八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

サンルダムで試験湛水

 残念な情報ですが、北海道のサンルダムの試験湛水が6月29日に始まりました。
 
 ◆国土交通省プレスリリース サンルダム試験湛水を開始!
 http://www.hkd.mlit.go.jp/as/release/vktdfd000000ehwb-att/vktdfd000000f9xr.pdf

 サンルダムは八ッ場ダムと同様、民主党政権で中止が取り沙汰されながら、継続が決まった国の事業です。ダム建設の主目的は治水(洪水調節)ですが、小さなサンルダムによる洪水調節効果については、ダム建設に反対する市民運動から厳しい指摘がなされてきました。地元(下川町)がダム建設による地域の活性化を目指しているのは八ッ場ダムと同様ですが、水没住民はいません。

 八ッ場ダムの本体工事は2015年、サンルダムの本体工事は2013年に始まりました。八ッ場ダムは現在、コンクリート打設率7割となっていますが、サンルダムは2017年11月に打設を完了しました。
 1988年に始まったサンルダム事業は、八ッ場ダム同様、工期の延長と事業費の増額を繰り返しており、昨年、四回目の計画変更により、ダム事業費は591億円となりました。
〈参照〉国交省北海道開発局 旭川開発建設部 サンルダム事業のあゆみhttps://www.hkd.mlit.go.jp/as/tisui/ho928l0000001o7i.html#s1

 サンルダムが建設されたサンル川は、北海道で二番目に長い手塩川の支流の一つである名寄川のさらに支流です。小さなサンル川ですが、サクラマスが上ってくる清流として知られています。
 サンルダムではサクラマスの親魚の遡上と、幼魚(スモルト)の降下のため、7㎞に及ぶ魚道が設置されました。しかし、魚道の機能調査はまだこれからです。
 サンルダムの建設に反対する市民団体、「サンル川を守る会」が製作した絵本「世界にたった一つのサンル川」(右画像=絵本の表紙)を以下のページからご覧になれます。サンルダムが建設される前の、サンル川の原風景の写真が掲載されているページもあります。
 http://www.sanru-river.com/

◆2018年7月3日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/204294
ーサンルダムで試験湛水 下川 安全確認し来春稼働へー

 【下川】旭川開建は29日、上川管内下川町で建設中のサンルダムの試験湛水(たんすい)を始めた。半年以上かけて水をためてダムの安全性を確認した上で、来春の本格稼働を目指す。ダム湖の名前は公募で寄せられた候補を参考に、「しもかわ珊瑠(さんる)湖」に決まった。

 ダムは湖をせきとめる堤体の高さが46メートル、延長350メートルで、総貯水量は5720万立方メートル。産卵で天塩川水系のサンル川を遡上(そじょう)するサクラマスのための全長7キロの魚道を備える。

 洪水対策と水道水の安定供給、水力発電が目的で、工事は1993年に開始。旧民主党政権下で一時凍結されたが、2014年から本体工事が進められていた。総工費は約591億円。

 この日は湛水式がダム管理棟で行われ、旭川開建と地元自治体などの約50人が出席。下川町の谷一之町長は「天塩川流域の住民の悲願。ダム周辺の活用を町として考えたい」と述べた。

 ダムの水位は来年1~2月ごろに最高となり、その後、平常位に下げ、工事終了後の来春、本格稼働させる予定。(上村衛)