砂防ダム整備率5倍差 広島県、過去の被災地優先裏目

 広島県の砂防ダム整備率に関する毎日新聞の記事がYahoo!ニュースで取り上げられています。
 土砂災害が起きると、砂防ダムの予算が増え、砂防ダムの建設に拍車がかかりますが、果たして砂防ダムが有効な対策なのでしょうか。

◆2018年1月10日 毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190110-00000041-mai-soci
ー砂防ダム整備率5倍差 広島県、過去の被災地優先裏目ー

  西日本豪雨で犠牲者が全国で最多の115人(うち関連死6人)に上り、唯一、砂防ダムも決壊した広島県で、砂防ダムなどの整備率が豪雨前、市町間で最大5倍以上開いていたことが県への取材で判明した。災害被災地を優先整備していたためで、県は今回の豪雨被災地も来年度末までに111カ所増設する方針。一方で被害が従来少なかった熊野町は12人が死亡しており、専門家らからは「次の災害に向け偏りない整備が必要」との声も上がる。

 県は「土砂災害警戒区域」が全国最多。砂防ダム設置や急傾斜地補強が必要なのは1万1372カ所に上るが、昨年度末の県内整備率は31%。全23の市町別では呉市(56%)や竹原市(43%)など9市町で県平均を超えたが、豪雨で死者10人以上の東広島市(18%)、熊野町(20%)、広島市(25%)など14市町が平均以下で最低は神石高原町(10%)。

 国は通常、土砂災害リスクがある場所で、周辺に人家が50戸以上あることを条件に砂防ダム整備費用を補助するが、災害被災地への緊急事業は10戸以上に緩和し補助率も上げる。公共事業の予算が減る中、77人が死亡した2014年の広島土砂災害(広島市)以降、県は緊急事業を活用し被災地への整備を優先。それ以外は300戸以上や避難所に指定された重要施設周辺など独自に厳しい条件を加え“選択と集中”を進めた。広島市では緊急事業で整備を進めたが、広い市域で対象が多く整備率は低い。

 豪雨で裏山が崩れ、住民が犠牲になった熊野町の団地「大原ハイツ」周辺は、これまで大きな被害がなく整備予定はなかったが、県は豪雨後に急きょ3カ所の整備を決めた。砂防ダムが決壊した坂町小屋浦地区は、その上流の1カ所のみが整備中だったが、豪雨で15人が犠牲になり同様に8カ所の整備が追加された。

 一方、整備率が低いままとなりそうな町の担当者は「豪雨で人的被害はなかったが、いつ災害に巻き込まれるか分からない」と漏らした。県担当者は「偏在はなるべくなくしたいが、予算に限りがあり、リスク度合いに応じて判断していくしかない」と話す。石川芳治・東京農工大名誉教授(砂防学)は「豪雨を機に予算を増やし被災地に集中整備する考え方もあるが、どこでも土砂被害が起きる可能性がある以上、まんべんなく配置する視点も必要だ」と指摘する。【東久保逸夫】