付け替え国道は12月20日開通

2011年12月5日

 ダム本体工事費が全体の1割に満たない八ッ場ダム事業では、道路などの関連事業が工事費の大半を占めています。関連事業の中で最も重視もされてきたのが、国道の付け替え工事です。付け替え国道は工事費も780億円と、関連事業の中で突出しています。

 八ッ場ダム予定地には、関東地方の平野部と草津温泉、嬬恋村などのある上信国境を結ぶライフラインが通っています。この国道を水没線より標高の高い位置に移転させるというのが付け替え国道の計画です。
 ダム予定地を抱える群馬県の吾妻地方は、草津、万座など多くの観光地を抱えているものの、高速道路がなく、高速道路網が全国的に整備される中、交通の利便性に劣ることが大きな障害になるとの不安の声が地域にはありました。こうした問題を解消する切り札とされたのが、八ッ場ダム事業の付け替え国道でした。ダム予定地の地形地質は、土木工事にとって大きな障害ですが、ダム事業の巨額な予算をもってすれば、道路の整備も速く進むとの期待があったといわれます。

 一九九〇年代には、付け替え国道は四車線の高規格道路として整備される計画が公表され、ダムの完成予定年度の2000年度に合わせて開通する予定だったのですが、工期がずるずると伸び、事業費も膨れ上がり、四車線がいつの間にか二車線となりました。工事が進むに連れて、トンネルでの落盤、法面崩落、落石などの事故が相次いで発生し、改めて道路計画にとって地質が大きな問題となっていることがクローズアップされています。
 このほど、群馬県は付け替え国道が来月に開通すると11月に発表しましたが、踏み切りを暫定的に設けた、無理のある開通です。今後、この付け替え国道は、維持管理費が嵩むことにより、大きな負担となることが予想されます。

 八ッ場ダムの付け替え国道は、群馬県渋川市と長野県東御市を結ぶ上信自動車道の一部です。上信自動車道は渋川市から下流は、熊谷渋川連絡道路と名称を変え、埼玉県熊谷市ー群馬県前橋市の区間は上武道路として開通しています。上信自動車道も上武道路も、地域高規格道路して位置づけられています。
 ↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/takasaki/road/images/17jobu03.pdf
 国土交通省高崎河川国道事務所

 八ッ場ダム推進を主張している自民党の小渕優子衆院議員は、上信自動車道建設促進期成同盟会会長でもあります。群馬県内の上信自動車道の計画予定地では、「八ッ場ダム湖観光」のために道路用地の提供を求める行政側の説明があるということです。確かに、渋川市からダム予定地まで自動車道が完成すれば、アクセスは飛躍的に向上するでしょう。けれども、ダム湖観光も、上信自動車道の開通も、実現の見通しは立っていません。

◆2011年11月29日 朝日新聞群馬版 
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581111290002

 -八ツ場バイパス 来月20日全線開通ー

 県は、八ツ場ダムの水没地区住民の移転代替地を結ぶ国道145号の付け替え道路(八ツ場バイパス)が、12月20日に全線開通すると28日発表した。

 八ツ場バイパスは、長野原町長野原―東吾妻町松谷の10・8キロを結ぶ計画。昨年12月に9・4キロが開通したが、JRの付け替え工事の遅れで、東吾妻町の雁ケ沢ランプ東側1・4キロの建設も遅れ、ランプ付近は休日の渋滞が激しかった。

 特定ダム対策課によると、八ツ場バイパスの総事業費は約780億円。生活再建事業として下流都県も負担する。県は、全線開通見込みを来年2月としていたが、JR東日本が急ピッチで工事を進めたため、年内に間に合ったという。

◆2011年11月29日 毎日新聞群馬版 
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20111129ddlk10010161000c.html

 -八ッ場ダム建設:国道145号のバイパス、来月20日に開通 /群馬ー

 県は28日、八ッ場ダム生活再建事業の一環として建設中の国道145号の付け替え道路(八ッ場バイパス)が12月20日に全線開通すると発表した。

 県によると、八ッ場バイパスは長野原町長野原-東吾妻町松谷間(10・8キロ)を結ぶ生活再建道路。長野原町側は国が、東吾妻町側は県が建設しており、未開通だった東吾妻町側の雁ケ沢ランプ-松谷間(1・4キロ)が完成した。

 この区間には、用地買収の遅れで移設が延期されているJR吾妻線が走っており、暫定踏切を設置する。【鳥井真平】