ダム起業者(長崎県)が住民の土地を強制的に奪う権利を国が認める事業認定は、ダム事業を行政が進めやすくするためのわが国の仕組みです。この事業認定の取り消しを求めた裁判で、昨日、長崎県は原告住民側敗訴の判決を言い渡しました。
この不当判決について、石木ダム訴訟原告団より以下のメッセージが発信されました。
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たいへん残念な結果となりました。
しかし、私たちの目標(石木ダム建設を止める)は何ら変わるものではないし、その達成のために頑張ろうという思いはますます強くなりました。
なぜなら、裁判所が示した判決理由は、被告(国)の言い分をオウム返しになぞっただけのものであり、原告が問題にしたポイントについてまともに検討もしていない空虚なものでした。
このような中身のない判決に従う必要は全く無いことを、弁護団も原告団も共に確認し、直ちに控訴の手続きに入ることを宣言しました。
判決後に向かった県庁での要請行動の中で、読み上げられた声明です。
「石木ダム事業認定処分取消訴訟」判決に対する声明
平成30年7月9日
石木ダム建設絶対反対同盟 連絡人 岩下 和雄
石木ダム対策弁護団 代表弁護士 馬奈木昭雄
石木川の清流を守り川棚川の治水を考える町民の会
代表 森田 正昭
石木川まもり隊 代表 松本美智恵
水問題を考える市民の会 代表代行 篠崎 義彦
石木川の清流とホタルを守る市民の会
事務局長 田代 圭介
本日,長崎地方裁判所において,石木ダム事業認定処分取消請求を棄却する不当判決がなされた。
本訴訟は,石木ダム建設予定地とされている川原(こうばる)に居住する住民を中心に川棚町民,佐世保市民を含め全国の100名以上の原告が,客観的に全く必要がない事業であるにもかかわらず、居住者らに対する合理的な説明を放棄して、石木ダム事業を強行する長崎県及び佐世保市の事業認定申請を認可した国土交通省九州地方整備局の事業認定処分が違憲・違法であるとして,その取り消しを求めたものである。
長崎地方裁判所は,本日,事業それ自体の客観的不合理性から目を背け,事業認定庁に広範な裁量があることを前提に,その広範な裁量の逸脱はないとして,私たちの請求を棄却する判断をした。
そもそも,石木ダム事業がダムありきの不必要な事業であり,川原地区に居住する13世帯約60名の生活・生業・社会を破壊することが絶対に許されないことは私たちが繰り返し裁判所内外で主張してきたところである。
今回,裁判所は,事業それ自体の不合理性から目を背けて住民らの請求を棄却したのであるが、むしろそのような判断手法をとったがゆえに、本件事業がダムありきの事業計画であり,必要性のない事業であることについて、居住者らは、より一層強く確信している。
居住者らは,皆,長年にわたり、石木ダム事業によって人生を翻弄されてきたが、事業の不合理性を看過して、居住者らの人権侵害に手を貸す本日の判決は、強く非難されるべきである。このような違法な事業で居住者らの人権を侵害する状態が継続することは絶対に許されないし,ましてや居住者らを強制的に排除することはなおさら許されない。私たちの石木ダム計画が撤回されるまで闘うという決意はこの不当判決で何ら揺らぐものではない。そこで,私たちは,本判決に対して速やかに控訴の手続をし、違法な事業を中止させ、居住者らの人権を守るために、これまで以上に闘い続けることをここに宣言する。
同時に国あるいは起業者である長崎県及び佐世保市に対して、居住者らのこの断固たる決意を真摯に受け止め、客観的に明らかに不合理である石木ダム事業計画を撤回するよう求めるものである。
以 上
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この裁判を支援している水源開発問題全国連絡会のホームページには、昨日の判決についての報告が掲載されています。
http://suigenren.jp/news/2018/07/10/10891/
右の画像をクリックすると134ページに及ぶ判決文が開きます。
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この判決文を皆さんにしっかり読んでいただきたく思います。
行政側の言い分を丸ごと認めています。
このような司法の判断、行政側の言い分=裁量権の範囲 これに歯止めをかけなければなりません、
13世帯の皆さんは、「こんなでたらめな判決を認めることはできない。たとえ、行政代執行されようとも私たちは住み続ける」と言明しています。
敗訴判決ではありましたが、石木ダムは全く必要性がないことは自明の理。
無駄な公共事業による人格権侵害を許さない闘い、さらなる支援強化を皆様にお願いいたします。
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