滋賀県、大戸川ダムに関する二度目の勉強会

 滋賀県の三日月知事は、国土交通省が再開しようとしている大戸川ダム事業にゴーサインを出す準備を進めています。
 今年7月に再選された三日月知事は、知事選で自民党の支援を取りつけるために大戸川ダム推進に舵を切ったといわれます。しかし、突然ゴーサインを出すのでは周囲の納得を得られませんので、一旦は検証の上、中止された大戸川ダム事業を改めて検証するという舞台を設定するために、勉強会を開いています。

◆滋賀県公式サイトより 「今後の大戸川治水に関する勉強会」
 http://www.pref.shiga.lg.jp/ha04/kouikikasen/daidogawa/benkyoukai.html

 今回公表された検証結果について、大戸川ダム中止に貢献した嘉田由紀子前知事は、テレビのインタビューに応えて、「子育て、介護、医療、教育・・・人にお金を入れないといけない時に、これ以上まだダムにお金を入れるんですかというのが、研究者として、政治の経験者としての(私の)意見です。」と語っています。(びわ湖放送・動画
 
 嘉田さんは勉強会の後、公表された大戸川の検証結果について、三日月知事に質問書を送り、すみやかに回答を公表するよう求めています。
 嘉田さんのフェイスブックより転載させていただきます。
 
      

 三日月大造知事(寺田建吉局長、担当の皆さまへ)
(中川博次顧問、寶馨委員長さまへ)

 勉強会の準備から開催の業務、ご苦労さまです。12月20日の勉強会を傍聴させていただき、次の5点について、「一県民」としてご質問申し上げます。個人的に回答していただく必要はありませんが、公にHP上で、できるだけすみやかに、県政の最高責任者の三日月知事として回答いただけましたら幸いです。

(1) 7頁 平成27年9月関東・東北豪雨9時間降水量コンターズをそのまま大戸川流域に適応する妥当性について。(特に地形条件が違いすぎないでしょうか?)

(2)9頁 検証条件には【HWL破堤】と【無破堤】と2条件をいれながら、10-11頁の「氾濫解析結果」には【HWL破堤】の4ケースしか図示がされておりません。13頁の検証結果のまとめのところには、【無破堤】の場合の浸水面積減少割合が数値で小さく示されていますが、わかりにくいです。わかりやすく対比させるために、【無破堤】の条件下での対応4ケースも図示していただけるとありがたいです。(いかにもダム効果が大きい方だけを採用した、と勘繰られるようなデータの出し方は行政の仕事の仕方として公正とは言えません。)

(3) 9頁の大戸川ダムの操作方法は、穴あきダム(流水ダム)で調節装置をつけるのですか。どのようなダム形態を想定しているのでしょうか。大戸川ダム事務所の回答をお願いします。

(4) 中川博次顧問が指摘しておられましたように、大戸川は土砂流出や土砂災害の多い地域条件があります。このような中で、ダム建設をした場合の土砂の堆積予測、土砂除けをふくめて維持管理の計画とその長期的管理費用について、ここも大戸川ダム事務所からの回答をご提示下さい。

(5) 今回の氾濫解析結果で、特に平成27年の関東・東北豪雨【HWL破堤】ケースを見ると、「異常洪水時防災操作」を行うと、急激な浸水範囲の拡大、浸水位の上昇をまねくが、「避難時間の確保」ができるので効果的だ、という提示がありました。大戸川ダム計画時の昭和60年代から平成初期には(私自身、親しい友人がこの地域におりましたので集落移転の経緯を詳しく耳にしておりました)、大鳥居から田上地域で、「大戸川ダムさえつくったら、いかなる大雨が降っても枕を高くして眠れる」と公言をして、ダム建設後の避難などは想定されておりませんでした。国は「ダムの実力以上の過大期待」と「ダム安全神話」をひろげてきたのではないでしょうか。1000年以上住み続けてきた大鳥居地区の皆さんが「犠牲になってもいい」と決意をなさり、集落移転の決定を地元に強いてきた国は、今、大鳥居の皆さんにどのような説明をなさるのでしょうか。国の担当部局にお問い合わせをしていただき、国土交通省(河川局)の幹部からの回答をいただけましたら幸いです。

