水道法改正法案の審議に関する日経新聞と赤旗の記事

 6月月末から衆議院厚生労働委員会で水道法改正案の審議が始まりました。水道法改正の審議に関する日本経済新聞としんぶん赤旗の記事を転載します。
 重要なライフラインである水道の今後に大きな影響を与える水道法の一部改正。与党は6月の大阪北部地震で水道法改正の必要性が高まったと主張していますが、水道法改正によって水道の民営化が促進されたとしても、水道管の耐震化をスピードアップできる妙案がでてくるわけではありません。日経新聞が報じるように、評判の悪いカジノ法案に注目が集まるのを避けるのが与党の戦略であるとすれば、ここにも国民の生活を蔑ろにする与党の姿勢が表れていると言わざるをえません。

 大阪北部地震と水道管の問題については、以下のページに関連記事を掲載しています。
 https://yamba-net.org/wp/42341/
 -<大阪北部地震>老朽水道管で被害相次ぐ 大阪府は老朽管率全国ワーストー

◆2018年6月26日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32251490W8A620C1PP8000/
ー与党が急ぐ水道法改正 大阪北部地震で緊急性高まるー

  7月22日まで会期を延長した今国会で、市町村などが手掛ける水道事業を広域化する水道法改正案が焦点に浮上した。厳しい経営環境を受け、経営効率化や民間企業の参入を通じて水道管の老朽化対策を促進する内容だ。公明党が今国会での成立の必要性を訴え、大阪北部地震で緊急性が高まった。与党には来年の統一地方選や参院選への成果づくりを急ぐ思惑もある。

 衆院厚生労働委員会は26日の理事懇談会で、水道法改正案の27日の厚労委での審議入りを決めた。

 改正案は複数の市町村で事業を広域化して経営の効率化をはかるため、都道府県が計画をつくる推進役を担う内容だ。市町村などが経営する原則は守りつつ、民間企業に運営権を売却する仕組みも盛りこんだ。災害時の復旧は自治体と民間企業が共同責任を負う。

 法改正を進める背景には老朽化した水道管の更新が進まない事情がある。事業者は人口減による収入減少などで赤字体質のところが多いためだ。

 厚生労働省によると、40年の耐用年数を超えた水道管の割合は2016年度末に全国で平均14.8%。一方、更新率は0.75%にとどまる。単純計算で全て更新するのに130年以上かかる。18日に発生した大阪北部地震では耐用年数40年を10年以上超えた水道管が破損し、広く影響が出た。

 政府は改正案を昨年の通常国会に提出していたが、審議入りしないまま昨年9月の衆院解散で廃案になり今国会に再び提出した。今国会でも働き方改革関連法案など他の重要法案が優先され、審議に入っていなかった。

 自民、公明両党は会期延長の方針を決めた20日の党首会談で、水道法改正案の今国会成立をめざすと確認した。公明党の山口那津男代表は「大阪の地震の被災地に関わる与野党の方々の理解も得て成立をはかりたい」と強調する。

 公明党は6月に入って、自民党との幹事長会談で改正案成立を求めていた。自民党の森山裕国会対策委員長も地震発生後の19日に「非常に急ぐ問題だ」と話した。

 与党が積極姿勢を示すのは、来年の統一地方選や参院選をにらんだ動きだ。水道事業の経営悪化は地方の生活に直結する。地方議員から早期の成立を求める要望は強い。

 特に約3千人の地方議員を抱える公明党は統一地方選を国政選挙並みに重視し、改正案の成立に熱心だ。党内に慎重論が根強いカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案に注目が集まるのを避ける思惑もにじむ。

 立憲民主党や国民民主党など野党は改正案の民間参入方法だと災害時の自治体の責任が不明確になるなどと反対姿勢だ。

◆2018年6月30日 しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-30/2018063002_05_1.html
ー水道事業育成こそ必要 民営化推進の法改定 高橋氏が批判ー

実質審議入り
 衆院厚生労働委員会で29日、地方自治体の水道事業の運営権の民間企業への委託(コンセッション方式)を推進する水道法改定案が、実質審議入りしました。日本共産党の高橋千鶴子議員は、必要なのは民営化ではなく、「水道事業の担い手を育て、必要な財源を投じてライフラインを守ることだ」と主張しました。

 改定案は、自治体が水道事業者であり続けながら、民間業者が厚労相の認可を受け水道施設の運営権を受託する仕組み。与党は大阪北部地震による損壊を根拠に、「老朽化対策」を進めるとの口実で成立を狙っています。

 高橋氏は、課題として指摘されている経営基盤の脆弱(ぜいじゃく)性がなぜ生じたのかと質問。加藤勝信厚労相は「広域化が進まない中、節水意識の向上など、水需要の減少に伴い料金収入が減少した」ためと答弁しました。

 高橋氏は、職員数がピーク時より3割減り、給水人口5万人未満の事業体の職員は1~2人、技能職はゼロだと紹介。世界では民営化後の管理運営水準の低下などから再公営化が進むなか、政府がサービス水準の担保策として掲げる民間業者への「モニタリング(監視)」についてただすと、宇都宮啓審議官は、全てを自治体自ら行う必要はなく、「専門的知見をもつ第三者を活用する」と答弁。高橋氏は、すでに8割の事業者が水質検査を外部に委託しているとし、「結局、モニタリングも民間委託になるではないか」と指摘しました。

 高橋氏は、民営化推進は水道事業の維持・向上につながらず、「自治体がリスクはとって、もうけは民間に回すもの」と批判しました。