石木ダム訴訟、高まる注目 著名人続々現地へ 映画化も

 石木ダム事業は長崎県の事業ですが、13世帯の水没住民が団結して反対を貫く中、国交省が長崎県の強制収用を後押しし、わが国の強権的なダム行政の縮図のような様相を呈しています。
 先週から首都圏で、ダム予定地住民を描いたドキュメンタリー映画の上映が始まり、今日は長崎地裁が住民敗訴の判決を下しました。裁判ではダムは不要とする原告側の論理的な主張に対して、被告の長崎県と佐世保市の担当者は、しどろもどろで質問にまともに答えることもできなかったのですが、司法はダム問題にまともに向き合おうとしませんでした。

 石木ダムの闘いは、これから新たに始まります。

◆2018年7月8日 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASL726V0FL72TOLB014.html
ー石木ダム訴訟、高まる注目 著名人続々現地へ 映画化もー

 長崎県川棚町で県と佐世保市が計画する「石木ダム」の事業認定取り消しを地権者が求めた訴訟の判決が9日、長崎地裁である。半世紀近く反対を貫いてきた地権者らを、環境保護に力を入れる企業が3年前から支援。ドキュメンタリー映画がつくられ、歌手の加藤登紀子さんら著名人が続々と現地に足を運ぶなど関心が高まるなか、裁判所の判断が注目される。

  ダムは、川棚川流域の治水と佐世保市への利水を目的に1975年に建設が決まったが、地権者の反対で本体着工できていない。国は2013年に事業認定。県は家屋や土地の強制収用の手続きを進めている。訴訟の最大の争点は水需要予測の妥当性。国側は水源確保にダムは必要と主張。地権者側は「膨大な費用をかけ過剰な水を生み出すダムは不要」と訴えている。

 水没予定地内の67世帯のうち、川原(こうばる)地区の13世帯は「自然に囲まれた暮らしを続けたい」と移転拒否を貫き、今も支援者と座り込みを続ける。15年からは、アウトドア衣料メーカー「パタゴニア」(本社・米国)の日本支社が支援に乗り出した。環境保護を自らの責任と位置づける企業。東京で地権者と記者会見を開いたり、全国紙に意見広告を出したり、反対運動に寄付したりした。県に公開討論会開催を求める署名運動にも協力し、県内外から約3万2千筆が集まった。

 著名人も現地に足を運ぶ。15年に訪れた作家いとうせいこうさんは「驚くほど小さな小川を見て、ダムなどありえないと思った」と語った。今年3月には音楽家の坂本龍一さんが訪れた。

 昨年10月には、川原地区の住民の生活を撮ったドキュメンタリー映画「ほたるの川のまもりびと」(山田英治監督)もできた。各地で上映されている。

 5月6日、反対地権者らが川棚町で開いたシンポジウムの参加者は千人を超えた。進行役は歌手の加藤登紀子さん。前滋賀県知事で環境学者の嘉田由紀子さんも同行した。

 実行委員長を務めた地権者の炭谷猛さん(67)は「石木ダムってなんだかおかしいぞ、と感じる人が増えてきたと思う。問題が全国版になってきた」。住民の石丸穂澄さん(35)も「SNSで発信してくれる人が増えた」と話す。

 ダム問題に詳しい水源開発問題全国連絡会(横浜市)の共同代表、遠藤保男さん(73)によると、水没予定地の住民が強制収用の直前まで反対を続けるのは例がないという。「『住み続けたい』という地域社会がつくられていること自体が驚き。そこに共感が広がっているのだろう」とみる。(福岡泰雄)