民主党離党、「八ッ場ダム再開」が引き金に

 前田国交大臣が「八ッ場ダム建設再開」を発表したことは、民主党の脆弱さを国民に強く印象付けるものでした。群馬県連代表代行の中島政希衆院議員が離党したことをきっかけに、合計10名の国会議員が離党。群馬県選出の石関貴史衆院議員は、副幹事長職を辞任しました。
 河川行政の改革を着実に実現している滋賀県の嘉田知事が、民主党の現状を「官僚主導」と批判していることも報道されています。嘉田知事の言葉は、一般国民の声を代弁したものといえるでしょう。
 
 関連記事を転載します。

◆2011年12月24日 朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/1224/TKY201112240081.html

 -民主・中島氏が離党届提出 八ツ場ダム建設再開に抗議ー

 民主党の中島政希衆院議員(58)=比例北関東=は24日、党本部に離党届を提出した。中島氏はその後記者会見し、野田政権が2009年の衆院選マニフェストに反して八ツ場ダム(群馬県長野原町)の建設再開を決めたことについて「政権公約に明白に違反し、国民の信頼を裏切るもの。到底容認できるものではない」と述べ、これに抗議しての離党と説明した。

 八ツ場ダム建設中止は民主党マニフェストの象徴の一つで、前原誠司政調会長ら党幹部も建設再開に反対を表明していた。さらに野田政権はマニフェストにはない消費増税の実現を目指しており、党内で反発の声が強まっている。こうしたさなかにマニフェスト違反を理由に離党者が出ることは、野田佳彦首相の政権運営にも影響を与えそうだ。

 中島氏は会見で民主党政権の状況について「マニフェストに掲げた理念がなし崩し的に後退している」と指摘。「八ツ場の建設継続はその象徴的出来事。今回の決定で民主党は結党以来の改革の旗を自ら捨てた」と野田政権を批判した。議員辞職は否定し、無所属で活動する考えを示した。

◆2011年12月24日 毎日新聞政治面
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111224k0000e010138000c.html

 -中島衆院議員:民主に離党届…八ッ場ダム建設再開方針批判ー

 離党届を提出した民主党の中島政希衆院議員 民主党の中島政希衆院議員(比例北関東、当選1回)は24日午前、政府が八ッ場ダム(群馬県)の建設再開を決めたことを批判し、党代表の野田佳彦首相あてに離党届を党本部に提出した。09年衆院選で初当選した議員が、マニフェスト違反を理由に離党を表明したことは野田政権にも打撃となりそうだ。

 提出後、中島氏は国会内で記者会見し、「建設継続は政党政治の歴史に汚点を残す歴史的愚行。八ッ場ダム中止さえ実現できないならば他の改革政策は望むべくもない」と首相を厳しく批判した。今後は無所属で活動するという。自身の議員辞職は否定した。中島氏は中間派で党内グループには属していないが、離党について鳩山由紀夫元首相に相談したことを明らかにし、「鳩山氏は(建設再開を)大変危惧していた。私の行動は理解してもらった」と述べた。中島氏は党群馬県連会長代行を務めていた。

 中島氏の問題について、前原誠司政調会長は24日午前、党本部で記者団に「八ッ場ダム問題ではともに戦った同志なので慰留したい。我々は治水の哲学を変えたわけではないので、(党に)残っていただいて一緒に戦いたい」と述べた。【野口武則、木下訓明】

◆2011年12月25日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20111225/CK2011122502000125.html

 -八ッ場ダム「継続」決定で<3> 政治の「敗北」 「既成事実で押し切られ」ー

 「最重要公約を放棄し八ッ場(やんば)ダム建設継続を決定した。ダムありきの検証を進める河川官僚や、なし崩し的に建設を既成事実化しようとする勢力に屈した」

 民主党離党を表明した二十四日の会見で党県連会長代行の中島政希衆院議員は、野田政権を語気を荒らげて批判。「地元にも全国にもこの愚かな決定に怒り、涙を流した人がたくさんいる。私はその人たちと行動を共にしたい」と声を震わせた。

 四日前の二十日。中島氏は取材に「八ッ場ダムを止めるチャンスは何度かあった」と振り返った。

 大きかったのは、八ッ場ダムを含む全国のダム事業の検証枠組みを決める国土交通相の諮問機関「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の人選だったという。

 二〇〇九年十一月に決まった同会議の顔触れを見た中島氏は「ダム推進派ばかりじゃないか」と不審に思い、当時の前原誠司国交相に問いただした。前原氏は「大丈夫。座長にはよく言ってある」と応じたという。

