川辺川ダム予定地の再建計画

2012年1月8日

 国は八ッ場ダム本体工事の予算計上と引き換えにダム中止後の生活再建支援法を次の国会に提出することになりました。
 生活再建支援法は長年のダム計画にがんじがらめにされてきた水没予定地の人々の生活を立て直すことを目的としたもので、八ッ場ダムの中止に際して必要とされてきました。これまで官僚にボイコットされてきた生活再建支援法がダム再開の引き換え条件としてクローズアップされることになったのは、わが国の河川行政のありようを映し出しているとは言え、なんとも皮肉なことです。
 生活再建支援法はダム計画の中止が確実視される川辺川ダム予定地の五木村をモデルとされるということです。

 当の五木村では、生活再建支援法がない中で、ダム建設の白紙撤回を表明した熊本県の支援を受けて、具体的な再建計画が昨年末に公表され、「ダムに頼らない村づくり」が始まろうとしています。熊本県は五木村に県職員四名を派遣し、川辺川ダム反対運動の関係者も支援に乗り出しています。
 しかし、五木村の水没予定地では、河川予定地指定の暫定解除で利活用を図らなければならず、将来の財源の確保は依然として不透明です。自ら動き出した五木村を生活再建支援法が後押しするのは、いつのことでしょうか。

◆2011年12月28日 毎日新聞熊本版
http://mainichi.jp/area/kumamoto/news/20111228ddlk43010456000c.html

 -五木村:観光施設や高齢者住宅、基盤整備方針 /熊本ー
 五木村は27日、18年度を目標に観光施設や親水公園、道路ネットワークなどを整備する「ふるさと五木村づくり計画」の基盤整備方針を発表した。川辺川ダム計画の中止が表明された09年以降、国と県、村の3者が村の生活再建協議を進めており、方針に基づき12年度から事業着手する。
 村は09年から県と共に、観光PRなどのソフト事業を中心に「ふるさと五木村づくり計画」を進めている。12年度からハード事業も実施してダムによらない村づくりを進める。
 主な事業は▽歴史文化交流館▽親水広場▽観光農園▽宿泊施設-などの観光施設整備と道路ネットワーク拡充、携帯電話の不通エリア解消や高齢者用集合住宅整備といった生活利便向上策。3者協議では6月、県が村に約50億円の財政支援をすることと、国がダム水没予定地の活用に協力することなどで合意。和田拓也村長が村再建計画を作ると表明していた。【取違剛】

◆2011年12月28日 熊本日日新聞
http://kumanichi.com/feature/kawabegawa/kiji/20111228001.shtml

 -ダム水没予定地に公園 五木村再建計画を公表ー

 国が中止を表明した川辺川ダム計画の水没予定地を抱える五木村は27日、国や県との合意に基づく村再建計画の概要を公表した。懸案だった水没予定地の活用策として公園などに暫定整備する内容を明記。2009年の中止表明から2年を経て再建策が具体化した。
 概要によると、計画期間は12年度から18年度までの7年間。道路整備などハード面の40事業を見込む。事業費は約200億円で、初年度は約35億円。財源には国の交付金などを活用するほか、県が50億円を拠出する。
 かつての村中心部で住民の移転に伴い更地化した川辺川沿いの水没予定地(244ヘクタール)については、22ヘクタールを暫定活用。川沿いでキャンプなどを楽しめる親水広場や特産のソバを栽培する観光農園、多目的広場に整備する。
 水没予定地の整備も含め、12年度には▽川辺川両岸を結ぶ頭地大橋の完成▽国道445号の未整備区間の工事-など15事業を予定。頭地大橋の右岸側では「五木の子守唄」など村の歴史文化を紹介する施設開設に向け調査に取り掛かる。
 13年度以降には農林水産品の加工場を建設するなどして雇用の創出も図る。
 国と県、村は計画の進行状況を確認するため、年1回程度の会議を開くことも合意。村役場で会見した和田拓也村長は「国や県、村の予算が不確定な中、一定の方向性が出たのはありがたい。一日も早く計画をやり遂げたい」と述べた。
 村再建策をめぐって、国は大型公共事業の中止に伴う補償法案の国会提出を2年続けて断念。法律に基づく財源の見通しが立たない中、国と県、村は6月、現行の予算制度を活用する形で合意し、計画策定に向け実務者レベルの協議を重ねていた。(臼杵大介)

 <解説>五木村の再建計画 国、県の積極性不可欠
http://kumanichi.com/feature/kawabegawa/kiji/20111228002.shtml
 川辺川ダムの水没予定地を抱える五木村の再建計画が27日、明らかになった。国が2009年に同ダム計画の中止を表明。事業を推進してきた国や県の対応が焦点だったが、再建の具体策は初年度となる12年度分が示されただけ。財源の大半を毎年、国の交付金などで賄う予定だけに、18年度までの事業が実現するかは不透明だ。
 村によると、7年間で実施する再建計画の総事業費は約200億円。このうち50億円は県が支出する方針を既に表明。しかし、残る約150億円は国の補助金や交付金などを見込み、村の負担も発生する。国の支出額は年度ごとになるため、今回の計画発表も12年度の政府予算案の決定後となった。
 交付金のめどがつかないならば、立村計画が滞る恐れもある。実際、村はかつての振興策で行き詰まった経験もした。今回の計画を絵に描いた餅に終わらせないためには、国や県の積極的な取り組みが欠かせない。
 一方、村はいずれ大きな決断をする時期を迎えるだろう。ダム計画中止が正式決定していない中、村はダム計画を根拠に再建策を求めてきた。ただ今回の再建計画がダム中止後を見据えたものでもあるだけに、「ダム建設を」と堅持してきた主張の見直しを迫られるかもしれない。(臼杵大介)

◆2012年1月8日 熊本日日新聞
http://kumanichi.com/feature/kawabegawa/kiji/20120108001.shtml

 -「生活再建へ特措法実現を」 ダム反対住民が新年学習会ー

 川辺川ダム建設に反対している住民団体の新年学習会が7日、人吉市の青井阿蘇神社参集殿であり、全国的規模でダム建設中止を実現するため、大型公共事業の中止に伴う地元の生活再建を支援する特別措置法の法制化を実現するとしたアピールを採択した。
 約80人が参加。「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の中島康代表と板井優弁護士が基調報告。中島代表は「政府が八ツ場[やんば]ダムに予算を付けたことに抗議の声を上げる必要がある。八ツ場ダムだけの問題ではなく、動きが沈静化していた他のダム建設に影響が及ぶ」と述べた。
 各団体から活動報告があり、国土交通省が計画している立野ダム(南阿蘇村、大津町)についての問題点の指摘などがあった。(津留三郎)