八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

広島県の野呂川ダム、増水の川に放流 

 記録的な豪雨でダムが満水になり、下流域の住民に対して大至急避難するよう、呼びかける危機的な状況が広島県の野呂川でも起きました。午前6時前の早朝、野呂川ダムを管理する広島県が下流域の住民に対して緊急避難を呼びかけたということですが、避難は間に合ったのでしょうか。

 広島県営の野呂川ダムは総貯水容量170万㎥、洪水調節容量105万㎥、集水面積13㎢のダムです。
 http://www.pcpulab.mydns.jp/main/norokawadam.htm

◆2018年7月7日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASL772CM8L77PITB007.html
ー「大至急避難を」広島・野呂川ダムの下流住民に呼びかけー

 広島県によると、7日午前5時50分ごろ、呉市を流れる野呂川上流の野呂川ダム(呉市安浦町)が降雨によって満水となった。あふれた水で野呂川が氾濫(はんらん)する危険性が高まったため、県が下流域の住民に対し、大至急避難するよう呼びかけている。

◆2018年7月7日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180707/k10011519611000.html
ー広島 呉市の野呂川ダム 満水で氾濫注意 大至急避難をー

 広島県によりますと、呉市にある野呂川ダムでは、大雨の影響で午前5時50分ころ満水となりました。このため、ダムの水があふれて、下流の川が氾濫し、呉市の住宅地などに浸水被害が起きる危険性が高まっているとして県は、大至急、避難するよう呼びかけています。

◆2018年7月8日 ウェザーニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180708-00004259-weather-soci
ー増水の川にダムから放流 歴史的大雨は治水能力を超えたー

ダムが調整できる量を上回る事態に
 西日本の広いエリアで記録的な大雨となり、多くの川で氾濫危険水位を超過、一部では氾濫も発生しました。そんな中、川が増水している状況にも関わらず、7日(土)には京都府桂川上流の日吉ダムや広島県野呂川の野呂川ダムでは放流が行われ、下流の水位が上昇しました。

 よく知られているダムの役割としては、水源としての貯水がありますが、それ以上に大きな役割としては治水があります。川に流れる水の量を調整し、洪水の発生を防ぐことです。

ダムだけで全ての洪水を防げるわけではない
 今回は記録的な大雨で、ダムが調整できる量を上回る事態となりました。野呂川ダムでは7日(土)5時前にただし書き操作開始水位(※)を超えたため放流を開始。下流で浸水被害が発生しました。

 想定以上の水位になることで、ダムそのものが決壊することを防ぐための措置で、行う場合は下流住民への周知などを含めた確認実施後と決められています。

 ダムだけで全ての洪水を防げるわけではありませんので、こうした事態もありうるということは、知っておくと良さそうです。

(※)ただし書き操作開始水位とは…
 洪水調節容量の8割程度に相当する水位であり、洪水調節を行うダムにおいて想定された計画洪水量を超える洪水が発生し、このままではダム水位がサーチャージ水位(洪水時にダムが洪水調節をして貯留する際の最高水位)を越えると予想されるときに行われるダム操作を開始する基準となる水位のことです。