高速建設再開ーそんな余裕があるのか(朝日社説)

 今朝の朝日新聞社説が一兆円を超す高速道路予算について、否定的な見解を述べています。社説の最後には、八ッ場ダムも出てきます。

 「深刻なのは、建設を目指す国交省の意向が素通りになっていることだ。国交省の主張を政権としてチェックするのが当然なのに、その形跡は見られない。」といのはまさに正論です。官僚依存体質が野田政権の大きな特徴で、このことが八ッ場ダムを含む巨大公共事業推進、土建国家維持のための原動力となっています。
 

◆2012年4月7日 朝日新聞社説
http://www.asahi.com/paper/editorial20120407.html#Edit2

 -高速建設再開―そんな余裕があるのかー

 建設が凍結されてきた高速道路について、国土交通省が次々と工事再開を決めた。事業費の合計は1兆円を超す。

野田政権は、消費増税の関連法案を国会に出したところだ。議論の本格化を 前に、駆け込み着工の様相である。

 国民に負担増を求めつつ、大型公共事業に手をつける。どう説明するつもりなのか。増税を前にアメを配るような感覚だとしたら、見当違いもはなはだしい。ただでさえ増税への疑問や反対の声が根強い国民の反発を強めるだけだろう。工事再開は撤回すべきだ。

 対象となるのは、09年の民主党への政権交代を機に凍結された全国6区間の4車線化と名古屋環状2号線の一部区間、自民党の小泉政権時代に待ったがかかった新名神高速道路の2区間である。

 国交省は以下のように説明する。渋滞が激しいところや冬季に通行止めが生じやすい場所、あと少しで環状道路がつながる区間などに絞った。大震災の教訓を踏まえ、道路網を多重にする必要がある。建設費は借金でまかなうが、料金収入で返済していく。既存の工事計画の見直しで浮いた分も活用する――。

 しかし、浮いた財源は、これまでの高速道路建設で抱えた多額の借金の返済に充てるべきだ。料金収入が計画を下回れば、最終的に税金を投入せざるをえない可能性もある。

 とくに新名神の対象区間は、道路公団民営化の際、採算の見通しが立たないとして「抜本見直し」とされた。むだな道路の建設を防ぐため、民営化で発足した高速道路会社が建設の是非を判断する仕組みになった。

 ところが、凍結解除は今月初めに現地を訪れた前田国交相がぶち上げた。民営化の精神がすっかり骨抜きになっている。

 それぞれの高速道路は、完成すれば便利だろう。だが、いま必要なのは、国全体の財政状況を踏まえた総合判断である。

 深刻なのは、建設を目指す国交省の意向が素通りになっていることだ。国交省の主張を政権としてチェックするのが当然なのに、その形跡は見られない。

 昨年末の12年度予算編成時には、沿線住民の反対などで約40年間止まっていた東京外郭環状道路の練馬―世田谷間の着工を決めた。

 高速道路だけではない。整備新幹線の未着工区間、八ツ場ダムの本体工事など、大型公共事業に次々とゴーサインが出た。

 「コンクリートから人へ」という民主党の理念はどこへ行ったのか。