渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会、足尾銅山の山元調査、草木ダムも対象に

 わが国の公害問題の原点と言われる足尾鉱毒事件は、明治時代の過去のことと思われがちですが、足尾鉱毒の問題は群馬県と栃木県の県境を流れる渡良瀬川の流域で今も現在進行形の問題として存在します。
 鉱毒問題に取り組む群馬県の「渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会」は、毎秋山元調査を行っており、今年は流域の草木ダムも調査対象になったとのことです。
 利根川水系の草木ダムは、八ッ場ダムと同様、1960年代に地元住民による反対闘争が社会問題になったダムで、「足尾の鉱毒溜め」などとも言われます。(田中正造大学
 山元調査の記事では、草木ダムの堆砂量が想定より早いスペースで進められていることに懸念の声があがっていることを取り上げています。

◆2018年11月8日 毎日新聞群馬版
https://mainichi.jp/articles/20181108/ddl/k10/040/169000c
ー足尾銅山 抜本対策を 鉱毒根絶同盟会が調査 一部堆積場、崩落進む 管理者に要請 /群馬ー

 「渡良瀬川鉱毒根絶太田期成同盟会」が年1回、現地で実施している足尾銅山(栃木県日光市)の山元調査が10月31日、会員や支援者、太田市、群馬県の担当者など約40人が参加して行われた。同盟会の農業者らは、崩落が進んでいる堆積(たいせき)場の安全性への懸念を指摘し、管理する古河機械金属に抜本的な対策を求めた。今回は新たに草木ダム(みどり市)も調査対象に加え、流入する土砂の堆積量や耐用年数などを確認した。【阿相久志】

 同盟会によると、銅鉱石から銅を抽出した後に残った鉱滓(こうさい)を貯蔵する堆積場は14カ所。この日はうち9カ所を訪れた。

 同盟会が最も懸念しているのが「有越沢堆積場」。昨年は足場が悪くて調査できず、現地調査は2年ぶり。会員からは「2年前より崩落が進んでいる。抜本的な対策を講じなければだめ」「崩落で、今まで緑化にかけた資金が無駄になっている」と指摘する声が相次いだ。

 古河機械金属足尾事業所の山崎義宏所長によると、2015年にそれまで実施していた緑化を中心とする工事を取りやめ、現状を改めて調査し、コスト低減も考え設計と施工を切り分けるなど計画を見直している。計画が固まるまであと2~3年はかかる見通しという。

 渡良瀬川最上流の松木川左岸斜面を埋めた「松木堆積場」の緑化などの対策に関して、山崎所長は「国土交通省や林野庁、栃木県など行政と、責任の所在がどこにあるのか、まず明確にする必要がある」と述べた。同盟会員らは「松木の緑化を早く進めてほしい」「山の復元に対する古河側の姿勢には疑問を感じる」などと対策が進まないことへの不信感を口にした。

 この日は、今年6月に安定化工事を終えた「宇都野堆積場」、来年6月に工事終了予定の「檜平堆積場」などの現状も確認した。

 一方、足尾銅山下流の渡良瀬川にある草木ダムに関して、水資源機構から説明を受けた。ダムは1977年の完成から約40年が経過。ダム湖の計画貯砂容量は「100年間で1000万立方メートル」だが、既に約590万立方メートルがたまっているという。想定より速いペースで進む堆積に、同盟会員からは耐用年数への懸念や、将来の後継施設に関する計画の早期策定を求める声が出た。

 調査を終えた同盟会の板橋明会長は「被害者団体として一般人が入れない場所を調査できる。きちんとものを申して、行政をも動かしていきたい」と話した。

〈参照記事〉
鉱害事件の事態収拾のために沈められた村
同時代に起きた四大鉱害、長期化するか否かの分岐点はどこに
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54224