ウナギ稚魚、今年も少なく 取引価格は前月比4割高

 ニホンウナギについて、野生生物の保護をはかるワシントン条約に基づく国際取り引き規制が見送られると報道されました。一方で、ウナギの稚魚の漁獲量は今年も低調とのことで、ニホンウナギの行方はますます心配される状況です。

◆2019年1月9日 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39816100Z00C19A1QM8000/
ーウナギ稚魚、今年も少なく 取引価格は前月比4割高 ー

 ニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の漁獲が低調だ。前年度(2017年11月~18年4月)は国内で約9トンの稚魚がとれたが、今年度はまだ300~400キロほど。土用の丑(うし)の日に出荷するには1月中に稚魚を確保する必要があり、養殖業者に焦りも出てきた。

 日本で消費されるウナギの大半は養殖もの。日本のほか、中国や台湾など東アジアの海や河川に回遊してきた稚魚をとり、養殖池で太らせる。

 昨年12月、千葉県や鹿児島県など全国の主産地で漁が解禁されたが「稚魚がほとんどいない」(神奈川県の採捕者)。漁獲が少ないため、価格は現在1キロ180万円程度と前月末から4割上がった。「この時期に3トンはとれないと足りない」(鹿児島県の養殖業者)と産地では焦りも出ている。

 前年も漁期の始めは極めて不漁で取引価格は1キロ360万円近くまで高騰した。だが2月以降は漁獲が上向き、終わってみると全国で8.9トンの稚魚がとれた。今年度もこれからの漁獲に期待する声はあるものの、資源が減少傾向にあることに変わりはない。

 稚魚の漁獲は年変動があるため、不足分は中国などからの輸入でまかなっている。ただ中国や台湾でも今漁期の漁獲量は計3トンほどと低調。昨年から中国でも漁獲規制が強化され、大幅な供給増は見込みにくい。

 絶滅が心配される生物の国際取引を規制するワシントン条約締約国会議の事務局は07年、ヨーロッパウナギを規制の対象とした。ニホンウナギは今年の締約国会議では話題に上がらない見通しだが、このままではいずれ規制の対象になる可能性が高い。

17年の国内のウナギ消費量は5万トンと2000年の16万トンの3分の1に減った。稚魚の漁獲量は1970年代後半から減少傾向にある。完全養殖はすでに成功例はあるが大量生産には至っていない。

◆2019年1月7日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190107/k10011769501000.html
ーウナギの国際取り引き規制 いったん回避 資源管理には課題ー

 絶滅のおそれがあるニホンウナギについて、野生生物の保護をはかるワシントン条約に基づく国際取り引きの規制が見送られることになりました。EUが規制につながる動きを見せていた一方、日本は反対していましたが、この年末の期限までに規制に向けた提案が出なかったということです。

 ニホンウナギをめぐっては、5年前に国際機関が絶滅危惧種に指定したほか、EUが不透明な国際取り引きの実態調査を求めるなど規制につながる動きを見せ、早ければことし5月に開かれるワシントン条約の締約国会議で規制の導入が決まる可能性がありました。

 しかし、水産庁などによりますと、5月の会議で規制の導入を検討すべきだという提案は先月下旬の期限までにEUをはじめいずれの国や団体からも出なかったということです。

 ニホンウナギの輸入に依存する日本は、国際取り引きの規制に反対していましたが、今回、提案が出なかったことで、いったん規制は回避された形となります。

 ただワシントン条約の事務局は去年、ニホンウナギの密漁や密輸が相次いでいるとする報告をまとめていて、ことし5月の会議でもウナギの流通の透明性の改善を求める決定がなされる見通しです。

 このため、改善が見られなければその次の締約国会議で規制が提案される可能性があり、日本は今後、いかに実効性のある資源管理を進められるかが問われることになります。