諫早湾基金案問題、漁業者「判断できぬ」、国の姿勢に反発

 巨額の税金をかけながら、役に立つどころか、負の遺産となってしまった諫早湾干拓事業。有明海の自然環境の悪化、漁業資源の深刻な被害、漁民と農民の分断…。地元紙の以下の記事は、先行きの見えない不安を抱えている漁業者の苦悩を伝えています。

◆2018年2月4日 佐賀新聞
http://www.saga-s.co.jp/articles/-/177640
ー「判断できぬ」漁業者、国の姿勢に反発 諫早湾基金案問題「国が一方的に示した期限」ー

 「国が一方的に示した期限。われわれに関係ない」。国営諫早湾干拓事業(長崎県)の開門問題を巡り、佐賀県有明海漁協が受け入れを検討している開門しない前提での基金案。潮受け堤防閉め切りから20年以上にわたって漁場環境の悪化に苦しみ続ける県西南部地区の漁業者から“待った”がかかった。冷凍網ノリの色落ち被害に対する不安も強まる中、10日までの結論を迫る国の姿勢に反発が広がった。

 「組合員全体に基金案の理解が進んでおらず、国の今後の対応も分からないのに判断できない」。漁協鹿島市支所の中村直明運営委員長は、不意に突き付けられた難題に戸惑う漁業者の思いを代弁した。堤防内の調整池の水質改善など有明海再生の課題は多岐にわたる。「国が基金の後も前向きに取り組む確約はない。裁判で焦っているのだろうが、期限は決められない」と語気を強めた。

 開門を命じた確定判決の原告、大鋸武浩さん(48)=藤津郡太良町=は「海の改善が見通せず弱気になった漁業者に、国は巧みにつけ込んでいる。本来は原告団に基金案を示してから漁協に話をすべき」と非難。赤潮による色落ちノリを手にしながら「船の燃料が値上がりし、採算が取れなくなってきている。排水対策で環境が良くなる根拠は何もない」と強調した。

 昨年12月の海上デモ発起人のノリ漁業者松本徳幸さん(39)は「ノリだけでなく二枚貝など全体が回復しなければ西南部地域の漁業は立ちゆかない。開門調査をしないと有明海再生はない」と訴える。

 今は冷凍網ノリの収穫の繁忙期。会合の出席者からは国に対する恨み節も漏れた。「寝ずに目をこすりながら頑張っている。最も重要な話をこの時期にして、なんてことをするのか」。