川原湯温泉の共同湯

 八ッ場ダムの関連事業は道路事業を中心に進んでいます。しかしダム反対闘争当時、最も重要視された水没予定地の一大観光地、川原湯温泉の再建については、依然として見通しが立っていません。
 今朝の群馬版紙面は、川原湯温泉の核である共同湯「王湯」の移転について報じています。

 王湯は川原湯温泉の源泉を引いた共同湯で、その泉質の良さが知られていますが、ダム事業が長引き、移転が予定されているため、設備は老朽化しています。
 各地の温泉施設は、今や地下深くのボーリングによる配湯が当たり前で、最新設備を誇るものの、温泉とは名ばかりの人工的な湯も少なくありません。温泉評論家の石川理夫さんの「温泉法則」によれば、温泉は安いほど自然な状態で良質といえるということです。入湯料がわずか300円の王湯は、温泉評論家が推奨する上質の温泉です。八ッ場ダムが中止になれば、川原湯温泉はこのかけがえのない観光資源をもとに、再生の道をさぐることになるでしょう。
 しかし、現在の川原湯温泉の源泉はダムの水没地から湧き出ているため、八ッ場ダム事業では、新たに水没線より上の地点でボーリングを行い、掘り当てた新源泉ともともとの旧源泉をポンプアップして、川原湯温泉街の移転代替地に引き湯するという計画を立てています。引湯管は尾根づたいに造られる予定の町道に数百メートル埋設されることになっています。

 群馬県議会における当局の説明によれば、国は今年5月には代替地で蛇口をひねればお湯が出るようにするということですが、町道建設は用地買収の目処も立っておらず、引き湯設備は暫定的なものとなるようです。
 肝心の温泉街の移転予定地である打越代替地の第三期分譲地も、いまだに分譲が開始されておらず、いつ分譲が開始されるのか、何が支障になっているのかも明らかにされていません。
 以下の新聞報道は、川原湯温泉を巡るこうした厳しい状況には触れていません。川原湯温泉街の再建については、これまで千人収容の観光会館、ダイエットバレー構想による30代女性の誘客など、雲を掴むようなプランが次々と打ち上げ花火のように行政から発表され、そのたびにマスコミで大きく報道されてきましたが、どの構想も実現しないまま年月が経過しています。
 今回の王湯の計画は、これらの構想よりはるかに慎ましいものですが、一体いつ実現するのでしょうか。

◆2012年4月7日 読売新聞群馬版 
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20120407-OYT8T00116.htm

 -新王湯会館 内容一新ー

 内風呂→露天着替え不要 雰囲気残して面積拡大
 八ッ場ダムの水没予定地、川原湯温泉(長野原町)で毎年1月に行われる奇祭「湯かけ祭り」に使われる共同浴場「王湯会館」が代替地に移った後の新施設の概要が6日、分かった。地元住民の意向を反映し、内風呂から露天風呂まで着替えずに移動できるように改良する。祭り会場用の広場も新設する。

 川原湯地区ダム対策委員会の商業部会(樋田省三部会長)が検討を重ねてきた詳細設計が、同委員会で了承されたもので、国が代替地の整備を終えた後、町が建設に着手する方針だ。

 建設場所は、現在地より約30メートル高台に整備中の打越代替地の温泉街ゾーン西側。現在と同様、木造2階建で、内風呂と露天風呂は1階に置かれ、2階には38・5畳の休憩所が設けられる。延べ床面積は316平方メートルで、約100平方メートル広くなる。現在のひなびた雰囲気をできるだけ残すため、石張りの外壁に、温泉を発見したとされる源頼朝のササリンドウの紋章も再現する。

 現在の湯かけ祭りは町道を通行止めにして行われており、新たな祭り用広場は、新会館の南側に整備される。広場はすり鉢状にして、観光客がお湯の掛け合いを見物しやすくする。新会館前に整備予定の町道をはさみ、別のイベント用広場も造るという。新会館とイベント広場の間には橋を架ける。

 樋田部会長は「川原湯のシンボルの新たな形がまとまり、うれしい。王湯ファンをがっかりさせないように今の姿をなるべく残したい」と語った。