 しかし、その有識者会議がつくった枠組みに沿って国交省関東地方整備局は八ッ場ダム事業を検証し「建設継続」の結論を導いた。一都五県の知事や自民党の建設推進派から「自分たちで作ったルールに沿った検証なのに文句を言うのは何事か」と批判されるゆえんだ。

 中島氏は「河川ムラの人たちに検証してもらえば、造った方がいいという結論になるのは決まっている」と悔しがる。二十四日の会見でも度重なる国交相の交代で政治主導が進まなかったと指摘。「大畠(章宏)さんが無関心すぎて」国交省の官僚主導が強まったと述べた。

 反対派の議員らが危機感を抱いて動き始めたのも遅かった。八ッ場ダム問題に対する党の意見を集約するため、党政調分科会の初会合が開かれたのは十一月十八日。「今ごろか、という感じも正直する」と参加議員がぼやいていた。いざ分科会が始まっても、座長の松崎哲久衆院議員から「建設の是非や検証の枠組み自体は問わない」とくぎを刺された。

 「政治家の責任ある決定がなおざりにされ、既成事実を積み重ねられて押し切られた」と中島氏。「敗戦の弁」とも聞こえる言葉が重く響く。 (伊藤弘喜)

◆2011年12月25日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/feature/maebashi1324692028637_02/news/20111224-OYT8T01064.htm

 -中島議員が離党届 「民主党は変節した」建設再開に反発

 「白い旗がいつの間にか黒い旗に変わってしまった。民主党は変節した」――。党県連会長代行の中島政希衆院議員は24日朝、党本部に離党届を提出し、八ッ場ダム建設継続という野田政権の決定を激しい口調で糾弾した。来年度政府予算に本体工事関連費用は計上されたが、党内には不満を抱く議員も多く、予算の執行停止に向けた綱引きも予想される。

 同日午後、高崎市内のホテルで記者会見した中島議員は、離党の理由について「建設継続は政権公約に明白に違反する。民主党を支持した国民の信頼を裏切るもので、到底容認できない」と説明。「(ダム建設を)誰が推進し、誰が反対したのか、歴史に残しておかないといけない」と語った。

 比例候補として、民主党への投票で選出されながら離党することに関しては、「比例で当選しているからこそ離党する。民主の首脳の方が公約を捨てた。やめるのはどっちかということだ」と、激高しながら正当性を強調した。また、前原政調会長から離党を踏みとどまるよう要請され、断ったことを明かした。今回の再検証については、「(国交省の)政務三役からは中止のための検証という説明を受けていた。信じていたのが失敗だった。途中から官僚主導になった」と批判。

 ダム本体工事の予算執行に絡み、「党内には反対も多い。前原さんも五十嵐文彦財務副大臣も『まだ決まったわけではない。執行しない可能性も多々ある』と言っている。執行させないために色々やりたい」と話した。

 県連の国会議員6人はダム問題に関し、一致して中止に向けた論陣を張り、藤村官房長官や前原政調会長らに検証やり直しを直訴してきた。しかし、中島議員の電撃離党に温度差も広がっている。

 石関貴史衆院議員は「気持ちは全く同じ。間違った政権運営と党に対する大きな幻滅を感じる」と、中島議員に同調するコメントを発表。柿沼正明、宮崎岳志両衆院議員も「気持ちは理解できる」と語った。一方、桑原功衆院議員は「自分は、ダムに反対する気持ちは変わらないが、意に沿わない結論が出たからといって離党するのは、逃げていると受け取られるのではないか」と批判的だ。

 中島議員は、本体工事費が計上された予算案について「反対する」と明言しているが、宮崎議員は「執行を停止してほしいが、党の決定でもある。賛成するかどうかは悩ましい問題だ」と、苦しい心境を吐露した。

 県連は、会長代行が不在となるため、近く5人の国会議員が対応を協議する見通しだ。

◆2011年12月26日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581112260001

 -「党は改革の旗捨てた」 中島衆院議員離党ー

 民主党の中島政希衆院議員(58)=比例北関東=が24日、離党を表明した。党が09年衆院選のマニフェストの象徴だった八ツ場ダム建設中止を撤回したため。高崎市で会見し、「民主党は『改革の旗』を自ら捨てたと言わざるを得ない」と声を震わせた。

