八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

国交省主催の八ッ場観光に住民プラン

 地元紙に掲載された八ッ場ダム本体工事見学会についての記事をご紹介します。
 ダム本体工事は順調に進み、「ダム本体のコンクリート打設高は、完成高(116メートル)の約8割を超える場所」もあるとのことです。
 本体工事現場の脇には、水没予定地にあった川原湯温泉の移転代替地があります。国交省が主催する本体工事見学会には多くの観光客が訪れるものの、国の名勝・吾妻峡とともに観光客を集めていた川原湯温泉は、宿泊客数は少ないままです。記事が取り上げているイベント企画は、ダム事業が進む前は地域の経済活動の核であった川原湯温泉の活性化も目指しています。
 

◆2018年8月8日 上毛新聞
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/71118
ー八ツ場観光に住民プラン 活性化へガイドや催しー

◎工事事務所現場見学会

 来年度に完成予定の八ツ場ダム(群馬県長野原町)周辺に観光客を呼び込もうと、国土交通省八ツ場ダム工事事務所は、10月~来年3月に開く工事現場見学会「やんばツアーズ」に地域住民が主体となったプランを盛り込む。ダム周辺住民によるガイドや、地域色の濃いイベントを企画している。

 プレミアム見学会と題し、川原湯温泉の老舗旅館の跡取り、樋田勇人さん(23)がガイドとなり、ダムの歴史、町の未来について住民目線でツアー客に語る。

 このほか、吾妻渓谷の紅葉、石仏群や神社といった地元のパワースポットも一緒に楽しめるプランを用意。約400年前から伝わる「湯かけ祭り」やきれいな星空とダム見学を組み合わせたイベントも検討する。

 やんばツアーズは4月に個人向けを予約不要にしたこともあり、4~6月の参加者は約1万4千人と前年同期の3.5倍に急増。幻想的な光に包まれた夜の工事現場を楽しめるコースは特に人気で、定員を大幅に上回る状況が続いている。

 ダム本体のコンクリート打設高は、完成高(116メートル)の約8割を超える場所もあり、工事は最終局面を迎えつつある。同事務所は「住民の方と連携した地元主体の見学会は地域活性化にもつながるはず。日々変化する建設現場を見てダムの機能や役割を知ってほしい」としている。

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写真=国の名勝・吾妻峡で建設中のダム堤。2018年8月5日撮影。

写真=八ッ場ダム本体工事現場と吾妻川右岸側にある川原湯温泉の打越代替地。2018年8月5日撮影。

写真=川原湯温泉の打越代替地の崖の下にある白糸の滝は国の名勝・吾妻峡の十勝の一つであったが、現在はダム本体工事現場にあり、ダムが完成すれば水没する。白糸の滝の上には、十年以上前までは光琳の滝があったが、川原湯温泉の移転代替地を造成するため、光琳の滝は大栃沢とともに姿を消し、沢は埋め立てられた。
「光琳の滝」は、川原湯温泉の開湯伝説に登場する平安時代の都人、川原湯権守朝臣光琳にちなむ。白糸の滝の右手には、2014年まで多くの観光客が訪れた瀧見橋が残されているが、橋桁は外されている。2018年7月16日撮影。