サンルダム 今年度中の完成目指し、試験放流開始

 国土交通省が北海道の天塩川水系で進めてきたサンルダム事業が終盤を迎えていると報道されています。
 サンルダムは2017年11月にダム本体のコンクリート打設を完了し、2018年6月から試験湛水を開始しました。八ッ場ダムはコンクリート打設をほぼ完了しており、これから試験湛水が行われることになっていますが、試験湛水の開始時期はまだ明らかにされていません。

国土交通省北海道開発局「サンルダム試験湛水」 より

 サンル川はサクラマスが遡上産卵する清流として知られています。不要で有害なダム建設に反対する声をかわすために、国内最長の魚道(全長7キロ)が整備されましたが、サクラマスへの影響は避けられないと思われます。

★参考記事 「本体工事が進む北海道のサンルダム」

◆2019年1月9日 毎日新聞北海道版
https://mainichi.jp/articles/20190109/ddl/k01/040/033000c
ーサンルダム 本格稼働へ 事業見直しで一時凍結 下川町 /北海道ー

 旧民主党政権で事業見直しの対象となり、一時凍結されたサンルダム(下川町)はほぼ本体工事を終え、8日、見学会が実施された。今年度内の完成に向け整備が進められており、安全性を確認した後、本格稼働する。

 ダムは天塩川水系名寄川支川のサンル川にあり、北海道開発局が洪水調節や流水の機能維持、水道、発電などを目的に整備している。ダム堤高46メートル、総貯水量5720万立方メートルで総事業費591億円。

 昨年6月から、水位の上昇や下降で安全性を確認する試験湛水(たんすい)を開始。今月3日、洪水時など、想定される最高水位となる179・2メートルに達し、9日までの予定で試験放流を実施している。今後、常時満水位の標高167・3メートルまで下げ、稼働に備える。

 サンル川は国内最大規模のサクラマスの遡上(そじょう)・産卵がある清流として知られる。建設には自然保護団体などからの反対が根強く、影響を緩和するため全長7キロで国内最長の魚道も整備している。【横田信行】

◆2019年1月8日 北海道新聞(動画あり)
https://www.hokkaido-np.co.jp/movies/detail/5986969666001
ーサンルダム最高水位に 下川・試験湛水ー

 上川管内下川町で試験湛水中のサンルダムの貯水位が最高水位の標高179・2メートルに達し、100年に1度の洪水を想定した放流口「非常用洪水吐(ばき)」を使った試験放流が行われている。3日午前8時に最高水位に到達し、4日午前0時からダムの堤上部に設けた非常用洪水吐から試験放流を始めた。ダムの安全性を確認し、本格稼働する。ダムは総貯水量が5720万立方メートルで、総工費は約591億円。産卵で川を遡上(そじょう)するサクラマスのための国内最長の7キロの魚道を備える。

◆2018年12月21日 北海道新聞
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/260563
ー魚道7キロ国内最長サンルダム来春にも稼働 遡上途中にプール6カ所ー

  【下川】国内最長の魚道を備えた下川町の天塩川水系サンル川上流にあるサンルダムが、来春にも稼働する。旭川開建が、産卵で川を遡上(そじょう)するサクラマスのために作った魚道は長さ7キロ。ダムを迂回(うかい)してサンル川までつなぐ魚道には、遡上に影響が出にくいよう、魚に優しい工夫が施されている。

 サンル川流域はサクラマスが遡上し、広い範囲で産卵が確認されている。これまで国内で最も長い魚道は、美利河ダム(檜山管内今金町)の2・4キロ。その3倍に及ぶサンルダムの魚道建設には、魚類や河川工学の専門家らも参加して実験を繰り返し、魚に適した環境づくりに取り組んできた。

 ダム堤体横の斜面には、落差約30メートル、長さ約400メートルの階段式魚道を導入。1段25センチに設定し、六つある折り返し地点にはプールを設けて魚が休める場所を作った。階段式魚道を上りきった魚は、ダム湖を迂回する7キロのバイパス水路を泳いでサンル川上流に合流する。バイパス水路は幅3・7メートル、深さ1・4メートルで、底に石を並べて自然の川に近づけたほか、鳥などの外敵から狙われにくいよう草木を茂らせ、1キロごとにカバーでも覆った。

 2017年度に、サクラマス4匹に発信器を付けて魚道に放したところ、全てサンル川まで遡上したことが確認できたという。

 元天塩川流域委員で旭川大名誉教授の出羽寛さん(75)は「サンル川のサクラマス資源を減らさないことが必須。稚魚が下流に下れるかが心配」と指摘する。旭川開建は「稚魚が魚道を下れるよう、美利河ダムの経験から専門家の意見を踏まえて対策を進めており、今後も継続していきたい」と話す。

 サンルダム建設は、洪水対策と水道水の安定供給、水力発電を目的に1993年に始まった。民主党政権の09年に事業が一時凍結されたが、14年から本体工事が進められていた。湖をせき止める堤体の高さは46メートル、延長350メートル、総貯水量は5720万立方メートル。総工費は約591億円。(武藤里美)