 中島氏は衆院選で群馬4区から3度立候補し、前回2009年に比例北関東ブロック単独にくら替えして初当選した。民主党がマニフェストとして掲げる以前から、八ツ場ダム中止を公約に掲げていた。

 03年の高崎市長選に立候補した際も県営倉渕ダムの建設中止を公約に掲げた。落選したが、県は現在、同ダムの中止手続きを進めている。

 中島氏は、故石田博英氏の政策担当秘書などを歴任。民主党の群馬県組織の立ち上げに携わった。

 党県連の会長、幹事長とも選挙で落選、会長代行の中島氏も離党で、県連の重要ポストはすべて空席となった。県連内部の分裂が進み、役員会が開かれない状況が続いている。(記者会見での主なやり取りは以下の通り)

 ――比例代表での当選だが、議員辞職は

 比例代表で当選したからこそ、離党。民主党の幹部が党の総選挙の時の公約を捨てたわけだから。

 ――群馬の民主党立ち上げから携わってきた

 断腸の思いだ。私が離党しなければならないことをよく考えてほしい。

 ――もはや本来の民主党ではなくなった

 八ツ場ダムの「治水思想の転換」は党の大きな柱。これを党は自ら切り倒した。民主党の白い旗が黒い旗になっていた。支持した人の気持ちを考えないといけない。いつの間にか黒くなった旗を白いと言い続けることは背信行為だ。

 ――県連の代表は

 非常に悩ましい。県連の国会議員らに電話して了解をもらった。気持ちはご理解頂けたと思う。

 ――今後は

 (総選挙はどう臨むかは)白紙。政治活動は、当然続けていきたい。(八ツ場ダム問題は)必ず禍根を残す。誰が推進し、反対したのかを後世のために明確にしておく必要がある。長野原で万歳した人がいる一方で、日本でも群馬でも、(悔し)涙をした人がいる。その人たちと政治行動をしていきたい。(牛尾梓、石川瀬里)

◆2011年12月27日 時事通信
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201112/2011122700897

 -民主「決壊」始まる=消費増税、若手が選挙懸念ー

 民主党の「決壊」が始まった。八ツ場ダム(群馬県長野原町)の建設継続で開いた一穴は、消費増税で拡大。27日、野田政権に見切りをつけた若手議員の離党表明が相次いだ。次期衆院選に懸念を示す議員は、野田佳彦首相の増税路線やマニフェスト(政権公約)違反を公然と批判。首相が進めた党内融和路線は崩壊し、対立は深刻化している。
 斎藤恭紀氏は27日午前、衆院議員会館で記者団に「離党を決断した」と表明。その理由に関しては「デフレ脱却なくして増税なし、反TPP(環太平洋連携協定)、脱原発という思いがすごく強く、今の党の方針とは真逆だ」と強調した。ブログでは、地元支持者から消費増税への不安を訴える声が続出したことも明かしている。
 内山晃氏は同日夕、記者団に離党予備軍は「10人規模」と打ち明け、自身を除けば衆院当選1回議員ばかりだと説明した。「選挙区で生きていけるかどうか分からない切羽詰まった人が多い」と誰もが次期衆院選への不安を隠さないという。
 中後淳氏は公式には態度を明らかにしていないが、28日に離党届を提出する意向で、他の議員にも離党を働き掛けている。ただ、ある若手から「他の人が一緒に出る保証がなければ乗れない」と断られ、必ずしも順調とは言えない状況だ。
 離党の動きが相次いだのは、八ツ場ダム建設継続に反発した中島政希氏の24日の離党届提出がきっかけ。斎藤氏も「既得権益に切り込むことを託されたのに、ミイラ取りがミイラになった」と公約に反する建設を批判。内山氏は「消費税は上げない、八ツ場ダムはやめると言ってきたものを全部ほごにされたら、立場があるのか」と語気を強めた。
 民主党の動きに関し、野党は「マニフェストがほぼ全滅に近い状況だから、マニフェスト原理主義の立場の人が党を離れるのは自然の成り行き」(みんなの党の渡辺喜美代表)と冷ややか。首相は消費増税について「わが政権のためでもない、民主党のためでもない、この国の現状と将来を考えたときに避けて通れない重要課題だ」と記者団に強調したが、選挙を懸念する若手議員に首相の声は届いていないのが現状だ。

◆2011年12月28日 毎日新聞群馬版
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111228-00000088-mailo-l10

