八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

利根川の河川整備計画に関するパブコメ結果

2012年9月29日

 さる9月25日に開催された「第5回利根川・江戸川有識者会議」の資料が国交省のホームページに掲載されました。
   ↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000202.html

 これらの資料の中には、有識者会議の委員名簿や会議の規約、会議のこれまでの経緯のほか、パブリックコメントの結果が含まれています。↓
 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000066988.pdf
 資料3-3 関係する住民の皆様よりいただいたご意見から得られた論点及びそれに対する河川管理者の見解

 このパブリックコメントは、今年の5月25日から6月23日の期間、国交省関東地方整備局が「利根川・江戸川において今後20~30年間で目指す安全の水準に対する意見募集」と題して行ったものです。
 利根川と流域住民との今後の関わり方を決定づける河川整備計画を策定するに当たり、治水の安全度だけを取り出すというパブコメの手法は、他の全国の河川整備計画の策定作業ではなかったものです。

 八ッ場ダムの検証における昨秋のパブコメでは、埼玉県の自民党が大量のやらせパブコメを県議会事務局を使って発送したことが暴露され、大きな問題となりました。”やらせ”以外のパブコメの殆どが八ッ場ダム建設に反対する意見でしたが、国交省はこれらの意見を無視して八ッ場ダム本体予算の計上に踏み切りました。

 こうした経緯がありましたので、今回も国交省はただパブコメという手続きを踏んだ、という事実を残すことが目的で、パブコメの本来の趣旨である、国民の意見を河川整備計画の策定に反映させる気などさらさらないだろうと言われてきました。これまでのダム行政では、国交省は自らの方針に反する住民の意見を取り入れることはありませんでしたし、現在の利根川の河川整備計画の策定作業においても、その姿勢は変っていません。

 今回のパブリックコメントは、河川工学の分野における数字の妥当性を問うという、一般国民には大変とっつきにくいものでしたが、国交省の資料によれば93通もの意見が寄せられています。
 利根川の河川整備計画の策定は、八ッ場ダム本体着工の条件とされていますので、八ッ場ダム建設に反対する多くの国民が、国民にかたく門戸を閉ざしている河川行政に対して憤りとむなしさを感じながら、難しいパブリックコメントに応募し、自らの意見を国交省に送ったのです。
 
 2ページから始まる93の意見を見ると、最初の方のページには国交省案に賛成の意見がいくつか見られますが、その後のページでは殆どが反対意見であることがわかります。有識者会議委員である関良基氏によれば、85意見が国交省案に反対であるということです。93のうち85ですから、9割を超える意見が反対ということです。
 先ごろ、原発政策について、パブコメの殆どが原発ゼロを望んだにもかかわらず、政府が政策に反映させようとしていないことと同じ構図です。5月から6月にかけて実施したパブコメの結果を9月25日まで公表しなかったことも、事務方を務める行政のあり方として常識的には考えられないことでしょう。

 関良基氏は自らのブログに、「八ッ場ダム93通のパブコメを受けての意見書」と題して、国交省に提出した意見書を掲載しています。 http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/975ee4d7e8f024b9d235768bc03b1452