダムの本体工事着工を目指して、今回改めて有識者会議を開催しました。
 今朝の報道は、今回の有識者会議でも、議論を封じようとする宮村忠座長の強引な采配に批判の声があがったことを伝えています。
 八ッ場ダムに対する新聞社の姿勢により、他紙と記事内容がかなり異なる紙面もあります。末尾のブログはフリージャーナリストによるもので、こちらはよりリアルに深く状況を掘り下げています。

◆2011年11月5日 朝日新聞群馬版 
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581111050001

 -有識者から意見聴取 会議たった2時間ー

 八ツ場ダムの建設の是非を再検証している国土交通省関東地方整備局は4日、学識経験者からの意見聴取をさいたま市で行った。対象は学者や利根川流域の地元紙幹部ら13人。それぞれの立場で意見を述べた。

 13人は、河川整備計画をつくるために2006年に設置された「利根川・江戸川有識者会議」の委員。

 再検証では、治水効果の確保に必要とされる経費について、八ツ場ダム中心の対策で約8300億円とし、四つの代替案より1300億~1千億円安かった。佐々木寧・埼玉大大学院教授(植物生態学)は「(自然)環境の検討はおおざっぱだ。基本的な調査をしているのか心配だ」と疑問を呈した。

 報告書素案には、事業の3月末現在の状況を「用地取得87%」「家屋移転90%」と記されている。清水義彦・群馬大大学院教授(水理学)は「地域社会への影響が書かれていない。進捗率だけ見ていてはだめだ」と指摘した。

 意見聴取は、整備局の説明も含めて約2時間で、4人の委員は発言しなかった。座長の宮村忠・関東学院大名誉教授(河川工学)の提案で、9日まで意見を受け付けることを決めた。

 有識者からの意見聴取は、再検証のなかで重要な節目だ。だが、せっかく一般傍聴もできる場なのに、意見が出し尽くされたとは言い難い。

 冒頭、整備局の山田邦博河川部長が「各分野の皆さんから意見を聞くのが最適」と議論を促した。

 だが、意見聴取の最終段階で、座長の宮村忠・関東学院大名誉教授は「地元のことを考えると、ほじくり返すのはいい加減にしてくれというのが個人的な見解だ」と述べた。

 終了後、見直し派の一般傍聴者が「座長として問題だ」と抗議。宮村名誉教授は取材に「技術的な議論は、日本学術会議などで尽くされているという意味だ」と弁明した。

 議事進行でも時間が限られているとはいえ、発言する委員に「手短に」と何度も求め、発言の趣旨が伝わらない場面もあった。

 整備局は、有識者からの意見について、6日から始まる関係住民の意見聴取や3日現在で130通が寄せられたパブリックコメント(国民の意見)と合わせて参考にし、本省に報告する。前田武志国交相は年内に最終判断する意向だ。

 負担金を出している6都県は国に対し、早期の本体着工と2015年度完成を求めている。一方で、事業主体が自ら実施する再検証に対し、全国の学者79人がやり直しを求めている。

 この日の意見聴取で、岡本雅美・日大元教授(農業土木学)は「再検証は、一般市民に対する説得性がない」、虫明功臣・東大名誉教授(河川工学)も「全体がわかりにくい。理解を深める努力が必要だ」と注文を付けた。(小林誠一、遠藤隆史)

(写真)八ツ場ダム事業についての資料に目を通す有識者ら=さいたま市の国交省関東地方整備局

◆2011年11月5日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20111105/CK2011110502000089.html

 -指摘や注文相次ぐ 八ッ場ダム問題 有識者から意見聴取ー

 国土交通省関東地方整備局は四日、八ッ場(やんば)ダム(長野原町)を建設する案が最も有利とした報告書素案について、有識者からの意見聴取をさいたま市のさいたま新都心合同庁舎で行った。

 群馬大大学院の清水義彦教授(河川工学)は「(八ッ場ダム事業で)これまで地域社会にどんな影響があったかを盛り込み、代替案と比較すべきだ」と注文。埼玉大大学院の佐々木寧教授(植物生態学)は「地滑りや地震が起きたり、希少生物が見つかったり突発的なことがあると予算は膨らむが環境面では大ざっぱな議論しかしていない」と指摘した。

 東京新聞特別報道部の野呂法夫氏は、東京都など利水参画者が実態と異なる水需給計画を提出しているとし「きちんとデータとして見せないと報告書として未完だ」と指摘。

 上毛新聞論説委員の小林忍氏は「(ダム建設への)異論に対して説明しないと将来、禍根を残す」と述べ、ほかの出席者からも「反対派と議論がかみ合っていない」との指摘が相次いだ。