 -八ッ場ダム建設:再開に抗議、民主・石関衆院議員が党役職辞任表明 /群馬ー

 八ッ場ダムの建設再開を決めた政府に抗議し、民主党副幹事長など党の役職辞任を表明した石関貴史衆院議員(群馬2区)は27日、「政権交代の理念を完全に見失い、重要な価値をかなぐり捨てていく政権と党運営に加担することは、多くの国民と支持者の皆さんに申し訳なく、一定のけじめをつける必要があると考えた」とのコメントを発表した。
 離党については「このままの政権運営が続かないように、国民意識と政府・与党の乖離(かいり)を埋めるための努力を尽くす」と否定した。【喜屋武真之介】

◆2011年12月28日 毎日新聞政治面
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111228k0000e010147000c.html

 -民主党:内山晃衆院議員ら9人が離党届提出ー

 民主党の内山晃元総務政務官ら同党衆院議員9人が28日午前、国会内で樽床伸二幹事長代行に離党届を提出した。野田政権の進める消費増税や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加方針などへの反発を理由としており、年明けの新党結成を目指す。民主党内では小沢一郎元代表が消費増税に反対する姿勢を鮮明にしており、内山氏は記者団に「我々は先発、先陣だ。第1陣と考えてもらっていい」と小沢グループから離党者が続いた場合の受け皿となる狙いを説明した。

 離党届を出した9人のうち、鳩山由紀夫元首相に近い斎藤恭紀氏を除く8人が小沢グループに所属。内山氏は樽床氏に対し、八ッ場ダムの建設再開も挙げて「(09年衆院選で)マニフェストを約束して当選したが、ことごとくほごにされて立つ瀬がない。うそつきと呼ばれたくないので離党する」と伝えた。

 内山氏はその後、輿石東幹事長とも会談。輿石氏は「あえて慰留しないが、これからも仲間だと思って対応したい」と離党届を受理する意向を示したという。

 内山氏らがこの時期に離党届を出した背景には、年内に離党した形をとっておけば、年明けに国会議員5人以上で新党を結成することにより来年の政党交付金を受け取れるという事情もある。

 内山、斎藤両氏を除く7人が比例代表選出議員で、09年衆院選を争ったほかの政党に移ることはできないが、新党結成は可能。小沢グループからは今年6月、菅内閣不信任決議案に賛成した松木謙公元農水政務官(北海道12区、当選3回)が民主党を除籍(除名)されて無所属で活動しており、9人は松木氏とも連携したい考えだ。【青木純、小山由宇】

 ◇離党届を提出した民主党衆院議員
 内山晃3(千葉7区)、渡辺浩一郎2(比例東京)、豊田潤多郎2(比例近畿)、斎藤恭紀1(宮城2区)、中後淳1(比例南関東)石田三示1(比例南関東)、三輪信昭1(比例東海)、小林正枝1(比例東海)、渡辺義彦1(比例近畿) ※敬称略、数字は当選回数、かっこ内は選挙区

◆2011年12月29日 読売新聞滋賀版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20111228-OYT8T01206.htm

 -八ッ場ダム建設継続 知事「結局、官僚主導」ー

 2009年の衆院選政権公約で建設中止を明記しながら、政府が建設継続を決定した八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)について、嘉田知事は28日、定例記者会見で「政治主導で中止の方向を打ち出しながら、結局、官僚主導で建設継続となった」と批判した。

 県は、県営「北川ダム」(高島市)について再検証中で、9月に建設凍結の方針を示した。嘉田知事は「県は独自に『地先の安全度』を加えて検証を進めており、県の施策に影響はない」とした。

◆2012年1月4日 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120104-00000042-mai-pol

 民主党に離党届を出した内山晃元総務政務官ら衆院議員9人は4日、総務省へ「新党きづな」の結党届け出を行い、受理された。党代表の内山氏は国会内で記者会見し、「私たちは(民主党が09年衆院選で掲げた)マニフェストを守る責務がある。今やるべきことは消費増税でも八ッ場ダム建設継続でもない」と述べ、野党の立場で活動していく考えを強調した。

 内山氏は党名を「きづな」とした理由について「東日本大震災を忘れず、国民との絆を守るため」と説明。基本理念に「行き過ぎた市場原理主義、弱肉強食偏重を改める」などを掲げ、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加や消費増税への反対、脱原発、郵政改革法案の推進などを基本政策とした。

 副代表に三輪信昭と石田三示の両氏、幹事長に渡辺浩一郎氏、政務調査会長に斎藤恭紀氏、国会対策委員長には豊田潤多郎氏がそれぞれ就任した。【青木純】