国交省関東地方整備局、霞ケ浦導水事業のトンネル工事、予算要求

 霞ヶ浦導水事業をめぐる裁判は、今年4月27日、東京高裁で国土交通省と那珂川の漁協との間で和解が成立し、那珂川の漁業に影響を与えないようにする条件がいくつか付いて、事業が容認されました。
 これを受けて、国土交通省はさっそく、来年度から導水トンネル工事を再開する予算要求を行いました。和解の内容が守られるよう、しっかり監視していかなければなりません。

 霞ヶ浦導水事業では、那珂川下流部、霞ヶ浦および利根川下流部をつなぐ地下トンネルを建設することで、相互に水をやりとりできるようにします。事業の目的は「水不足の軽減」ですが、水需要が低迷している現在、不要であることは明らかです。同事業は当初、1993年度に完了する予定でしたが、何度も計画が変更され、一昨年に工期(完成予定)が2023年度となりました。これから順調に事業が進んだとしても、当初計画より30年遅れることになります。

国土交通省関東地方整備局霞ケ浦導水工事事務所ホームページより
「霞ヶ浦導水を構成する施設」

 以下は国土交通省関東地方整備局による予算要求についての記事です。

◆2018年11月8日 建設通信新聞
https://www.kensetsunews.com/archives/256085
ー関東整備局/霞ヶ浦導水事業石岡トンネル/掘削工事費を予算要求ー

霞ヶ浦導水事業の施工区間

【内径3.5m 未施工4区間】
 関東地方整備局は、霞ヶ浦導水事業で石岡トンネルの掘削工事費を2019年度予算に要求している。内径3.5mをシールド工法で掘削する同トンネルは、全6工区のうち4つの工区が未施工の状況。19年度にどの工区を掘削するかは未定で、予算規模を見て決定する。同事業は茨城、栃木両県の漁業団体から建設差し止めを求めて提訴されたことを受け、工事を止めていたが、4月に和解が成立したため、9年ぶりに再開した。

 水戸市~茨城県稲敷市で行っている霞ヶ浦導水事業は、霞ヶ浦と利根川下流部、霞ヶ浦と那珂川下流部を導水トンネルで結ぶ流況調整河川を建設する事業。霞ヶ浦、桜川、千波湖の水質浄化や河川の水量確保、水道用水・工業用水の供給確保を目的とする。導水トンネルの延長は45.6㎞で、霞ヶ浦~那珂川下流部の那珂導水路が約43㎞、霞ヶ浦~利根川下流部の利根導水路が約2.6㎞の内訳。総事業費は約1900億円で、残事業費は約357億円。工期は23年度までを予定する。

 那珂導水路は、那珂川~水戸立坑の水戸トンネル(延長約6.8㎞)、水戸立坑~高浜機場立坑の石岡トンネル(同約24.7㎞)、高浜機場立坑~土浦放流口の土浦トンネル(同約11.6㎞)の3つのトンネルで構成する。このうち水戸トンネルは1999年、石岡トンネルの第2工区(同約5.0㎞)は05年、第6工区(同約2.4㎞)は01年に完成済み。石岡トンネルの第1工区(同約3.8㎞)、第3工区(同約4.8㎞)、第4工区(同約4.1㎞)、第5工区(同約4.4㎞)と、内径3.5mのシールド工法で施工する土浦トンネルは掘削に入っていない。一方の利根導水路は91年に完成している。

 掘削工事は石岡トンネルを優先する。未施工区間で掘削に必要な区分地上権の設定を終えているのは第1工区で、第3、第4、第5工区は未設定の個所が一部残っている。関東整備局は早期の掘削に向けて地権者と交渉を続ける。

 霞ヶ浦導水事業を巡っては、稚魚の流入で漁業に悪影響が出ると主張した地元漁業団体と裁判になっていたが、モニタリングの実施などを条件に和解が成立した。これを受けて関東整備局は、那珂川に魚類迷入試験施設を整備する工事に入った。同施設の整備によって那珂川の流入・放流口が一部完成することになり、水戸トンネルの運用が可能になる。19年3月に完成し、同4月から水を流してモニタリングを行う。