ダム中止法案 継続審議へ

2012年9月11日

 熊本日日新聞の記事を転載します。

◆2012年9月7日 熊本日日新聞
http://kumanichi.com/feature/kawabegawa/kiji/20120907001.shtml

 -ダム中止法案 継続審議 民主国対委、方針決めるー

 政府が今国会に提出した、川辺川ダムの水没予定地を抱える五木村をモデルにダム事業中止後の地元の生活再建を支援する「ダム事業廃止特定地域振興特別措置法案」について、民主党国会対策委員会は6日、継続審議とする方針を決めた。7日の衆院国土交通委員会で採決し、正式決定する見通し。
 同法案は3月13日に国会提出されたものの、前田武志前国交相への問責決議などで審議がストップ。8日に会期末を迎えるため、同委員会に6日付託された。
 今後は10月にも開かれる次期臨時国会で審議されることになるが、今秋の衆院解散・総選挙も取り沙汰されており、同法案成立のめどは立っていない。
 同法案は、ダム水没予定地などを「特定地域」に指定し、都道府県が地元自治体などと協議して振興計画を策定し、国が財政支援するとしている。
 民主党政権発足直後の2009年、川辺川ダム中止を表明した当時の前原誠司国交相が五木村の生活再建の根拠法として整備を約束した。(原大祐)

 ~~~転載終わり~~~
 
 わが国では、ダム事業は一旦始まったら止まらないと言われ、ダム事業中止後の法整備がありません。八ッ場ダムをはじめとして、長期化したダム事業によってダム事業に沿った生活設計を立てざるをえなくなっている現地の住民が事業の中止を恐れるのは、このためだと言われます。
 実際、ダム事業によって現地では地域経済がダム事業に依存してしまっており、町財政、住民の仕事も多くがダムがらみです。人口減少に苦しむ中で、ダム事業によって潰されてしまった地域本来の産業を立て直すのは容易ではありません。

 今国会にはダム中止後の地元住民の生活再建を支援するための法案がようやく提出されましたが、半年間たな晒しにされた挙句、このほど継続審議が決定しました。法案は3月13日に今国会に提出されましたが、9月6日になるまで衆院国土交通委員会に付託されず、付託されるとすぐに継続審議が決定しました。
 これは、ダム中止後、地元がやっていけるようにする法律ができることを望まない自民党の意向に民主党国会対策委員会が配慮したためとされます。

 ダム中止後の生活再建法は、八ッ場あしたの会の運営委員でもある嶋津暉之さんが中心となって八ッ場ダムの市民運動が法案作成に取り組んできたものです。
 政権交代後、前原誠司国交大臣は、八ッ場ダム事業の中止と生活再建支援法の制定を掲げましたが、いずれも河川官僚の妨害によって実現しませんでした。
 2010年、民主党の議連(八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟:代表・川内博史衆院議員)が八ッ場あしたの会が提出した市民案を取り上げ、これを叩き台として衆議院法制局と共に作業した結果、昨年2011年9月に、「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」(仮称)として公表されました。
 昨年12月、政府は八ッ場ダム本体工事予算を計上するに当たり、前原政調会長、川内衆院議員ら党内に根強い八ッ場ダム反対の意見に配慮する形で、予算執行の条件の一つとして、ダム中止後の生活再建支援法案を国会に提出することとしました。皮肉なことに、八ッ場ダムの中止後の法整備として準備された法案が、八ッ場ダム本体工事着工の引き換え条件とされ、法案は川辺川ダム予定地の五木村をモデルとして国交省によって新たに作成されることになりました。
 それまで法案作成をボイコットしてきた国交省は、民主党議連が公表した法案をもととしつつも、生活再建支援を縮小する内容の法案を短期間で準備し、法案は3月に国会に提出されることになりました。
 八ッ場ダムよりダム事業の中止が現実的になっている川辺川ダム予定地の五木村では、この法案は不備があるとはいえ必要なものであるとして、法成立を望む声があり、民主党政権の対応に失望しています。

 生活再建支援法をめぐる国会の動きは、わが国のダム行政の実態を映し出しています。詳しい説明は、こちらをご覧ください。
 https://yamba-net.org/wp/modules/saisei/index.php?content_id=7
 「ダム中止後の特措法案」