 同ダム建設の是非の検討作業の一環で、学者や流域都県の新聞社幹部ら十三人が意見を述べた。一方、パブリックコメントは四日午後六時で締め切られ、三日現在で百三十通が寄せられている。 (伊藤弘喜)

◆2011年11月5日 読売新聞群馬版 
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20111104-OYT8T01391.htm

 -国交省、学識経験者から聴取 八ッ場ダム13人中12人「建設」了承ー 

 国土交通省関東地方整備局は4日、八ッ場ダム再検証作業の一環で、学識経験者からの意見聴取を行った。

 大学教授や1都5県の地元メディア幹部ら13人が、「ダム建設が最も有利」と明記した同整備局の検証結果の素案に対する見解を述べ、1人以外は、建設を後押しする素案の方向性を了承した。

 意見聴取では、利根川水系で今後20~30年かけて達成すべき治水目標の是非などが議題となった。

 素案では、伊勢崎市八斗島で毎秒1万7000立方メートル流れる洪水に耐え得る河川整備を目標に設定しており、清水義彦・群馬大大学院工学研究科教授は「戦後最大の(カスリーン台風の)洪水からは過小評価だが、今後20~30年で実現できるという点でよく考えられている」と評価した。一方、野呂法夫・東京新聞特別報道部次長は「計算方法が色々と変更されたのに記載されておらず、到底納得できない」と批判した。

 また、同整備局が4日締め切りで実施している国民からの意見募集の途中経過も公表された。

 3日までに寄せられたのは計130通で、近年のゲリラ豪雨の多発を挙げてダム建設を求める意見や、ダム建設より東日本大震災復興を優先すべきとの意見など、賛否両論が集まっている。

◆2011年11月5日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20111105ddlk10010229000c.html

 -八ッ場ダム建設:国交省報告書素案、識者から意見聴取 /群馬ー

 八ッ場ダム(長野原町)の検証結果をまとめた国土交通省関東地方整備局の報告書素案について、同整備局は4日、学識経験者13人から意見聴取した。

 13人は同整備局が設置した「利根川・江戸川有識者会議」(座長=宮村忠・関東学院大名誉教授)のメンバーで、利根川の洪水に対応する目標流量を1万7000立方メートルに設定した妥当性などを巡り、賛否両論が展開された。

 東京大の虫明(むしあけ)功臣(かつみ)名誉教授(河川工学)は目標流量について「治水担当者として、できる範囲のことをやろうという態度」と評価。

 一方、東京新聞特別報道部の野呂法夫次長は「説得力がなく、計算方法の説明もない」と批判した。

 上毛新聞社の小林忍論説委員は「(報告書素案に)異議を唱える人が少なからずいるので、説明責任を果たしてほしい。そうしないと、地元の人、下流域の人にとっても将来に禍根を残すような結果になるのではないか」と述べた。【奥山はるな】

◆2011年11月5日 上毛新聞

 ー八ッ場検証 学識経験者が賛否 「説得力なし」「国に裁量権」ー

 八ッ場ダム建設の是非を決める検証作業で、国土交通省関東地方整備局は4日、検証手順に定められた学識経験者からの意見聴取として「利根川・江戸川有識者会議」の意見を聴いた。検証内容に対する支持や批判、疑問などさまざまな意見が出たほか、一般市民や地元住民などに対する丁寧な説明を求める声も多かった。
 出席したのは河川工学や環境など各分野の研究者や流域の地方紙幹部ら13人。ダムを建設する案と建設しない代替案を比較し、ダム案を「最も有利」とした整備局の総合評価などについて意見を述べた。
 出席者の一人は、治水面の検証をする際に整備局が基準として設定した洪水の大きさについて「詳細な理由が示されず、説得力がない」と批判。
一方で「基準設定は国交省の裁量権」と理解を示す出席者もおり、意見が分かれた。
 利水面の検証では、東京都など利水参画者がダム建設による開発の必要性を主張した水道量をもとに検証を進めた点を問題視し、検証が不十分だと指摘する声があった。
 このほか、「ダムを否定する人と(推進派の)議論がかみ合っていない」「説明責任を果たさないと禍根を残す」などとして、検証内容について分かりやすく説明する場を設けるように求める意見が目立った。
 整備局は4日、検証に対する一般市民の声を聴くために受け付けたパブリックコメントを締め切り、3日までに寄せられた130件を公開した。ダムの早期完成や建設中止を求める声のほか、検証手法に対しても賛否両論が寄せられ、パブリックコメントでも意見は分かれた。
 長野原町で6~8日に開く流域住民からの「意見聴取の場」については、7日に意見発表予定だった1人が6日に変更したため、7日の開催はなくなった。

◆ダム日記 まさのあつこ(ジャーナリスト)

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