 関連記事を転載します。

◆2018年12月21日 毎日新聞滋賀版
 https://mainichi.jp/articles/20181221/ddl/k25/010/456000c
ー大戸川ダム 治水に一定の効果 放水時にリスクも 県の勉強会 /滋賀ー

 国が大津市に計画する「大戸川ダム」の治水効果や影響を検証する県の勉強会(座長=宝馨・京都大大学院総合生存学館長)の第2回会合が20日、県危機管理センターで開かれた。県はダムを建設すれば大戸川流域の洪水リスクを軽減でき、住民が避難する時間を確保できるとの検証結果を公表。委員からは「ダムは水を無限に止められない」などと懸念も示された。【北出昭】

 検証結果によると、ダムがあった場合の周辺の浸水面積は、100年に1回程度とされる2013年の台風18号の規模で60%、今年の西日本豪雨の規模で33%、それぞれ減少。1000年に1回程度とされる15年の関東・東北豪雨の規模になると、浸水面積はほぼ同じだった。ただ、大戸川の氾濫は約8時間遅れるため、この間に周辺の住民を避難誘導する時間を確保できるとの見通しを示した。

 一方、大戸川の氾濫を防げても、身近な水路などの氾濫は防げないことや、ダム決壊を防ぐための放水で、急激な浸水範囲の拡大や浸水位の上昇が生じるリスクにも触れている。

 多々納裕一京都大防災研究所教授は「放水に移るタイミングを、きちんと判断できるのか。何時間後に操作するのかを事前に察知するのは難しい」と指摘。顧問の中川博次京都大名誉教授は「大戸川上流には、土石流が起きやすい場所が多いという点も見ておく必要がある」と強調した。

 終了後、三日月大造知事は記者団に「ダムがあれば一定の治水効果があると確認できたが、あっても全て安全ではないと再認識した」と述べた。

◆2018年12月20日 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39204990Q8A221C1LKA000/
ー大戸川ダムの治水効果を議論 滋賀県の勉強会 ー

 滋賀県は20日、国が工事を凍結している大戸川ダム(大津市)の「治水に関する勉強会」(座長・宝馨京都大学大学院教授)の第2回会合を開いた。県側が近年の豪雨を想定した氾濫解析結果を提示し、ダムを建設した場合の流域に与える治水効果を議論した。

 解析結果により大戸川流域の治水や土砂・流木の捕捉でダムの一定の効果を確認。一方で、放流時間などダム操作の検討、流域住民へのリスク周知や避難実施の面で課題があるとした。勉強会終了後、宝座長は「ダムの効果が定量的に把握できた」と述べた。

 勉強会は5月、防災や治水の学識者4人と三日月大造知事、土木交通部の担当者で発足。来年3月までに瀬田川洗堰(あらいぜき)開閉操作に与える影響を検証する。

 大戸川ダムは2008年に滋賀と大阪、京都、三重の4府県の知事が凍結を求めて合意し、国が09年から事業を凍結している。

◆2018年12月20日 びわ湖放送
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181220-00010004-bbcbiwakov-l25
ー大戸川ダムの勉強会 県が検証した治水効果を報告/滋賀ー

 国が建設を凍結している大戸川ダムについて、その治水効果を考える勉強会が20日、大津市内で開かれました。

 大津市に建設が計画された大戸川ダムは、2008年に滋賀県を含む4府県の知事らが事実上の建設中止を求め、現在、事業は凍結されています。

 三日月知事は、今年2月の県議会で、建設中止を求めた4府県知事合意について「必要な見直し」を行うことを表明していて、大戸川ダムの治水に関する勉強会は、今年5月に引き続き、2回目の開催となります。

 20日は県から、過去に滋賀で起きた水害や、さらには全国の豪雨災害と同規模の雨が降ったと仮定して、ダムのない現状と、ダムを建設し河川改修を行った場合との浸水被害を比較した独自の検証結果が報告されました。
 検証では、大戸川ダムを建設し河川改修を行った場合、川の氾濫をおよそ8時間遅らせられることや、浸水面積を軽減できるとしています。

 一方で、勉強会に参加する学識者からは、「災害発生時にどこまで適切にダムの操作ができるのか」といった課題も指摘されました。

 また、20日の勉強会には、4府県知事合意で建設中止を求めた前知事の嘉田由紀子氏も傍聴に訪れました。

 県は、今年度内に3回目の勉強会を開き、引き続き大戸川の治水に関する検証を進めていくとしています。