八ッ場ダム本体着工めど立たず

 今朝の上毛新聞が一面トップ記事で八ッ場ダム本体工事の行方を取り上げましたので、記事を転載します。
 記事のタイトルでは、八ッ場ダムの2015年度完成は”黄信号”がともっているとしていますが、八ッ場ダム事業の具体的な中身を見る限り、2015年度どころか、国交省が試算で示した2019年度(2020年)完成にも赤信号がともっている状況です。

◆2012年9月17日 上毛新聞一面

 -八ッ場ダム建設決定から9カ月 本体着工めど立たず
    河川整備計画未策定のまま 15年完成に”黄信号”ー

 政権交代直後の2009年9月17日未明、国土交通相に就任したばかりの前原誠司氏が八ッ場ダム中止を表明してからきょうで丸3年。この間、ダムの必要性の検証を経て、昨年12月に国はダム本体の建設を決めたが、9カ月近くたった今も着工のめどさえ立っていない。政府、民主党が本体予算執行条件の一つとした利根川水系の河川整備計画が未策定のためだ。内容を検討する有識者会議が近く招集される見通しだが、政府は策定期限を示していない。現計画で予定している2015年のダム完成は日々、困難さを増している。
 
 国は本年度予算に八ッ場ダム事業費として約135億円を計上。このうち代替地の分譲や国道の付け替え道路の整備など生活再建関連117億円を配分したが、本体工事用の道路整備といった本体関連工事費18億円は執行されていない。
 本年度分も先行き不透明な中、来年度予算の編成作業が進む。国交省は八ッ場ダムも含め全国のダム事業に955億円を概算要求した。ただ、ダム個別の事業費が固まるのは年末以降とみられ、八ッ場ダム予算がどうなるか不透明だ。

■予算執行の条件

 建設再開の条件は、民主党側の要求を受け藤村修官房長官裁定で示された、河川整備計画の策定と、ダム事業が中止された地域の生活再建を支援する特別措置法案の国会提出の二つ。同法案は3月に衆院に提出された。羽田雄一郎国交相は7月に八ッ場ダムを視察した際、「官房長官裁定のクリアに全力を尽くす」と述べ、裁定内容を満たすことが予算執行の条件との考えをあらためて示した。
 国交省関東地方整備局は策定に向け、意見募集を行い、現在、計画を協議する有識者会議委員の選定をほぼ終えたとみられる。
 ただ、内容の検討にどのくらいの時間がかかるか不明だ。特に、ダムを含む新たな河川整備で安全に流そうとする洪水量については、これまでダム反対派が同様の場面で「過大」と問題視してきた点で、紛糾の可能性がある。ダム建設反対派の水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之代表は「ダム懐疑派の委員を半分は入れ、じっくりと科学的に議論し、ダムに頼らない整備計画を作るべきだ」と主張する。
 これに対し長野原町の高山欣也町長は、治水目標やダムの必要性の議論はダムの検証作業の中で行われていることなどから「本来は2条件にかかわらず本体着工すべき」との認識。「今年中に計画を完成させ本体工事を発注してほしい」と強調する。

■進む生活再建
 八ッ場ダムは昨年度末時点で事業費(基本計画事業費4600億円)上のベースで進捗率80%、用地は456㌶のうち88%の402ヘクタールの買収が済んだ。長野原町林地区の道の駅は6月に着工式が行われ、長野原地区はJR長野原草津口駅の新駅舎着工式が8月に行われた。生活再建事業が少しずつ進む中、本体が取り残されている状況だ。
 前田武志国交相は2月の衆院予算委員会の答弁で「本体に着工して7年で完成すると大体予想される」と述べた。河川整備計画の策定に時間がかかれば工期と費用も上積みされる。地元住民は「一日も早く本体着工してほしいが、民主党政権ではすんなり予算は執行されないと思う。政策を進める政権になってほしい」と話した。

 ~~~転載終わり~~~
 
  この記事では、地元住民の言葉として、「一日も早く本体着工してほしいが、民主党政権ではすんなり予算は執行されないと思う。政策を進める政権になってほしい」と話した、と紹介されていますが、「地元住民」とはどの住民を指すのでしょうか? 長野原町長は「地元にダムに反対している人はいない」と語っているそうですが、これは事実ではありません。
 ダム計画によって長年支配されてきた地域では、ダムを推進してきた有力者の意見に表だって反する意見を表明することは困難ですが、地元住民の考えは様々です。
 ダム推進派が期待しているというダム湖観光による地域振興は、実現の可能性がゼロです。すべての地元住民がダムの早期完成を望んでいるかのような表現は、声なき地元住民の心を踏みにじるものです。