西日本豪雨 砂防ダムや治山ダム、過信は禁物 

 7月の西日本豪雨では、砂防ダムや治山ダムの問題も浮かび上がってきています。
 砂防ダムは国土交通省関係予算、治山ダムは林野庁関係予算で使う名称です。

 関連記事を転載します。

◆2018年7月13日 iza
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/180713/evt18071315030038-n1.html
ー西日本豪雨 砂防ダムや治山ダム、過信は禁物 各地で「想定外」設計基準超え雨量ー

 西日本豪雨では、砂防ダムが土石流を食い止め被害を免れた地区がある一方、完成したばかりの治山ダムを越えて土砂が住宅地に流れ込み、犠牲者が出た地区もあった。専門家は「砂防施設だけで完全な防災は不可能。ハード面の対策を過信しないことが重要だ」と指摘する。

 住宅約20棟が全半壊した団地がある広島市安芸区では、裏山が崩れ、2月にできたばかりの治山ダムを乗り越えた土砂が住宅地に流れ込んだ。団地では数年前から、雨が降った際に砂が裏山から流れてくるという声が上がっていた。広島県の調査で山の上部に小さな斜面崩壊の跡が見つかり、進行を食い止めるため、高さ8メートル、幅26メートルの治山ダムが造られた。今回、広島市では複数の地点で7日からの48時間雨量が7月の観測史上1位を記録。治山ダムを管理する県の担当者は「想定外の雨だった」と説明する。

 一方、10人以上の死者・行方不明者が出た広島県坂町小屋浦では、同地区を流れる川の上流にある砂防ダムが大量の土石流で決壊し、壁の部分がほぼなくなった。県によると、壁の高さは約11メートル、幅は約50メートルで、厚さは約2メートルあり、昭和25年に石を積んで造られた。石造りのため現在の建設基準には合っていないが、3年前の目視による定期検査で異常はなかった。

 平成26年に77人が死亡した広島市の土砂災害で被害が大きかった安佐北区可部、安佐南区の八木、緑井地区では今回、人的被害や建物の倒壊は確認されなかった。県によると、被災後の復旧工事で被災地を中心に市内88カ所に砂防ダムや治山ダムが造られ、今回の豪雨で土石流を食い止めた所もあったという。

 全国には土砂災害の危険がある区域が推定約66万カ所ある。砂防ダムの整備費は大きさなどによってさまざまだが1基で数億円規模になるといい、「限られた予算で全てに同様の対策を取るのは難しい」(国土交通省の担当者)のが実情だ。

 また、砂防施設があっても被害を防げないケースがあることについて、九州大大学院の矢野真一郎教授(河川工学)は「各地でダムの設計基準を超えた雨量の豪雨が発生している。危機感が伝わるような警報の出し方など、行政はソフト対策にも力を入れるべきだ」と訴えた。


 治山ダムと砂防ダム 林野庁が所管する「治山ダム」は、川の傾斜を緩やかにして下流への土砂の流出を防いだり、川岸の浸食を防いで森林を保全したりする機能を持つ。一方、国土交通省が所管する「砂防ダム」は、治山ダムより下流に造られることが多い。上流からの土石流を受け止め、土砂を少しずつ流すことで、下流の土砂災害の被害を最小限に食い止めるのが目的。似たような構造だが、設計目的が異なるため、治山ダムの方が高さが低く、厚みが薄いなどの違いがある。

◆2018年7月12日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180713/k00/00m/040/086000c
ー西日本豪雨 砂防ダムが決壊 広島 想定以上の土砂流入でー

 広島県は12日、豪雨により広い範囲で土砂崩れが起きた広島県坂町で、土砂をせき止めるための砂防ダムが決壊したと発表した。壁など大部分が崩壊しており、県は「想定以上の土砂が流入したため」としている。国土交通省によると、砂防ダムの大規模な決壊は異例という。

 県によると、決壊したダムは1950年に石を積み上げる工法で建設。坂町を流れる天地川の上流にあり、高さ約11メートル、幅約50メートル、厚さ約2メートル。県が8日、壁など大半が崩れているのを確認。6日夜の土石流で決壊し、流れたとみられる。

 県が実施する5年に1度の目視点検では、異常はなかったという。県は「ダム1基体制では不十分」として約150メートル上流に新たなダム(高さ約12メートル、幅約64メートル、厚さ約3メートル)を建設中だったが、「2基ダムがあったとしても今回の規模の土砂に耐えられたかどうか分からない」としている。

 町によると、ダムの下流の小屋浦地区には住民約1800人が住み、土砂でほぼ全域が覆われた。同地区では12日現在で8人が死亡し、安否不明者も出ている。国交省によると、砂防ダムは全国に約6万1000基(2013年)あり、江戸時代以降に造られた石積みの工法のものも含まれているという。【東久保逸夫、寺岡俊】

砂防ダム
 上流からの土石流を受け止め、たまった土砂を少しずつ流すことで、下流の土砂災害の被害を最小限に抑える目的がある。ダムにたまった土砂によって川の勾配が緩やかになり、水の流れが遅くなることで川底や河岸が削られるのを防ぐ効果もある。一方、「治山ダム」は山崩れを防ぐため、森林の維持や造成を目的としている。