八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

意見書「利根川の基本高水、国の数値は過大」

2012年1月31日

 1月27日、八ッ場ダム訴訟の東京の控訴審(進行協議)がありました。「利根川の基本高水、国の数値は過大」とする関良基・拓殖大准教授の意見書が提出されました。
 意見書は八ッ場ダム訴訟ホームページに掲載されています。http://www.yamba.sakura.ne.jp/shiryo/tokyo_k/tokyo_k_g_iken_seki_1201.pdf

 関連記事を転載します。

◆2012年1月28日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581201280001

 -「国の数値は過大」 学者の意見書提出-

 八ツ場ダムへの公金支出は違法として、建設負担金を出す都県を相手取った住民訴訟で、控訴審の論点を整理する進行協議が27日、東京高裁であった。原告側は、国土交通省が再検証の過程で明らかにした利根川水系の基本高水(洪水時の最大流量)について、「ダムを建設しようと過大に見積もった」と批判する学者の意見書を提出した。

 利根川水系の基本高水をめぐっては、カスリーン台風(1947年)をもとに伊勢崎市八斗島で毎秒2万2千トンとされてきたが、2010年10月に根拠資料が国交省にないことが発覚。その後、同省は近年の雨量や流量を踏まえて2万1100トンと再計算し、日本学術会議が「妥当」とした。

 原告は、昨年9月にも利根川の基本高水は「観測データに基づくと1万6663トン」とする関良基・拓殖大准教授の意見書を高裁に出している。今回の意見書は「1950年から2010年までに起きた10回の洪水でも流量は13・7%減っており、国交省の再計算はおかしい」などと主張している。

 意見書は、河川工学や森林政策学の学者4人が中心になり国交省のデータなどを使って調べ、関准教授がまとめた。

 関准教授によると、流量減少の要因は「森林保水力の向上」。カスリーン台風当時は戦争中の乱伐と戦後の燃料需要で、山に樹木がなかったが、その後は回復したとしている。

 学術会議は「保水力は増加する方向で進んでいるが、洪水のピークにかかわる流出では、(回復に)長期の年月が必要」と認めなかった。

 控訴審初となる弁論は5月にも開かれる予定。