10/4の利根川・江戸川有識者会議

 四年四カ月ぶりに開催されることになった利根川水系河川整備計画策定のための有識者会議は、9月25日に続いて10月4日に二回目の会議が開かれました。
 一般にこの種の審議会は、忙しい有識者の時間調整、資料を調べて意見をまとめる時間、会議の準備などに時間がかかるため、数か月に一度開かれるのが通例です。
 国交省は八ッ場ダム本体着工の条件である利根川水系河川整備計画の早期策定を目指して、異例の会議運営を行っており、国交省と一心同体の言動が目立つ宮村座長が有識者会議を取り仕切っています。

 関連記事を転載します。

◆朝日新聞群馬版 2012年10月05日
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581210050001

 -座長、打ち切り示唆 有識者会議ー

 八ツ場ダム本体着工の最終条件の一つ「利根川・江戸川河川整備計画」の策定をめぐり、国土交通省関東地方整備局は4日、有識者会議(座長=宮村忠・関東学院大名誉教授、委員21人)を都内で開いた。前回の会議から9日。ダム見直し派の学者たちは再び問題点を指摘したが、議論にならず、宮村座長は終了後、打ち切りも示唆した。

 「パブリックコメントでは整備局が示した流量に91%が否定的だった」。冒頭、見直し派の関良基・拓殖大准教授(森林政策学)が傍聴席の流域住民にも発言機会を与えるよう提案。

 だが、整備局は「流域住民の意見はパブコメで聞いた」と応じなかった。

 傍聴席から「市民の声を聴いているのか」などと整備局への批判の声が飛び、議論はたびたび中断。委員の大半の推進派から、目立った発言はなかった。

 整備局は有識者会議を「意見を聴く場」と位置づけ、整備計画の早期策定をめざす。

 終了後、宮村座長は報道陣に「国交省側の判断で議論を打ち切ることもありうる」と述べ、強制的な打ち切りも示唆した。

 県や長野原町は整備計画を策定し、八ツ場ダムの本体工事に着工するよう求めている。

 県議会も、産経土木常任委員会が9月28日に「八ツ場ダム建設推進を求める意見書」を賛成多数で可決し、19日の本会議で採決予定だ。(牛尾梓)

◆東京新聞群馬版 2012年10月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20121005/CK2012100502000234.html

 -建設根拠めぐり紛糾 八ッ場ダム河川整備ー

 八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の本体着工の条件である「利根川・江戸川河川整備計画」の策定に向け、国土交通省関東地方整備局は四日、第六回有識者会議を都内で開催した。

 九日前に約四年ぶりに開催された第五回に続いて議論は紛糾した。

 一九四七年のカスリーン台風の実態や洪水時に利根川を流れる最大水量の試算など、八ッ場ダムの建設根拠となる要素を巡って、意見が錯綜(さくそう)した。

 同整備局が提示したカスリーン台風の資料について、被害の現地調査をしてきた大熊孝・新潟大名誉教授は「間違っている。氾濫していない所で氾濫したとしている」として撤回を求めた。

 また洪水時に利根川を流れる最大水量を日本学術会議で試算した小池俊雄・東京大大学院教授は試算を「実証的に説明するには至っていない」と述べた。

 さらに関良基・拓殖大准教授は、日本学術会議の試算が森林の洪水抑制効果を考慮していない点を指摘した。 (伊藤弘喜)

◆2012年10月5日 上毛新聞

 -利根川水系整備計画の有識者会議 目標流量で平行線ー

 国土交通省関東地方整備局は4日、八ッ場ダム(長野原町)の本体着工の条件となっている利根川水系の河川整備計画の策定に向けた「利根川・江戸川有識者会議」(座長・宮村忠関東学院大名誉教授)を都内で開き、八ッ場ダム建設の根拠となる今後20~30年の河川整備計画で安全に流すことを目指す洪水量(目標流量)について協議した。ダム反対派の委員から目標流量を設定すること自体に批判的な意見が出るなど議論は平行線をたどった。
 宮村座長は会議終了後、目標流量について「全員の合意を得ることはほぼ不可能。有識者会議の意見を尊重してもらうが、ここでは決めない」と報道陣に述べ、最終判断は整備局が行うとの認識をあらためて示した。
 整備局は目標流量について、70~80年に1度の洪水規模に当たる毎秒1万7千㌧(基準点・伊勢崎市八斗島やったじま町)が適切としている。
 会議で大熊孝・新潟大名誉教授は目標流量を最初に設定することに反対し、東日本大震災を踏まえて「治水の在り方を根本的にどう考えるかを議論するべきだ」と指摘した。
 整備局は「事業は限られた予算と時間の制約の中で計画的に進める必要があり、目標を定めて段階的に整備することが不可欠だ」と理解を求めた。
 会議は2009年の政権交代を挟んで約4年ぶりに召集された。中断前の会議では50年に1度の洪水を想定していたことを指摘し、目標流量を引き上げたことを批判する意見も出た。これに対し、整備局は「地方公共団体の意見、要望を踏まえつつ検討した結果」と説明した。
 会議の冒頭では関良基・拓殖大准教授が傍聴人に意見を述べさせるべきだと主張。採決して提案は否定されたが30分以上を費やすなど、座長選びで紛糾した9月25日の前回の会議同様、会議の運営方法をめぐって時間が割かれた。
 有識者会議は06年12月から08年5月までの間に計4回開催。その後、中断していたことについて、整備局は「流域が広く、多くの意見があり、いろいろ対応を検討していた」と釈明した。

 —転載終わり—

 上記の上毛新聞は、「(関良基氏が)傍聴人に意見を述べさせるべきだと主張。採決して提案は否決されたが・・・」とありますが、賛成者に挙手を求めただけで、反対者の挙手は求めませんでした。一般に採決をとる場合、賛成、反対の意思を確認するものですから、正確には、「採決して提案は否決されたという形を取りつくろった」と言えます。この日の参加者は10名しかおらず、座長を除く残り5名の委員が反対意見であったかどうかは不明です。
 前回の会議では、同じような場面で賛成・反対双方の挙手が求められ、いずれにも手を挙げない委員が少なくありませんでした。宮村座長も国交省もこうした事態になれば傍聴者の発言を認めるという結論になる可能性もありますので、反対の挙手を求めることを拒否し続けたのでしょう。